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「ブレーキが甘い」「ヘッドライトが暗い」! 「旧車」の「車検」が想像以上に大変だった

現代のクルマには当てはまらない項目が多々あり

 当然のことながら、旧車も車検を受けなくてはならない。検査項目などは基本的には今のクルマと変わらないのだが、基準については異なる場合がある。排気ガスの数値などがそうなのだが、最新の基準は当てはまらないし、当てはめたら旧車は全滅だろう。

 シートベルトもしかりで、1969年以前製造のクルマは適応除外として、無くても問題はない。ただし、保安部品や安全装備は後付けの物を取り付けてあるのに、実際に使用していないと交通違反になる。これは「無くてもいいけど、付いている以上は使用しないとダメ」という原則に則っているからだ。以上のように通常とは微妙に違うところがある旧車の車検。苦労するポイントを紹介しよう。

排気ガス検査

 すでに紹介したように、数値的には現在の規制は当てはまらないので、4サイクルの場合は平成10年(1998年)までのCO=4.5%もしくは5.5%、HC=1200ppmを下回ればOK。現行車だとそれぞれ1.0%、300ppmが基準だから、比べ物にならない。ノーマルであればアイドリングの調整などが必要になるにしても、パスするのはそれほど難しくない。

 問題はチューニングされたクルマで、ウエーバーやソレックスなどの大口径キャブに交換しているとかなり大変だし、調整できる整備士も減っているのも問題。安定したと思っても移動するだけでも変わってきてしまうから始末が悪く、センスも重要だったりと、とにかく調整が大変だ。

排気ガス漏れ

 パーツがないから劣化しているのがわかっていても、新品に交換できないという問題がまずはある。そして、笑えないことにいろいろなところからオイルなどの匂いがするので、少し漏れているようでは気が付かないなんていうことも…。

 確認自体は簡単で、手をかざせば排気が当たるのですぐにわかる。パテで直れば御の字で、切った貼ったなどの大手術をしたり、他車種からの流用も含めて、作るしかなかったりする。

ゴム類の劣化

 現行車であれば、ドライブシャフトのブーツの破れ程度だろう。旧車だとタイロッドなどに使われているジョイントブーツも劣化が進みやすく、内部のグリースが飛び出ていたり、気が付かずに乗っていたばかりに、ボールジョイントにガタが出ていることもある。

 ブーツは汎用品もあるので良いとして、ボールジョイントは生産中止になっていることも多く、分解し、かしめて修理する。ちなみに1970年代の日産のゴムブーツはなぜか、ガムみたいにヘニャヘニャになるほど、恐ろしく耐久性がない。

オイル漏れ

 各部のオイルシールが劣化しているのもあるし、精度の問題もあって旧車の場合はオイル漏れするのはある程度仕方がない。滲んでいたり、湿っている程度ならパスできるが、滴るほどのひどい場合だと、車検を通すことはできない。そして、あちこちから漏れているのを直すのは大変な労力が必要となる。

ヘッドライトの明るさ

 新旧の差はなく車検ではすべてのライトが検査され、ヘッドライトは明るさと光軸をチェックされる。光軸が出る以前の問題で、暗すぎてダメなことはよくあるパターン。バルブを交換したり、最近ではやらなくなったリレーハーネスを追加したりして対策するが、そもそもの発電量が少ないのが原因のこともある。その時はアクセルを吹かして、エンジンの回転数を上げて発電量を増やすという手段を使ったりする。

ブレーキの効き

 ブレーキというものは今でこそ不満のない効きだが、旧車は改めて踏んでみると壊れているんじゃないかというほど効かない。「ディスクブレーキ採用」と当時は高らかに謳っていても、それとても効かない。ペダルをとにかく強く踏んで、サイドブレーキの検査では強く引く。これでギリギリのことも多く、メンテ不良だと、効きはさらにダウン。

 カップやパッド&シューなど、構成パーツはなんとか社外品が入手できるものの、今のクルマように取り付け精度が高くないので、取り付けにコツがいるし、効きを最大限に引き出すための調整も重要だったりする。

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