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最近カスタムカーのお約束「後付けメーター」はドコへ? 消滅じゃなく「ハイテク化」が変えたコクピット風景

アナログメーターからマルチメーターへと進化

 メモリが刻まれた丸い文字板の上を指針が振れ、エンジン回転数や油温&水温を指し示すアナログの追加メーター。ダッシュボードやピラーに追加メーターがズラリと並べられた様は、チューニングカーの象徴として長い間そのイメージを確固たるものにしてきた。だが、現在においては、追加のアナログメーターを以前のように見かけなくなってきたのも事実。

 ここでは、その理由を追求し、ここ数年で起きている追加メーターの変化について、後付けメーターブランド「Defi(デフィ)」の広報担当でありテストドライバーの廣江謙一郎氏に話をうかがった。廣江さんは、レーサーとしてハンドルを握ることもあれば、レーシングスクールなどのインストラクターとしても活躍している業界の有名人のひとりである。

後付メーターと言えば「Defi」

 Defi(デフィ)とは、自動車メーカーへの純正メーター納入メーカーである「日本精機」を母体とするアフターマーケットブランドのことである。純正メーター納入メーカーがここまでガッツリと後付けメーターをやっているのは世界でDefiだけだと言われている。

 Defiの後付けメーターはすべて、モータースポーツに精通したスタッフたちが企画し、純正OEMで培った技術、試験設備、評価基準をクリアして高性能、高品質を備えているのが特徴。チューニングパーツでありながら、純正メーターと同じ部品を搭載した後付けメーターを知らぬ間に付けていた! などということが十分あり得るのも、Defiならではと言えるだろう。

 それでは本題となる、ここ数年における後付メーターの変化について、Defiの廣江さんに質問をひとつずつぶつけてみた。

後付けメーターをあまり見かけなくなったワケ

ー実際の販売実績は減少しているのでしょうか?

「いいえ。後付メーターの需要が減少しているとは考えていません。ここ10年ぐらいでOBD IIコネクターから車両のCAN情報を取得したマルチメーターの人気が高まっています。クルマの外から見ると、かつての丸いメーターが並んでいる状態ではなく、四角い箱のようなものがダッシュボードにあって、レーダー探知機などと判断がつきづらくなっていることはあると思いますが……」。

「Defiでもアナログメーターの販売数は2015年ごろの期より減少傾向にありますが、マルチメーター(アドバンスZDやDSDF)の販売台数は落ち込んではいません。後付けメーター全体の販売台数は一定を保っていると言えると思います」。

ーアナログに代わりマルチメーターが人気の理由は?

「もうひとつ言えることは、車両の通信ネットワークやCANといった電動化の普及に起因することが挙げられます。例えば、電動パワステ、電子スロットル、自動ブレーキ(ABS)など、いまや、車両のなかには様々なセンサー情報が縦横無尽に走っていて、CAN通信で取得できる情報が急激に増えた背景もあるでしょう。それらを液晶ディスプレイを用いてマルチメーターに表示させるというワケです」。

ー純正でも液晶ディスプレーメーターが増えていますよね?

「マルチメーター(DefiではアドバンスZDやDSDF)とも関わりが深いですが、GRスープラなどにも見られるように、液晶ディスプレイ(以下:TFT)が純正採用される車両が非常に増えてきています。ハイエンドなスポーツカーに限らず、軽自動車の世界でもTFTがあたりまえになりつつあります。採用の背景には、自動車に搭載する上で重要な耐久性、信頼性を備えたTFTが量産できるようになったこと、さらにはサイズバリエーションの拡大もあるでしょう」。

ーいまのトレンドはTFT+アナログ表示?

「最近の純正TFTメーターはTFT自体の性能が上がったことと、デザインの使いこなしができていることは評価すべきポイントだと思います。年々、色々なノウハウの蓄積で様々な表現が具現化できるようになってきています。レスポンスの良い表現が可能となり、TFTメーターにアナログ的なデザインを採用する事例が増えているようです。表示機がかつてのアナログメーターからマルチメーターに変わっても、やはり“アナログ”が昔も今も見やすいことは変わらないポイントです」。

後付けメーターの本質について訊いてみた

ーそもそも後付けメーターって何ですか?

「クルマの各部の働き具合を可視化するのがメーターですが、純正には必要最低限のメーターしか装備されていません。純正で不足している車両情報に対して、必要な項目を必要なだけ見られるようにできるのが後付メーターです」。

ー後付けメーターをつけるメリットとは?

