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ちょっと走ったらズタボロ! サーキットでアッという間にタイヤが「摩耗」する理由と速くても「減らさない」コツ

サーキット走行はタイヤの摩耗に要注意

 愛車をサーキットで思い切り走らせ、パドックに戻ってタイヤを見たらボロボロで唖然とした、という経験をした人がいるかもしれない。「そんなめちゃめちゃハイグリップで低寿命のタイヤでもないし、別にタイムアタックのような本気の走りをしたワケでもないのに…」と思ったことだろう。果たして自分の走り方がよくないのか、それとも一般道とは舗装が違うのか。タイヤが傷む原因を探ってみよう。

サーキットの路面はグリップ力を重視

 知ってのとおりサーキット走行はタイヤに限らず、クルマのあらゆる部分に大きな負担がかかる。ブレーキは下手すればアッという間に音を上げ、油温や水温は見たことのないレベルまで達する。タイヤも例外じゃなく消しゴムを削るように減り、トレッド面がボロボロになってしまうことも…。摩耗する理由は上に書いたとおり至ってシンプルで、アクセル/ブレーキ/コーナリングの負荷が極端に大きいから。タイヤに荷重をかけて路面と接地圧を上げ、高いグリップ力を生み出すので、磨耗が激しいのは仕方ない。

 さらにサーキットの舗装は一般道よりグリップ力、つまり摩擦係数が大きいことも減りやすい理由のひとつ。グリップ力を上げるためアスファルトの混合物を工夫しており、安全性の向上と引き換えにタイヤが減るというワケだ。コースや季節にもよるが、例えば一般道なら新品から軽く2年は使えるタイヤが、サーキットなら1時間の走行を4〜5回、もしくはそれよりも早く摩耗が限界に達してしまうこともある。

タイヤの減りは走り方でも変化する

 先述の通り、タイヤが減りやすい理由はそもそもアスファルトの材質が特別だから。問題は単なる磨耗でなく、トレッド面(ブロック)がボロボロになること。コチラはいくつかの原因があって、一番多いと思われるのはドライバーの操作によるものだ。ドラテクの理論でよく耳にするタイヤのキャパシティ、縦方向と横方向のグリップを合算して100%という話を思い出して欲しい。

 例えばブレーキ(縦方向)にグリップを100%使っていたとする。その状態でステアリング(横方向)を切っても、タイヤはもう限界なので曲がらずダメージだけが蓄積され、結果として曲がらないどころかブロックが千切れたりするのだ。丁寧な操作はのラップタイムの向上だけでなく、タイヤを守ることにも繋がると覚えておきたい。

ベストなタイヤが走りを楽しくする

 使い方でいえば空気圧も大切。低すぎたり高すぎる状態でアタックすれば当然ながらタイムは出ず、タイヤをムダに減らして傷めるだけとメリットは何ひとつない。ベストな空気圧はタイヤの銘柄やドライバーの好みによって異なるが、タイムが出てタイヤも傷めないセットを追求するのも醍醐味のひとつだ。

 最後はタイヤのパターンについて。スポーツ走行で使われるハイグリップタイヤは、ブロックが大きく負荷がかかってもヨレが少ない。いっぽう街乗りがメインのコンフォートタイヤは、ブロックが小さく静音性や乗り心地では勝るものの、サーキット走行のような強い負荷がかかることは想定していないので、グリップ力が低いことはもちろんステアリング操作に対するレスポンスなども鈍く、せっかくのスポーツドライビングを堪能できないかもしれない。

 やはりサーキットを走るなら、そこまでハイグリップでなくてもスポーツ走行に向いたタイヤを使うのがベターだ。

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