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自動車カスタムは「リスク」と隣合わせだった! 実際にあった「トラブル」事例とは

楽しいクルマのカスタムにもある驚きの失敗

 クルマのカスタムは楽しいものだ。自分好みに愛車を変身させることができるし、カーショーやオーナーズミーティングなどに出してアワード(賞)が取れれば、目立てるし、仲間に自慢もできる。

 だが、何事もそうだが、やり過ぎやカスタムしたことで実用性などを犠牲にした場合、とんでもない事態が起こることもある。

 ここでは、筆者がクルマのカスタム雑誌で編集長を務めた時代に実際にあった、あり得ないほど驚きのカスタム失敗談を紹介しよう。記事展開での写真は、ご参考カスタムのほぼ成功例のものですが。

超扁平タイヤでホイールにガリ傷

 ホイールを変える際、純正より大径のサイズを装着するインチアップは、クルマのカスタムでも王道のひとつだ。現在では、様々なデザインのアフターホイールが販売され、しかもサイズアップすることで、愛車の足元によりインパクトや存在感などを演出することができる。

 近年は、車種によっても純正で20インチを装着するモデルもあるが、かつては、例えばトヨタの16型アリストに20インチを装着するというのは難しかった。だが、それを可能にしたのが、約15年~17年ほど前に登場した「超扁平サイズのタイヤ」だ。

 235/35-20や235/30-20など、扁平率が「35」や「30」といったサイドウォールが薄いサイズのタイヤは、純正サイズが16インチや17インチのアリストなどでも20インチを装着することを可能にした。超扁平タイヤは、サイドウォールを引っ張り気味に装着することで、タイヤの外径を小さくでき、フェンダーを多少加工すればボディとの干渉もほぼなくなるためだ(車高調などでローダウンも必須)。

 そういった大径+超扁平サイズのタイヤは、後に22インチや24インチなどにも波及し、セダンだけでなく、SUVやコンパクトカーなど、多くの国産車に大径ホイールのブームをもたらした。

 と、同時に、2ピース構造や3ピース構造のホイールに多い、ディスク面がリム部の奧で接合した「深リム」ブームも巻き起こる。薄いタイヤと深リムにより、足元のインパクトなどはかなり増したのだが、そこでよく出てきたトラブルがリムの「ガリ傷」だ。

 超扁平サイズのタイヤは、サイドウォールが薄いため、必然的にホイールのリム部がより露出する。そんな状態で、例えば、縦列駐車などで路側帯にクルマを寄せた際に、コンクリート製の路肩ブロックなどに接触すれば、「ガリガリガリ」とリム部に傷が入る。そのリムが削れる音を称して「ガリ傷」と呼ばれるのだが、こういったトラブルはかなり多かった。

 特に、当時は、高級な大径ホイールを装着する「ラグジュアリーカスタム」と呼ばれるジャンルが人気だった時代。20インチ以上のアメリカ製ホイールだと、4本で100万円以上するものもあった。せっかく高いお金を出して購入したお気に入りのホイールが、ちょっっとした不注意で傷ものになったのだから、オーナーの意気消沈ぶりもハンパじゃない。

 しかも、ガリ傷はそのまま放っておくと、サビが出たりする場合もあるからやっかいだ。こういった純正ホイールとタイヤでは起こらないようなトラブルは、インチアップなどのカスタムにはつきものだということを、十分に認識しておきたい。

フルバンパーエアロで路肩にヒット

 カスタムをした際に、走行などに注意したいものには、ほかにも車高を落とし過ぎて車体やマフラーが路面とヒットするなどがあるが、エアロなども装着するタイプによっては注意が必要だ。

 約20年前の話だが、その時に編集長を務めていた月刊誌のデモカーとして、ホンダのEK型シビックを使ったカスタム連載記事を掲載していた。その連載で、シビックにアメリカ製のかなりスポーティなエアロを装着したのだが、事件はその直後に起こった。あまりカスタム車に乗った経験がない某編集部員が、フロントのエアロを路肩にヒットさせ、なんと中央の先端部分を割るだけでなく、穴まで開けてしまったのだ! 

