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「ブレーキ」を制するものは「走り」を制す! コーナーが速くなる「本当の」減速ポイントとは

ブレーキングのコツと最適な練習方法とは

 サーキットビギナーに共通するひとつの悩みが、各コーナーでどこからブレーキを踏めばいいのかという問題。いわゆるブレーキングポイントの探り方だ。事前にサーキット攻略法などのDVDや動画を見ても、クルマやタイヤ、路面温度や天候が違えば、同じサーキット、同じコーナーでもブレーキングポイントは変わってしまうので、目安になり得ない。

 また、仮に「50m看板のあたりで」とか「●●看板を目印に」、と記号的な覚え方をしても、発展性がななく、応用も利かず、本質的なドライビングの上達からはかけ離れてしまう……。さらに、ビギナーのひとつの特徴として、ブレーキ開始ポイントはかなり手前だけど、ブレーキそのものの踏力が不足し、ダラダラ長くブレーキを踏んでいる割には、速度が落としきれずにオーバースピードからアンダーステアを出してしまうという傾向も。自車のブレーキングポイントを探るコツや練習法などはあるのだろうか?

 そんな悩みを解決するには、やはりプロに聞くのが一番。ブレーキングポイントに近づいていくためのコツを、2019年のニュルブルクリンク24時間レースに、ドイツの「CARE FOR CLIMATE / TEAM FOUR MOTORS」チーム(ポルシェ・ケイマンGT4バイオコンセプト)から参戦したクラゴン選手に教えてもらった。ドラテク鍛錬場「クラゴン部屋」を主宰し、2018年の「VLNニュルブルクリンク耐久シリーズ」でクラス優勝経験も持つプロドライバーのアドバイスがこちらだ。

「自車の制動力を把握することから始めましょう」

 「ブレーキングポイントを詰めていく方法ですか。それにはまず自分のクルマがもっている制動力を、正しく把握することが不可欠です。一番良いのは、サーキットに行く前にジムカーナ場などで開催されているドライビングスクールに参加し、フルブレーキを踏む練習を繰り返して行なうことでしょう。ABS付のクルマなら、ABSを効かして最短距離で停止する練習を積んで、自分のクルマのストッピングパワーを身体に覚えさせること。この感覚がベースになります」と、まずはコースで練習する前に、ドライビングスクールやジムカーナ場などで、フルブレーキングした時に自分のクルマがどれだけの制動力があるかを知ることが大事だということだ。

 では、しっかりフルブレーキ出来るようになり、いよいよサーキットを走る時にはどのようにしてブレーキングポイントを探れば良いのだろうか?

 「実際にサーキットを走るときは、余裕を持って手前からフルブレーキを踏んで探っていきます。例えば、あるヘアピンの進入でプロが50m看板からブレーキを踏んでいたとしたら、まずその20~30m手前の70~80m付近からフルブレーキをかける。上手にフルブレーキができれば、当然、ハンドルを切り込むポイントまでに速度が落ちすぎてしまうので、次の周では、さっきより車1台分奥でフルブレーキ。それでも制動距離が余るようなら、さらにクルマ1台分、といった具合に、ちょっとずつ詰めていって探っていきましょう。

 ポイントは毎回きちんとフルブレーキを踏むこと。ブレーキの効かせ方にバラつきがあると、正しいブレーキングポイントは掴めません。ABS付のクルマなら、毎回ABSがきちんと作動するまでブレーキを踏む。これが一番の秘訣です。面白いことに、このフルブレーキに自信が持てるようになると、ひとつ前のコーナーの立ち上がり加速もよくなるんです。おそらくブレーキに自信がないと、立ち上がりも遠慮気味になってしまうのでしょう。ブレーキは安全面でも最重要なテクニックなので、よくよく鍛錬を積んでみてください」。

 ブレーキテクニックで肝心なのは、ハンドルを切りはじめるポイントまでに、確実に目標速度まで減速することのようだ。実際のところ、ブレーキで怖い思いをしながらギリギリまで攻めた突っ込みをしてみても、ラップタイムはそれほど稼げるものではないのだが、クラゴン選手のいうとおり、ブレーキに自信が持てない限り、加速もコーナリングも中途半端になりがちなので、ドラテク向上のためには、機会を見つけてブレーキだけを集中的にトレーニングするのが一番の近道といえるだろう。

取材協力:クラゴンさん
https://twitter.com/kuragonOYAKATA?s=17

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