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ハンドリングはおろか最高速の伸びまで変わる! 上級者は必ずやる「空気圧」のセッティングとは

微妙なタイヤの空気圧セッティング 効果は大きい

 サーキット走行時と街乗りの時とではタイヤの空気圧を変える。これはサーキットを走る人には常識といえる話でもある。だがその理由はいったい何なのだろうか。サーキットの路面は一般道に比べて摩擦が大きく空気圧が上がりやすい、だから街乗りより空気圧を下げた状態でまずは走行スタート、というのが基礎であるが、もう少し踏み込んで解説していこう。

タイヤ負担増のサーキットに合わせた空気圧

 街乗りでいう『タイヤの適正な空気圧』とは、安全性や快適性をイチバンに考えた場合の数値で、幅の広い気温や路面温度に対応するためのモノ。しかしサーキットでは路面のグリップも車速も異なり、タイヤにかかる負担は一般道と比較にならないほど大きい。だから走る前は少し空気を抜いて低めにし、走り終えたら元どおりにするというワケだ。

 またコースイン直後の数周はアクセル全開走行はせずタイヤを温め、一度ピットに戻って空気圧が上がったかをチェックし、必要があれば再び調整してから本気のアタックを始める、という一連の流れも経験者ならよく知っているだろう。

 しかし脱ビギナーを目指すなら、さらに上のセットアップ術も知っておきたい。タイヤの空気圧をわずかに変更するだけで、クルマの動きがまるで見違えるほど別モノのようになる。お金はかからず時間もわずかとデメリットは皆無なのだ。

フロントとリアの空気圧差異を利用する

 具体的な数値はタイヤの銘柄などによって異なるため明記しないが、代表的な症例に対するセッティングの方向性をいくつか挙げよう。

 まず「アンダーステアが強い」と感じるとき。その原因は決してひとつと限らないが、多くはリアのタイヤがグリップし過ぎており、結果としてノーズの入りが悪くなっている可能性が高い。そんなときはリアの空気圧を少し上げて、設置面積を減らすことでグリップを下げる、つまり回頭性を高めるのが定番中の定番だ。逆にオーバーステアが強い傾向と感じるなら、リアの空気圧を下げて設置面積を増やせばいい。

 ワンメイクレースのようにパワー差がないにもかかわらず、ストレートでライバルに大きく引き離されてしまったり、加速力が鈍いときは空気圧を上げ転がり抵抗を減らすのが常套手段。 いずれのケースも急に大きく変えすぎると、クルマの動きが違い過ぎてスピンしたり、最悪はコースアウトやクラッシュする危険性もある。慣れないうちは20kpaほどにとどめておくのが無難で、調整後は挙動の変化に注意しつつ徐々にペースを上げていこう。どんなタイヤにも共通することは空気圧が低ければグリップ感が高いが、ハンドリングのレスポンスは下がり転がり抵抗が増える。

 いっぽう空気圧が高ければ設置面積が減るため絶対的なグリップは落ちるが、ハンドリングやコントロール性に優れ転がり抵抗が低いので加速もよくなる。足まわりのセッティングやドライバーの好みはあれど、この法則を知っていれば挙動をある程度は自由に味付けできるはずだ。

 なお変更するときは前後左右の空気圧、可能であれば路面の温度やコンディション、タイヤの摩耗レベルなどを記録しておきたい。そういったデータが蓄積すればするほど、最適なセッティングを導きやすくなるというワケだ。

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