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「見た目」はノーマルのまま「走り」激変! 「タルさ」を解消できるECUチューンの中身とは

プログラムを書き替えることで性能が向上

 いまやエンジンをパワーアップさせるためのチューニングの主役ともいえるコンピュータチューン。かつてはノーマルコンピュータのROM(リード オン メモリー)を取り外し、データを書き換えた別のROMに差し替えるROMチューンが主役だった。

 現在はROMではなく、OBD(オン・ボード・ダイアグノーシス=自己診断機器接続ポート)から書き換え可能なフラッシュロムを使ったクルマが一般的なので、ECU(エンジン コントロールユニット)チューン、もしくはECM(エンジンコントロールモジュール)チューンと呼ぶ方がいい。

 コンピュータチューンの場合、何か部品を追加するわけではなく、基本的にはプログラムを書き替えるセッティングパーツだ。エンジンの状態に合わせて、空燃比や点火時期を最適化や補正するのが目的。ノーマルコンピュータは、パワー、燃費、排気ガス、耐久性、街乗り、高速道路、チョイ乗り、ロングドライブ、etc.のあらゆる条件を想定してプログラムされたものだが、逆にいえば全局面で中途半端で、エンジン本来の力を出し切るようにはできていない。

 例えば空燃比。低回転域は環境性能優先で、理想空燃比(14.7)に近く、高負荷・高回転域だとかなり燃料を濃くして、エンジンの安全マージンを増やしているが、燃料が濃いとエンジンの回転が重たくなり、燃費も悪くなる。かといって、燃料を薄くするとパワー&レスポンスがよくなるが、エンジンブローのリスクも高まってしまう。

 そこでチューナーは、回転数や負荷を見ながら、細かく空燃比を詰めていき、全開域ではもっともパワーが出る12.5:13:1ぐらいにし、パーシャル領域でも空燃比が最適になるよう調整する。

味付けをする依頼先の技量がカギになるECUチューン

 点火時期もタイミングが遅いとエンジンはダルく、また重たくなり、点火タイミングが早いとノッキングが出て、エンジンブローの原因になる。理想は、ピストンが上死点をちょっとだけ過ぎたところで燃焼圧が最高になるタイミングで着火させること。

 混合気は着火してすぐに燃焼するわけではなく、また高回転になるほどガスの流動速度が速くなって、火炎速度も上がるので、ちょうどいいタイミングで点火させるのは容易ではないが、そこがチューナーの腕の見せ所。さらにスピードリミッターのカットやREVリミットの変更などもコンピュータチューンの主な仕事。

 そのほか最新のクルマでは、可変バルブタイミングの変更や電子制御スロットル開閉度の最適化、ラジエター電動ファン動作ポイントの変更、オートクルーズ設定速度の変更が可能だ。ターボ車であれば、ブースト圧のコントロールなどコンピュータチューンで調整することができる。

 データ書き換えの場合、費用は約10万円~で、通常は日帰りでセッティングOK。セッティングの決まったコンピュータチューンは、パワーもレスポンスも確実に体感できるほどよくなって、燃費もノーマルより向上することが多いほど。

 さまざまなチューニングメニューの中でも、コストパフォーマンスはピカイチだ。ただし、コンピュータチューンに対する考え方は十人十色で、同じ仕様の同じ車種であっても、チューナーによってセッティングの中身はかなり違う。経験値が高く、研究熱心で、センスがいいチューナーのコンピュータなら、パワーもフィーリングも文句なく、トラブルが出る心配もないが、そうでないチューナーがいじったコンピュータだと、効果が体感できなかったり、エンジンが不調になったりというリスクもある。

 というわけで、コンピュータチューンで一番重要なのは、どのチューナーに依頼するかということ。まずは自分の車種について精通していて、ネット等での評判がよさそうなところをピックアップし、最後はお店に行って直接相談し、メリット・デメリットについてレクチャーを受け、話を聞いたうえで納得できればオーダーするようにすればいい。いいチューナーに巡り合えるかどうかが、コンピュータチューンの一番のポイントだ。

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