 現在は、エアロでもリップスポイラーやアンダーガードといった純正バンパーに装着するタイプが主流だが、当時はバンパーごと交換するフルバンパー・タイプが当たり前だった時代。フルバンパーは、デザインの自由度が高いため、クルマのスタイルをよりスポーティにしたり、戦闘的にするなど、効果は大きいのだが、ボディサイズが変わることもある。その時シビックに装着したエアロも、フロント部がかなりシャープなデザインで、純正よりもやや先端が突き出た形状だった。

 そういった純正との違いを計算しなかった某編集部員くんは、クルマを狭い道路でUターンさせる際に、フロント部を路肩ブロックにヒットさせてしまったのだ。しかも、かなりの勢いで当てたらしく、FRP製エアロは前述の通り、割れるだけでなく先端部にぽっこりと穴が開く始末。修理にかなり費用と時間が掛かったことは言うまでもない。

 最近のエアロは、形状的にさほど先端が尖った形状のものはないが、例えばリップスポイラーなどでも、車高を落とし過ぎていると、コンビニの駐車場にある段差などにヒットして、バンパー下部に「ガリ傷」を作ることがある。

 何度もいうが、クルマをカスタムをした際は、純正と同じ走り方ではなく、より走行に注意が必要になる場合も多いことを認識しておく必要があるのだ。

エアサスを動かし過ぎて亀の子状態

 エアサスペンション、いわゆる「エアサス」は、スプリングの代わりに空気を出し入れできるエアバッグを使うことで、車高を自在に変化させられることで人気だ。停車時はかなり低い車高にしたローフォルムを実現でき、走行時に車高を上げれば普通に走ることができる実用性も両立しているからだ。

 同様のサスペンションには、油圧で車高を調整できる「ハイドロリクス」もあり、どちらもカスタムユーザーに根強い支持を受けている。

 だが、こういった車高調整式サスペンションにも落とし穴がある。例えば、エアサスの場合、停車時にエンジンを掛けずに車高をあまり上げ下げし過ぎると、車高が上がらなくなることがあるからだ。亀の子状態になるほどクルマの車高が下がり、走行ができなくなる。

 この原因は、実はバッテリー上がり。エアサスは、車高調整やダンパーの役割をするエアバッグ内へ、電動式コンプレッサーで空気を送り込んでいる。そのため、エンジンを掛けない状態で何度もコンプレッサーを回していると、バッテリー内の電気がなくなり、エアバッグに空気を送れなくなるのだ。

 かつては、こういったトラブルをカーショーなどでたまに見かけたし、雑誌の取材中でも、撮影のためにエンジンを掛けずにエアサス車の車高を上げ下げしていたら、バッテリーが上がって車高が落ちたままになったこともあった。バッテリーが上がっているのだから、車高だけでなく、エンジンも始動せず、そうなるとジャンプスタートなどでレスキューするしかない。

 エアサス車が亀の子状態になるトラブルは、サブバッテリーをクルマに積み、主に車高調整用にはそちらの電力を使うことで大方は防ぐことができる。もしサブバッテリーが上がっても、メインバッテリーで動かすことができるから、トラブルが起こる確率はグンと減る。

 これは、油圧を使うハイドロリクスの場合も同様で、油圧制御ユニットには電気を使ったものが多く、バッテリーが上がると動かなくなる。最近のエアサスやハイドロリクスは、メーカーやショップできちんとサブバッテリーを搭載する例が多いため、亀の子状態トラブルは減っているらしいが、オーナー側もこういった「電気のトラブル」があることは熟知しておく必要がある。

 ちなみに、サブバッテリーは、例えば、大型のウーファーを積むなどオーディオをカスタムする際にも必須だ。停車中に音楽をガンガン聴いていると、急にバッテリーが上がることもある。

 また、近年のアウトドア・ブームで注目を集めているキャンピングカーでも、キャンプ中にエンジンを掛けずにテレビやエアコンなどを使うために、サブバッテリーを搭載するタイプが主流になってきている。クルマで電気を使うカスタムをする場合は、サブバッテリーは重要アイテムのひとつなのだ。

