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「S」に「ワイド」って高齢者にはわかりづらい! 「サポカー」にはどんな装備が付いているのか

運転ミスによる事故を防止する効果がある装置

「高齢者の運転するクルマが事故を起こしました」……週に何度か、こうしたニュースを耳にします。死亡事故を例に見てみると、近年の高齢者の事故は横ばい状態です。しかし、死亡事故全体は減っているため、構成比としては高齢者の事故は増えているということになります。

 高齢者は判断力が鈍ったり、体力が落ちたりするため、運転においてもミスが起きることがあります。しかし、高齢者ほどクルマの恩恵を受けられる存在です。高齢になったからといって、免許を返納しクルマの運転をあきらめるのではなく、高齢者でも安心して運転できる方法を考えるのが成熟した社会のあり方ではないでしょうか?

 現在、高齢ドライバーの運転ミスによる事故を防止する効果がある装置を備えるクルマについては、「セーフティ・サポートカー(サポカー)」、もしくは「セーフティ・サポートカーS(サポカーS)」として購入時に補助金がもらえます(年齢などの条件があり)。サポカーやサポカーSの認定にも関係してくる高齢者の運転に役立つ装置を紹介していきます。

衝突軽減ブレーキはサポカーに必要最低限の条件

 まずどのタイプのサポカーにも必要な最低条件となる「衝突軽減ブレーキ」です。これはよく言われる「自動ブレーキ」と考えていいでしょう。単純なものは、前方にクルマが止まっている際にブレーキが作動して停止します。最近のものは低速から高速まで対応していますが、一部は低速時に作動しないものもあります。

 高齢者の運転を考えると低速時にも作動するものがいいでしょう。また、歩行者や自転車を検知するタイプもありますが、対象が増えれば増えるほど価格も上昇します。「衝突軽減ブレーキ」が装備されていれば、サポカーという名称が与えられますが、サポカー補助金を受け取るためには歩行者対象の「衝突軽減ブレーキ」であることが必須で、このあたりが少し面倒です。

 サポカーSについてはサポカーに搭載される「衝突軽減ブレーキ」に加えて「ペダル踏み間違い急発進抑制装置等」も搭載されることが条件になっています。「ペダル踏み間違い急発進抑制装置等」とは、間違ってアクセルペダルを踏んだときに作動する装置です。コンビニエンスストアの駐車場で、駐車していたクルマが急発進して店舗に突っ込むというような事故は、発進時にアクセルを強く踏んでしまったり、ブレーキを踏もうとして間違ってアクセルを踏んだときに多く発生します。

 ドライバーはブレーキを踏んでいるつもりなので、速度が落ちないとなおさら強く踏んでしまうという現象が起きます。そこで、クルマ側が強制的に速度を抑制しようというわけです。前方にしか動作しないもの、後方にも動作するものなどがあります。

 また、壁やクルマは検知できてもガラスは検知できないものなどもありますので、選ぶときはどのような対象物に対して有効か? 前後に有効か? などが大切です。多くの装置は急発進の抑制だけでなく、クルマが対象物に近づいているか? なども判断しアラームや警告灯、モニター画面などで知らせてくれます。

「車線逸脱警報」と「先進ライト」もつく「サポカーS」の拡張版とは

 サポカーSのなかでもワイドと言われるモデルは、歩行者対象の「衝突軽減ブレーキ」を装備したもので、「車線逸脱警報」と「先進ライト」が追加されたものです。「車線逸脱警報」は、クルマに取り付けられたカメラが道路の車線ペイントを読み取って、車線をはみ出しそうになったときなどにアラームなどでドライバーに知らせるものです。「先進ライト」は2種類あります。

「自動切替型前照灯」や「自動防眩型前照灯」と言われるものはオートハイビームとも呼ばれるもので、ハイビームが基本ポジションで対向車や先行車がいるときはロービームとなります。「配光可変型前照灯」はハンドルを切った方向にライトが向く装置です。

 これらがサポカーとして認められるための装置で、高齢者の運転にはかなり役立ちますが、それ以外にもさまざまな装置が開発されていてます。とくに高齢者対象とうたっていなくても、高齢者にも安心さが増す装置があります。

疲労軽減の効果も大きく期待ができる装置も

「リアビークルモニタリングシステム」などと呼ばれるものは、後続車が接近していないかどうかを示す装置です。通常は、ドアミラー本体やドアミラー付近などに装備された警告灯が点滅するなどします。車線変更をしようとした際に、ドアミラーを見ると警告灯も目に入るというわけです。警告灯が点灯している際にウインカーを作動させるとアラームが鳴るものもあります。身体が硬くなり、首を回すことがつらく直接目視がしにくい高齢者には非常に役立つ装置です。

 将来の自動運転に向かっての技術として注目され、現在は多くのクルマに採用されるようになった機構に「ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)」という機構があります。従来のクルーズコントロールは、速度を一定に保つものでしたが「ACC」では先行車との車間距離を適切(速度によって調整するため距離が一定ではないこともあります)に保ちます。運転を楽にするための装置ですが、万が一のときは自動的にブレーキも作動しますし、疲労軽減による効果も大きく期待できます。

 現在、最新のモデルは軽自動車も含めて多くのクルマがサポカーSワイドレベルの安全機構を備えていますし、ACCもほとんどのクルマも装備されるようになりました。新車購入時はどれくらいの装備が行われているかを詳しく聞くことができるでしょう。

 中古車については業者がどれだけ詳しいかにもよります。心配な場合は車台番号などを教えてもらい、メーカーのお客様相談室にたずねることをおすすめします。また、すべての機能が同レベルで働くわけではなく、メーカーや車種によって性能が異なること、装着しているタイヤによっても性能が大きく左右されることも念頭においておきましょう。

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