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「リヤシート=車いす」の画期的モデルも! 「車いす用福祉車両」3タイプのメリット・デメリット

車いす利用福祉車のスロープとリフトアップそれぞれの特徴とは

 車いすのままクルマに乗れる仕様のクルマは、スロープによって乗降するもの、リフトによって乗降するもの、専用の車いすがそのままクルマのシートになるものなどがあります。それぞれの特徴とメリット&デメリットをお話しましょう。

最もオーソドックスな「スロープ式」

 まず、スロープ式です。スロープ式とはクルマのバックドアからスロープを展開して、そのスロープを使って車いす利用車が乗車するタイプのものです。

 スロープ式の利点は軽自動車ベースなどのモデルが存在することです。逆にいうと軽自動車やコンパクトカーをベースとするとリフト式は作りづらいということになります。スロープ式はクルマを停車して車内に収納されているスロープを展開して車いすを乗車させます。この際、重要なのがスロープの角度とスロープを広げるために必要なスペースです。

 スロープの角度がキツいと車いすを乗車させる際の労力が大きくなります。スロープをゆるくするためにはスロープを長くすればいいのですが、そうすると後方に広いスペースが必要になります。スロープが短く、角度をゆるくするためにはリヤのサスペンションを縮めて地上高を下げるニールダウンが有効ですが、コストアップにつながります。

 このためウインチなどを使って車いすを引き上げるアシストシステムを採用するほうが一般的になってきています。スロープ式はスロープの幅などが影響して乗ることができる車いすが制限されることも多くなっています。選ぶ際には、使っている車いすのサイズとのマッチングを精査する必要があります。

乗る側・乗せる側が楽な「リフト式」

 リフト式はクルマのバックドアからリフトがせり出してきて、そこに車いすを乗せて車内へとアプローチする方式の福祉車両です。

 リフトを設置するにはクルマにある程度の大きさと重さが必要なので、ベース車も大きめとなります。リフトが車両の後方にせり出すためにリヤタイヤを支点としてテコの原理が働きます。このときに車両の重量が軽すぎると非常に不安定になってしまいます。リフト式のメリットは、重量のある車いすでも楽に乗車できる点です。電動車いすの場合、車いすと乗員で100kgを超えるケースはざらにあります。リフトの耐荷重は200kg程度のものが多く、電動車いす&利用車、さらに介護者という組み合わせでリフトに乗ることができるものも存在します。

 また、スロープ式に比べて乗車時に必要なスペースも狭めでいいという点も大きなメリットです。デメリットとしては機構が複雑になるため、価格が高価になりがちなこと、ベース車が大きくなってしまうことなどがあります。このため、多くは施設や病院など事業所で使われることが多くなっています。リフト式を運用する場合は、運用担当者はリフトがトラブルとなったときに手動で収納できる方法を取得しておくことが大切です。リフトを収納できないと、移動が不可能になってしまいます。

シートがそのまま車いすになるタイプもある

 クルマのシートがそのまま車いすになるタイプのものは、乗車時に車いすではなくクルマのシートに乗っていられるので、乗車時の快適さがかなりいいものとなります。乗降に関しては車側にセットすれば、リフトで昇降できるため苦労はありません。

 ただし、車いすとして使う際にはどうしても路面を選んでしまいます。車内に乗せることを前提に作っている、それもクルマのシートを使うタイプのものは、車輪が小さくなりがちです。車いすの車輪が小さいと、操作性が路面の凹凸などに車輪が取られがちになります。車輪の小さな車いすはアスファルト路面などでも使い勝手が悪く、ショッピングモールのような場所でないとなかなかマッチングが悪いと思っていてください。

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