サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

「事前対策」こそが雨を制する! 「ウェット」のサーキットを走る「秘訣」3つ

タイヤが減らずドラテク向上にも最適

 日本の年間降水日数は軽く100日を超えている。せっかく参加したサーキット走行会なのに、雨だからと怖がってばかりいたらもったいない。逆に雨だからこそスキルアップできたり楽しめることもあったりするかもしれない。ウェット路面を楽しむためのクルマの準備、そして安全に走るためのコツとはどんなことだろうか?

タイヤの溝をチェック

 まずはサーキット走行に限った話でなく、普段の点検ともいえる基本的な部分から。まず大前提として、日常的にタイヤの残量がしっかりあるか確認しておくこと。特に溝面積の少ないスポーツタイヤが減ると、排水性が極端に下がりハイドロプレーニングを起こしやすい。

 雨量にもよるけど最低でも5分山は欲しいし、製造年が古いタイヤもゴムが硬化しているので避けよう。タイヤ代をケチってクラッシュでもしてしまえば、その修理代はタイヤ代より遥かに高額となってしまうこともあるのだから。

視界と操作性の確保

 次に視界の問題。雨で役立つのは、なんといってもワイパーだ。ゴムが劣化して切れていないか、試しに動かして拭き残しをチェックし、寿命だと感じたら迷わず取り換えよう。金額的にも大した出費じゃないし車種にもよるが交換だって簡単。サーキットだけじゃなく街乗りの安全性も向上とメリットは多い。

 ウインドウ関係ではワイパーのチェックだけでなく、撥水コーティングも必須。フッ素にシリコン系といった素材の違い、施工の手間はメーカーや製品により異なるが、ワイパーの払拭効率が上がったり、ワイパーの可動範囲外の部分も走行風で水滴を吹き飛ばしてくれたりするので、雨による視界の妨げを最小限に抑えてくれる。

 ドライバーの装備でオススメしたいのは、フルフェイスヘルメットのシールドが偏光仕様となっているタイプだ。水面の反射をカットし水の多い部分と少ない部分が分かりやすく、ファッションとしてもカッコよく愛用者は昔から多い。

 また雨のサーキットで頭を悩ませるのは、窓の外側よりもむしろ内側の曇り。全開走行中はエアコンをOFFにするケースもあったりするが、雨のなか助手席の窓を開けるのも気が引ける。

 そうなれば当然、窓内側の曇りは発生してしまうワケで、その対策の定番といえる対策は曇り止めスプレーだが、走行の直前までエアコンを調整して内外の温度差をなくしたり、デフロスターを使って曇りを除去しておけばベストだ。

 ドライバーが雨に濡れた状態で乗り込まないことも大事。乾いていない大量の洗濯物を密室へ放り込むようなモノで、曇らないほうが不思議といって差し支えない話だろう。

 クルマに乗り込むときは、特にクツ底をウェスか何かでしっかり拭き取るようにしたい。ただでさえ繊細な操作が求められるペダルなのに、濡れて滑ったりしたらクラッシュに直結する可能性もある。

雨に対応した走り

 続いてはテクニック編。仮にドライでもコースイン直後はすぐ全開せず、タイヤやブレーキを徐々に温めていくが、雨のときはウォームアップをいつも以上に慎重に行なうこと。併せてコース上にできている水溜りや川も確認し、通過せざるを得ない場合はできる限りステアリングを真っ直ぐにし、ブレーキも使わず安定した状態で走るのがセオリーだ。

 ライン取りもドライの「アウト・イン・アウト」に固執せず、水の少ないところを選びながら走ったほうが安全で速いはず。特に縁石のすぐ脇は水が溜まりやすく、インを攻めすぎるのは避けたほうが無難だろう。

 雨量の変化をよく観察することも雨天のサーキットを走る上で重要だ。雨は常に一定の強さで降っているワケではない。水溜りが深くなれば挙動はより不安定になるし、路面上に流れる“川”の勢いや本数も変わってくる。なので「前の周は大丈夫だったから」と油断していると、文字どおり足もとをすくわれかねないので要注意。

 最初こそスリッピーな路面は楽しさより怖さが先に立つかもしれないけど、タイヤは減りにくいしマシンコントロールを覚えるには最適。少しずつウェット路面の走り方をマスターし、ドラテクの向上に役立てて欲しい。

モバイルバージョンを終了