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「コスモスポーツ」や「ベントレー」が北海道を1000キロ爆走! 「トロフェオ・タッツィオ・ヌボラーリ」3日間同行レポート

新型コロナの感染防止策を徹底し開催へ

「レースの世界で世界初の四輪ドリフト」テクニックを編み出したのが、伝説のイタリア人ドライバーであるタッツィオ・ヌボラーリだ。1930年代初頭にエンツォ・フェラーリ率いる(!)アルファロメオのワークスドライバーとして起用され、マセラティやアウトユニオン、チシタリアなどでも活躍。その伝説のドライバーの名を正式に冠して2000年から北海道で行われているのが「トロフェオ(杯)タッツィオ・ヌボラーリ」(以下TTN)だ。

 今年はTTN開催20年目という節目で当初は大々的に開催を予定していたが、コロナ禍ということを鑑み開催規模を縮小した。検温や消毒、参加者同士のソーシャルディスタンスの確保、パーティ形式での食事会は開催せず昼間も仕出し対応とするなど感染防止策を徹底。

 一方、北海道の雄大な景観を体験できる道東コースを中心に組むツアーとなり、2泊3日で1000キロ以上を走るタフなラリーとしてなんとか開催にこぎつけた。そして今回、ヌボラーリと縁浅からぬメーカーから2台のオフィシャルカーが提供された。

 アルファロメオ/フィアット/アバルト/JEEPなどのインポーターとなっているFCAジャパンから、ともに3リッターV6ツインターボから510馬力のパワーユニットを搭載するアルファロメオ ジュリア クアドリフォリオとアルファロメオ ステルビオ クアドリフォリオの2台がイベント用に貸し出されたのである。

過去に例を見ない過酷なコースが設定された

 初日のスタート地点となったのは、TTNでも車両運搬でお世話になっている千歳市に支店を持つトランスウェブの車両基地。DAY1は千歳から海岸線沿いを走り日高山脈を越えて、阿寒湖畔のホテルまでの386.25km。

 DAY2は阿寒をスタートし、中標津から羅臼漁港で豪華な海産物尽くしの弁当を堪能し、午後は羅臼からウトロに抜ける知床国立公園を走破、摩周湖からDAY1と同じ阿寒湖畔のホテルに戻る337.36km。

 最終日は阿寒湖をスタートし足寄に抜け、上士幌を経由、安平のD51蒸気機関車が展示されている道の駅で昼食の豚丼のお弁当を食し、十勝清水から道東自動車道に乗り追分で降り、ゴールとなった江別の蔦屋書店まで300.72km、計1024.33kmという過去に例を見ない過酷なコース設定。

 3日間のフル参加車両は、1923年フォード タイプTから1972年ランチア フルビアS ザガートまでの10台だったが、全車無事故無違反で完走した。何台かは途中、マシンにトラブルを抱える場面もあったが、仲間の協力もありそれぞれ見事にトラブルを克服し完走を果たした。

優勝は1935年式のベントレー3.5リッター

 最終日のゴールとなった江別 蔦屋書店内にあるイタリア料理店nodoで、TTNの表彰式が開催された。優勝したのは、今回初出場となった二宮嘉顯/二宮玲子組(1935年ベントレー3.5リッター)で、TTN常連で常勝の横田正弘/大木悦子組(フォード タイプT)は惜しくも2位と悔しい結果となった。

 3位にはやはりこの手のヒストリックラリーではいつも上位に名を残す小宮延雄/小宮芳子組(1959年トライアンフTR2)が入り、4位松下兼昭/松下真理組(1964年アルファロメオ ジュリア スプリントスパイダー)、5位 西川淳/五十嵐飛鳥組(アルファロメオ デュエット スポーツ)、6位疋野繁/疋野則子組(1969年マツダ コスモスポーツ)、7位小澤富成/岩佐三世志組(ホンダS800クーペ)、8位佐藤義彦/佐藤恵理子組(1972年ランチア フルビアS ザガート)、9位高松彰洋/高松容加組(1968年ポルシェ912)、10位谷藤方俊/谷藤広美組(1968年フィアット アバルトOT1300)となった。

 また最終日、ゴール手前のトンデンファームから原田研一(1966年フィアット ジャンニーニ)/清水健司(1970年シトロエン DS21)/藤門雅史(1978年ロータス エスプリS2)/中村隆行(1984年ランボルギーニ カウンタック)/山形俊作(1989年マツダ ロードスター)の地元有志の5台も合流しゴールした。

 ゴール後には「雄大な知床の世界遺産を見ることができた。でも来年は、もう少し距離が短くていいから競技箇所を増やして欲しい」「ガソリンタンク容量が小さくて途中ガス欠寸前まで行き、スマホで調べてガソリンスタンドを見つけたらすでに廃業していた。困っていたら地元の人にガソリンを分けてもらった。本当に地元の人の温かさを痛感した」「朝、エンジンが掛からずこのままリタイアかと思ったら、参加者みんなが心配して手を貸してくれて修理し無事にエンジンが始動。このイベントに出ている人たちの温かさに感動した」など小規模ながら開催された今年のTTNだが、参加者はそれぞれが心に残る大きなお土産を持ち帰ったようだ。

 また「2021年のTTNこそ、大々的に本来の形態で開催したい」と主催者は熱く語り、今大会の締めの言葉としていた。

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