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走る「前」にも「後」にも秘密がある! サーキットでクルマの傷みに差が出る「気遣い」とは

準備と走らせ方で愛車を労ることができる

 一般道に比べてクルマの負担が大きいサーキット走行。普段のメンテナンスを怠っていたり、走行中に無理・無茶な操作を続けることで、愛車が壊れてしまうケースも少なくない。しかし走らせ方やほんの少しの気遣いによって、負担を減らすことは十分に可能なのだ。愛車を労りつつモータースポーツを楽しむ、実践的なノウハウを紹介したい。

暖機運転でクルマの準備体操を

 まずは誰もがやっているであろう、走る前の暖機について改めて。エンジンが冷えていれば当然オイルの温度も低く、その状態で全開すれば本来の潤滑能力を発揮できず、内部に傷が付いたりブローする危険性がある。

 街乗りの常識的なスピードなら停車した状態での暖機は不要ともいえるが、サーキットを低すぎる速度で走るのは別の意味で危ない。なので最初の数周とはいえ一般道よりエンジンの回転数は高くなり、走行前にある程度の暖機をしたほうが安心というワケだ。

 ただし停車した状態でいくら暖機をしても、ミッションやデフはほとんど暖まらない。エンジンはガソリンが燃焼した熱で温度が上がるが、熱源のない駆動系はシフトチェンジなどの操作をすることで温まる。俗に「走行暖機」といわれる方法で、いつも以上にゆっくりかつ丁寧にシフトを操作し、ギヤオイルがほどよく温まるまで全開は控えよう。

 また走行暖機をしている間に、タイヤやブレーキも温めておきたい。タイヤが冷えた状態だとグリップ力が低いのはモチロン、表面がボロボロになったり摩耗が激しいといった弊害もある。ブレーキも同様でパッドの性質にもよるが、サーキット向きの製品はローターが冷えた状態だと制動力が弱く、かつ攻撃性が強かったりとデメリットもあるので注意が必要だ。なお走行暖機をしていればダンパーオイル、そしてゴムブッシュなども摩擦によって温まる。

熱くなりすぎる前の「クーリングラップ」

 続いてはアタック後もしくは途中で挟むクーリングラップ。暖機とは逆に油脂類やタイヤやブレーキが熱を持ち過ぎても、性能が低下したり各部にダメージを与えたりするので、速度や回転数を抑えて回復するのを待とう。

 特に効果的なのはラジエーターやインタークーラーに風がよく当たり、ステアリング操作もいらない長いストレート区間。エンドも手前からエンジンブレーキを使い、フットブレーキは全開時に踏み始めるポイントより手前から、じわっと優しいペダル操作で減速させるのがセオリーだ。

丁寧な操作でクルマの負担低減

 さらに全開走行中といえども、クルマをいたわることはできる。エンジンならレブリミッターが効くまで回さず、少し手前でシフトアップすること。レブリミットは「ココまでなら回しても壊れない」という限界だが、高回転域を使えば使うほど油温や水温は上昇し、オーバーヒートや油膜切れを起こす可能性がある。それにレブリミット付近はパワーやトルクが追従せず、ダラダラと回っているだけのエンジンもあり、上のギヤを使ったほうがタイムアップする場合が多い。

 シフト・ブレーキ・ステアリングを力み過ぎず操作するのも大事。ムダな力が入っているとシフトミスを誘発しやすく、シフトダウンのときならオーバーレブとなって、最悪はエンジンブローもあり得る。ステアリングやブレーキも正確な操作ができなくなるほか、タイヤやパッドのトラブルに繋がるので要注意。ドラテクの基本である「優しく丁寧な操作」は速さだけじゃなく、大切な愛車を傷めないためにも必ず身に付けておきたいテクニックだ。

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