「後付けメーターをつけることによって、クルマの限界性能を引き出すことが可能になります。限界性能を引き出すためには、車両の各部の働き具合を監視する必要があります。タコメーターがなければ、エンジン回転数の効率の良いタイミングでシフトチェンジできません。油圧計がなければオイルの潤滑性能が維持できているのか分かりませんよね?」

ー自分にあった後付けメーターの選び方は?

「『何計をつければいいのか?』とよく質問されますが、どういう環境で、どう使うのか? 何の情報が欲しいのか?? などという目的が重要になってくると思います。例えば、スポーツ走行を前提とすると、(純正でついていなければ)タコメーター、水温計、油圧計、ターボ車ならターボ計を追加したいですね。油温ではなくて油圧計を勧めるのは、エンジンオイルは125°Cで油圧が低下するものもあれば、130°C以上でも油膜を保持できるものもあります。高性能オイルでも温度ではなく劣化などで潤滑性能が低下することもあります。従って、温度では補いきれませんので、優先すべきは油圧計でしょう」。

ーエコカーでも役立ちますか?

「じつはワタシ、自家用車でダイハツのミラ・イースに乗っています。純正にはタコメーターがついていません。低燃費走行をする際、後付けのタコメーターがとても役に立ちます。いや、役に立ちました。タコメーターのおかげで、いままでに1リッターあたり33kmで走らせたこともあるぐらいです!!」。

ー後付けメーターの買い方、取り付け方は?

「後付けメーターの取り付けは簡単なようにも思えますが、車種によって取り付け方が違います。信頼できるチューニングショップなどで装着してもらうのが一番です。購入の際にも、アフターフォローがしっかりしたお店で、フェイスtoフェイスで購入してほしいです。簡単に決済できるショッピングサイトで利用される方もいらっしゃいますが、間違えて買ったり、取り付けに失敗するなど、後悔される方をたくさんお見受けします。最終的にお店を選ぶのはお客様ご自身なので、よく考えてからご購入されることをおすすめいたします」。

Defiメーターの特徴とは

ー超多機能TFTカラー液晶 デジタルマルチディスプレイ DSDF

「メイドインジャパンの車載対応TFTを搭載した、LAPタイム表示やデータロガー機能を搭載したマルチメーターです。国内外の多くのチューナーからも支持をいただいております。常に使いやすさを追求し、毎年バージョンアップを行っているのも特徴です」。

ー元祖リンク式アナログメーター(アドバンス系)

「元祖リンク式メーターのアドバンスシリーズももちろんラインナップしています。現行は、先代よりもさらに見やすさを追求し、自発光式タイプのメーターは日中の明るさで従来よりも200%を実現しています。追加メーター史上初の低反射ガラスを採用した、フラッグシップモデルのアドバンスA1は特にオススメです」。

ー自社製有機ELパネル デジタルマルチディスプレイ ZD

「高視野角を実現した自社製有機ELパネルを搭載し、取り付け場所を選ばないサイズと見やすさを実現しています。後付センサーを追加できる、マルチメーターのパイオニア的存在です。この後継機種を企画するのが難しいぐらい完成の高さが自慢です」。

ーユニット不要メーター(レーサーゲージ系)

「ユニットが不要ながら基本コンポーネンツはアドバンスシリーズと共通化することで、高性能と低価格を実現しています。質実剛健な本来の機能性能に特化したDefiの入門モデルです」。

ーOBD IIスマホ&アナログメーター

「OBD IIからCAN情報を何でも見られるというよりも、何が本当に必要な表示なのかを徹底的に追求したシステムになっています。自社開発のAndroidアプリは拘りの一品です。DefiのOBD II接続商品は、車両側に影響を与えない通信プロトコル『ISO-CAN』のみを使用しているのが特徴です」。

後付けメーターの最新情報

ー後付けメーターのこれからを予測して下さい

「今後は後付けメーターもTFT(カラー)メーターが増えていくと思います。そこで問題なのが、そのTFTに車載スペックが備わっているかどうか? です。果たしてどれだけあるのでしょう?  DefiのDSDFは純正メーターにも採用されている車載対応のTFTを使っています。ですが、同じTFTでもスマホなど暑い日に車内に放置しておくと使い続けられなくなることはご存知のとおりです」。

ー次期新製品など新しい取り組みはありますか?

「いまも4.2インチ TFT マルチメーターDSDFをリリースしていますが、今後はいまよりも小型のTFTメーターの開発も行っていきます(開発中につき具体的なことはお教えできませんが……)。それから、車両通信CANの新たな使い道の研究も同時に進めて行きます」。

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