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かつて若者を熱狂させたバカッ速軽「RE雨宮シャンテ」が蘇った! 「新作」の衝撃の中身とは

東京オートサロン2016『チューニング部門最優秀賞』を受賞

 世界的に有名な自動車アフターパーツショーの「東京オートサロン」。2016年度において話題性ナンバー1だったのが、チューニングショップ「RE雨宮」が製作したシャンテだろう。ではなぜこのシャンテが注目がされたか。それは2016年から遡ること、35年前に製作したシャンテにあった。

人気漫画にも登場したモンスターマシン

「小さなクルマにハイパワーっていうのが好きなんです」。

「RE雨宮」代表の雨宮さん(通称:雨サン)は、セルボやトゥデイなどをベースにしたチューンド車両を製作しており、いずれにもマツダ製12Aターボのロータリーエンジンを搭載しているのがポイント。もちろん当時作ったシャンテ(1・2号機)も同じなのだが、最初に製作した1号機は谷田部のテストコースにて最高速240.48km/hという、とんでもないで速度を叩き出したという。

注)写真は2号機

 シャンテといえば1972~76年に東洋工業(現在のマツダ)が製作した2気筒2ストローク・360ccエンジンを搭載した軽自動車。ロータリーエンジンがいかに小さいとはいえ、360cc時代の軽にそれを積み、ゼロヨン13秒台、最高速240キロをオーバーの車両に仕立てたというのは、いかに凄いかは伝わるハズ。

注)写真は2号機

 また当時の週刊少年ジャンプ(集英社発行)に連載していた『よろしくメカドック』には同じ車両が登場。主人公・風見潤の運転するR30スカイラインと競いあったことで、チューニングファンだけでなく、一般読者の心も掴んだのだ。

 話は戻り2016年。改めてシャンテを製作した経緯を聞いてみると「(全国各地で行われる)イベントに伺うと“あのシャンテ、かっこいいですよね”って。当時の雑誌や漫画を読んでいた世代の方によく声をかけてもらっていたんです。だったらもう1回作ってみようかなって」。 ちなみにオートサロンに出展したシャンテだが、実質3号機という事になる。というのも「土に還りそうだった」ベース車をオークションで見つけ、改めてイチから仕上げたもだからだ。

「オートサロンの会場では“当時のシャンテ(1号機もしくは2号機)をよくここまで仕上げましたね”って言われましたが、実は違うんです(笑)」とは工場長の渡辺サン(通称:ナベサン)。会期中は多くの人から尋ねられ、説明に奔走したのだとか。

「復刻版」ではなく現代の技術で作った「最新版」

 その3号機、作る上でのテーマは『今の技術で作ったら、どんなモノに仕上げられるのか』。当時の漫画や雑誌に掲載された、いわば「35年前の復刻版」を作ってノスタルジーの誘惑を狙いたくなるが、雨さんにそんな考えは一切なかったという。

「当時との明確な違いがタイヤ。パフォーマンスが全然違うので、だからこそ同じスタイルにはできない」。

 そこで第一に考えたのが、性能を最大限に引き出すための足まわりやフレーム作り。ボディはピックアップトラックの構造に近いラダーフレーム構造を採用。床まわりも補強することで室内にロールケージを組まずに済んだ。
「雨サンには、ロールケージを入れた方が早く仕上がりますよ、とはもちろん伝えました。でも“それはやりたくない”ってなり、結果こうなったんです」(前出渡辺さん)。

 エンジンルームは、13Bペリフェラルポート仕様の(NA)エンジンを搭載するスペースを確保するため、約200ミリ程度前へ延長。逆にエンジンを後方に追いやるとバルクヘッドの大幅な切削加工が必須になり、加工自体も大変。ナンバー取得(車検)も考えていたため、前側を延長して構造変更申請する方が遥かにスムーズと判断した。

 屈強なボディにスペースも確保できた結果、普段であればレースに用いられる2ローター・ペリフェラルポート仕様のエンジンを搭載。さらに左右で約30センチのワイドフェンダーにはルーバーも入れて安定した走りを実現する。

 他にもフロントグリルやテールランプはストック。ボンネットはオリジナルのダクトを延長してマーカーはLEDを採用。流用パーツも冴えており、サイドミラーはコペン用。台座はFD3S用をワンオフで仕上げる。ボディカラーは初代NA6ロードスターのマリーナブルーにどこか似ている、クラシックブルーにオールペン。サイドステップはGTカーにインスピレーションを受けたオリジナルとなる。

 リヤバンパーはフェンダーまで大胆に開放しているが、ここも拘り。「ロータリーの場合はエキゾーストの熱が激しいので、それを抜いてあげる工夫が必要」と、オーバーハングがないためにワンオフで工夫を凝らしている。

デジタルメーター1つで管理するのも現代風

 インテリアのメーター類はイタリア・AIM製デジタルメーター。「スピードメーターやタコメーターなどは元のが使えなくなってしまうので、だったらコレでまとめちゃえばいい!」とエンジンマネージメントはフルコンで一括管理。

 通信しながら回転数や水温を拾うことが可能、それがボタン一つで操作でき、追加メーターなども不要と、美的センスもあるスッキリした室内空間を演出する。シートはコンパクト車両のために専用設計されたブリッド・ゾディアのフルバケットシートを装着している。

「昔のよりかなりカッコよくできていると思います。前のは結構テキトーに作ってましたから(笑)」とは雨宮さん。それが本当なのか謙遜なのか。いつもの優しそうな笑顔と共に話してくれた。

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