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「N-BOX」「タント」「スペーシア」! 「車椅子仕様車」でも繰り広げられる「激熱」工夫バトル

車椅子で乗車する仕組みは3車種とも同じ

 軽自動車の販売上位3位に入るホンダ・N-BOX、スズキ・スペーシア、ダイハツ・タントそれぞれに、車椅子で乗れる福祉車両が設定されている。車両価格はおよそ150万円台からだが、タントがもっとも安い152.5万円からとなる。ちなみにN-BOXは157.5万円から、スペーシアは160.5万円から。スペーシアには157万円という設定もあるが、これは後席がついていない車椅子専用といえるグレードだ。

 このうちタントだけの特徴として、車椅子を載せられるだけでなく、助手席ターンシートをあわせて装備する車種の設定もあることだ。 助手席ターンシートは、後ろに車椅子を載せた状態では使えないが、先に助手席にターンシートを使って乗り、そのあと後席側へ車椅子を使う人が乗るという乗車順を工夫すれば、どちらも利用でき、家族の体調にあわせて利便性に広がりを持たせることができる。

 ちなみに、助手席ターンシートも併用できる車種は、163万円からとなる。リアハッチゲートを開けて、後席を折りたたみ、そこへ車椅子で乗車する仕組みは3車種とも同じだ。

 ただ、そこで若干の違いがあるのは、N-BOXは基本的に荷室への積載をより楽にするため、リアバンパーから大きく跳ね上げられる機構となっているので、車椅子を載せるためのスロープを道路へ降ろした際、リアバンパーを路面の出っ張りなどで傷つける心配がない。

 スペーシアとタントは、リアバンパー上からリアハッチゲートを開ける仕組みであるため、車椅子仕様車ではスロープを下ろす際に、リアバンパーの中央部分もスロープと一緒に手前へ降ろすことになるので、リアバンパー表面の樹脂部分を路上の出っ張りなどで傷つける可能性が残る。したがって、スロープを下ろす際に路面状況を確認しておくといいだろう。

 後席を折りたたむとき、N-BOXは背もたれを前方へ倒しこむと座面がダイブダウンするので、1回の操作で後席を折りたためる。これに対し、スペーシアとタントは、背もたれを前方へ倒したあと、後席全体をもう一度前方へ起こしながら立てる必要がある。つまり、2回の操作となる。

 一方でN-BOXは後席が左右に分割で、左右を別々に収納できる機構のため、後席を前方へ収納するときには、左右それぞれ操作する必要があり、そこで二度の手間を要するだろう。車椅子を使わず、標準の状態で乗車人数や荷物の積載量で多様な使い方をする人には、後席の左右分割は便利なはずだ。

車椅子に乗る人が怖い思いをしないように実車確認が大事!

 スロープを使って車椅子を載せる際、3台ともウインチを使って引っ張り上げることができる。このとき、N-BOXはウインチの速度を2段階から選ぶことができる。とはいえ、車椅子を載せるときに大切なのは、車椅子に乗る人が怖い思いをしないように丁寧に押したり引いたりすることであり、必ずしも早く載せることは重要ではない。ただ交通量が多いなど、乗降場所の条件によっては、素早い操作が必要な場面もあるかもしれない。

 車椅子を載せたあと、車椅子に乗る人が楽にしていられるよう、車両側に肘掛けを持つのはN-BOXとスペーシアだ。とはいえ肘掛けは車椅子より外側に設定されるため、車椅子に乗る人の体格によっては、必ずしも肘掛けは必要ないかもしれない。そもそも車椅子に肘掛けがあるからだ。

 それでも、クルマがカーブを曲がったり、発進停止を繰り返したりする場面で、車両側の手すりがあることにより、それを握って体を安定させる効果はありえる。それというのも、車椅子を利用する人は下肢に力が入りにくいので、上体で体を支えなければならないからだ。

 その点、クルマに乗ることを前提に作られた車椅子には、座席が傾斜する機構によって乗車後は背中で体を支えられるものがある。また、車椅子にヘッドレストを備えるものなどがあり、日常とクルマとの移動で用途を使い分けられる場合は、乗車用の車椅子が快適かつ安心をもたらすだろう。

 いずれの車種も、車椅子を利用する人の快適性や安心はもちろん、介助する人の操作のしやすさも重要になるので、カタログや映像を見比べるだけでなく、販売店や展示会などで実際に乗車、また操作して比べることが大切だろう。

 ホンダは全国405拠点で〈オレンジディーラー〉を、ダイハツも〈フレンドシップショップ〉を全国251店舗で展開しており、実車確認ができるほか、バリアフリーの店づくりや専門知識を持つスタッフの助言などを受けられる。

 くわえて、車椅子の人が乗車した際は、運転操作も穏やかに行うことが運転者に求められる。そのためには、移動時間などにゆとりを持ち、慌てて移動しなくても済むようにする事前の準備や計画も大切だ。

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