DIY塗装で虫

 車体全体を純正と違うカラーに塗り替える、いわゆる「オールペイント」とか「オールペン」と呼ばれるカスタムも人気だ。最近は、フイルムなどを車体に貼るラッピングも大きな支持を得ているが、昔ながらの「塗装」にこだわる人も多い。また、DIYカスタムの腕自慢の中には、缶スプレーなどを駆使して(最近はDIY向けのペイントローラー対応塗料も発売されている)器用に自分でオールペンする人さえいる。

 やはりクルマのカスタム雑誌を手掛けていた時代に、以前取材したことがあるオーナーから、「オールペンをしたので再取材して欲しい」と写真が送られてきたことがある。見ると、以前は純正のパールホワイトだったボディカラーが、ライムグリーンに塗り替えられている。いい感じだ。早速取材をしてみる。

 だが、取材現場でクルマをよく見ると、写真では分からなかった斑点のようなブツブツが、ボディの至るところにあることが判明した。よく見ると「虫」だ。どうも、オーナーは、夏場に野外でDIYオールペンをしたらしく、虫が寄ってきてそのままボディに塗り込まれてしまったらしい。

 ぱっと見の仕上がりは上々だっただけに、細部はかなり残念だった。だが、考えてみれば、プロの板金塗装業者は、オールペンはもちろん、細かい部品を塗る場合ですら、汚れや虫が入り込まないような塗装専用の作業場を使う。それを野外で、しかも夏場でやったらどうなるかは自明の理だ。

 DIYのカスタムは楽しいし、上手く仕上がればうれしい。だが、何事も過信は禁物。きちんとした道具や設備がなければ、プロに依頼した方が結果的に満足できる仕上がりになることも多いのだ。

やり過ぎ・付け過ぎ症候群

 クルマのカスタムが好きなオーナーには、やり過ぎたり、流行りのパーツなどを付けすぎてしまう人も中にはいる。

 例えば、愛車のボディを目立たせたくて、赤や黄色などの派手なラインなどをとにかく入れるとか、流行りの外装パーツをとにかく付けてしまうなどだ。

 手軽に装着できるパーツが多い内装の場合は特に顕著で、エアフレッシュナー、シフトノブやステアリングのカバー、LEDなどの光モノパーツなど、流行っているものを何でも付けてしまう人もいる。

 かつて、一世を風靡したバニングカーのように、とにかく派手で目立つことが「文化」だったジャンルであれば、それもいいだろう(それでも基本スタイルはある)。だが、例えば、愛車を最近流行りの「ちょっと大人向けドレスアップ」でカスタムしたいといいつつ、極端に派手なカラーや何でもパーツをガチャガチャと付けしまうと、統一感がまるでない。

考えながらが楽しめるカスタム

 カスタムには、足し算だけでなく、引き算も大切だ。例えば、ボディカラーでも、黒いクルマをスポーティにしたくて赤いラインを入れるとする。それを目立たせ高級感も出すには、ラインの縁に極細のグレーや銀など、目立たない色のラインを差し色で入れる。そうすることで、赤いラインがより渋く、際立つのだ。また、内装の場合も、統一感を出したいのであれば、何かパーツを追加したら外すパーツも必要。何事も、足したら引く、これが今どきのカスタムでは不可欠な方程式だと思う。

 誤解のないように言うが、カスタムは、基本的には個人の自由だと思う。法規に違反したり、他人に迷惑や怪我などをさせない範囲であれば、どんなことをやってもいいだろう。そういうものである。だから例えば、カーショーなどでアワードが取れず、「自分はこれだけやったのに」と、他人に評価されないことを悩んだり、怒ったりするのはお門違いだ。

 クルマのカスタムは、「このパーツを付けたら愛車はどう変わるだろう」など、事前に様々なイメージを膨らませることも大切だ。また、そういった思考中に「これを付けたら、これは不要だな」といった判断も必要不可欠となる。考えることも含めて楽しんでこそ、本当にカスタムの醍醐味が味わえるのだ。

 

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