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便利装備のひとつとして積極的に選びたい「回転シート」! 自分の環境にあったクルマの選択が重要だった

座席からの立ち上がりが楽になる

 福祉車両に設定がされている座席の回転シートは、乗用車では助手席側、ミニバンでは2列目に設定されている場合が多い。乗用車では、トヨタ・ヤリスが運転席側にも設定している。ここでは、回転シート車の特徴について紹介をしていこう。

 回転シートといっても、ただ座席が回転するものと、回転して車両の外側へ向いたあと、座席が外側へせり出すようにして少し着座位置が下がる回転スライド式というものもある。

 乗車する人の背の高さや、足腰の具合などによって、回転するだけで済む場合と、回転したうえで座席が少しでも下がってくれる方がいい場合とがあるだろう。

 ミニバンの2列目の座席が回転する例では、多くが回転スライド式で座席位置が少し下がりながら外へ出てくる。やはりトヨタの例だが、座席が外へせり出す際に、駐車脇の場所を広くとらずにすむよう、座席全体がやや傾斜しながら外へせり出す仕組みもある。この場合は、座席から立ち上がったり、座席へ腰かけたりする際も、より楽に利用できる利点がある。

 いずれにしても、回転シートを利用する際には、乗用車のヒンジドアであれば大きく開ける必要があるし、回転スライド式の場合は座席が外へややせり出すことになるので、停車または駐車する場所に広さ的なゆとりが必要になる。

車寄せや駐車場の広さのゆとりを考える

 乗降がしやすいからという車両の機能だけで回転シートを選ぶと、自宅や出先などで利用しようとしたとき、駐車場所の広さを確保できず、結局使えなかったということにもなりかねない。そこで、高速道路のパーキングエリアなどでの障害者用の駐車枠は広くとってあるのだ。

 もちろん、はじめて訪ねる場所の停車または駐車場所の広さを事前に確認することは容易でないかもしれない。だが、少なくとも日常的にクルマで出かける場所があるならば、車寄せや駐車場の広さのゆとりを考えておくといいだろう。

シート回転時は“足のせ”に必ずのせてから操作を行う

 回転シートの操作は、前後スライドやリクライニングと別のレバーが、座席の前寄りに設定されており、これを操作して回転させる。回転させるとき、乗員の足がサイドシルなどに引っ掛からないよう、足のせが装備されており、そこに両足をのせてから回転操作を行う。ただし、その足のせは、サイドシルを避けて回転するような高さなので、実は膝を大きく曲げなければならない位置にある。意外に窮屈な思いをするかもしれない。

 電動で操作する車種もあり、この場合は介助する人がリモートコントローラーで回転させることになると思うが、その際は足のせに乗員の足をのせることを忘れがちなので、手順として慣れておくといいだろう。リモートコントロールで回転中に、足がサイドシルやピラー部分に引っ掛かってしまうといった懸念も生じる。

 回転シートは、軽自動車や登録車のコンパクトカーなどを中心に設定車があり、ミニバンにもある。一方で、中型の乗用車には設定が少ない。

 福祉車両という特別仕様の考えではなく、誰もが乗降しやすいユニバーサルデザインのクルマが、車種を問わず拡充することがこれからの課題だろう。

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