サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

激しい走行でホイール脱落の危険も! 見た目抜群の「アルミナット」は取り扱い要注意パーツだった

ドレスアップ効果バツグンだけど注意も必要

 アルミホイールを装着する際、ルックスを良くするためにジュラルミン製のホイールナットを使用するユーザーは多い。ドレスアップ的に見ればスチール製ナットよりもカラフルでデザイン性も高く、よりオシャレなイメージに仕上げられるからだ。

 製品名などに「レーシングナット」とか「超々ジュラルミン」といったワードが盛り込まれることが多いため、見た目の良さだけでなく“高級素材を使っている”という満足感があるユーザーがほとんどだろう。事実、一般的な街乗りでトラブルを招くことは少なく、大多数のユーザーがオシャレなルックスに満足している。ただ、使用方法によってはホイールが脱落するような事故に発展する可能性もあるので注意が必要。ジュラルミン製ナットについて、しっかり理解を深めてもらいたい。

使い過ぎはネジ山が無くなる?

 ジュラルミン製ナットで注意しなければならない点は、やはりアルミ素材を使っていることに尽きる。いくらアルミ合金の中で最高強度のジュラルミン材といってもスチール製ナットに比べれば1/3程度の強度しかなく、金属の中でも柔らかい素材であることを理解しておこう。ちゃんとトルクレンチを使って締めていてもネジ山は劣化しやすく、何度も脱着を繰り返していると固定力が落ちてしまうことがあるのだ。

 それほどデリケートな素材だけに、インパクトレンチによる打撃やオーバートルクによる締め過ぎは厳禁! 十字レンチでも回転軸のブレた早回しをするとネジ山を痛めるので、基本的に手締めで奥まで締め、最後にトルクレンチで本締めしてやりたい。ネジ山を見てカジリ(傷んだ部分)があったりスムーズにナットが入らない時は、危険信号と判断して再使用は避けた方が無難だ。

サーキット走行時は要注意

 たとえ新品のジュラルミン製ナットでも、注意したいのがサーキット走行。ハードなブレーキングで発生したブレーキディスクの熱がハブボルトに伝わり、ホイールナットも非常に高温な状態になる。ここで問題となるのが、スチール製のハブボルトとジュラルミン製ナットで熱膨張率が異なることだ。アルミ素材は鉄よりも熱膨張率が高いため、高温になると緩んでしまうこともあり得る。最悪の場合はタイヤが脱落し、重大な事故に発展する可能性さえあるということだ。

 例え増し締めしても冷えた際に収縮してオーバートルク状態になり、ナットのネジ山を押しつぶしてしまう。こうなっては再使用できないばかりか、ナットの強度も落ちて走行中に破損・脱落する可能性も…。ドレスアップパーツとして人気のジュラルミン製ナットは、用途や扱いに留意しながら上手に使うようにしよう。

 ちなみにサーキットユースが前提であれば、素材はクロムモリブデン鋼(クロモリ鋼)がオススメ。スチールよりも軽く、頑丈に作れて、熱膨張率もわずかなのでホイールまわりの温度が上がるようなハードな走りでも安心だ。一般的にジュラルミンよりも高価にはなるが、そのような使い方をするのであればクロムモリブデン鋼のナットを検討したほうが良いだろう。

モバイルバージョンを終了