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当時は「イロモノ感」も時代が追いついた! じわり中古人気上昇中の小型モデル6台

「人と違うクルマに乗りたい」という願望が、希少車の価格高騰を引き起こす!

 不人気車からの大逆転ではないものの、新車販売時は順風満帆ではなかったけれど、中古車となって評価が高まる(?)クルマがある。では、なぜ人気となるのか? F31型2代目レパードのようなTVドラマに登場したことでブームになる場合もあるが、多くはその希少性。「人とは違うクルマに乗りたい」というレア欲求度が高まれば高まるほど、マーケットで流通が少ないマニアックなクルマに向かう傾向にある。

 そうしたオーナーは「そのクルマ、どこのなんてクルマ?」と聞かれるのが快感だったりするのだ。今回はひそかに人気上昇中かつ、比較的新しめのコンパクトカーを中心にピックアップ。現在はほとんどが100万円以下なので、気になったのなら即押さえておきたい!

【トヨタ・iQ】100台限定の希少性とGRMN謹製というバリューでいまだ高値を維持!

中古価格:(GAMN)130~190万円(流通台数/極小)
(GRMNスーパーチャージャー)300~400万円(流通台数/極小)

  当時世界的に推し進められていたシティモビリティをトヨタ流の解釈した上で2008年に誕生したのがiQ。後述するスズキのツインやMCC(メルセデス・ベンツとスウォッチの共同出資会社)が提案したスマートなどがその代表例だ。3m以下の全長に大人3人∔子供1人が乗れるスペースを確保するためにエアコンの小型化、シートの薄型など高効率なパッケージを採用。ただ発売当初こそ月間目標販売台数を大きく上回ったものの、モデルライフ後半は2桁が続き、2016年に生産を中止となった。

 標準車の中古車相場は順調に下落しているが、一部高い人気を誇るレアキャラがいる。それが、2009年にリリースされた「GAZOO Racing tuned by MN」と2012年の「GRMNスーパーチャージャー」(ともに100台限定)。

 前者はGAZOO Racingが初めて発売したコンプリートカーで1.3リッターのMT車をベースに、30mmダウンした専用チューンされた足とリアのディスク化、16インチのオリジナルホイールを装着。iQの俊敏性と高速での安定感を高次元まで引き上げたセットが施され、エクステリアは前後バンパースポイラー、サイドスカートをオプション設定し、インテリアもタコメーター&アルミペダルなど専用アイテムを多数奢っていた。

 後者は前者をベースにパワートレインまで強化したもので、シリーズ唯一のスーパーチャージャー装着車。94㎰/12.0㎏-mから122㎰/17.7㎏-mまで大幅にパフォーマンスを高めているのが特徴。外観は専用バンパーは標準化され、さらにオーバーフェンダーもセット、オリジナルから大きくスタイルを変えるなど、パフォーマンス&ルックスともに究極のiQと呼ぶに相応しい仕上がりとなっていた。

 MNは197万2000円、GRMNに至っては355万円とかなり高価であったが、現在は前者が5万㎞前後で130万円~、後者は300万円~が相場となっている。走行距離が短いものはその希少性もあり、今もって新車以上のプライスを掲げるなどかなり強気なのだ。

【スズキ・ツイン】軽初のハイブリッドカー! 「来る時代」を見据えたチャレンジカー

中古価格:40万~100万円(流通台数/中)

 iQが発売される5年前の2003年にスズキから発売されたマイクロシティコミューターがツイン。全長は2735mmとiQよりも小さく、2人乗りで、最廉価なガソリンA(5速MT、3速AT車のガソリンBは快適装備を標準化で84万円)はパワステ、エアコン、パワーウィンドウなどの装備はすべてオプション。必要なものだけをチョイスすると割り切ったことで、1979年発売された初代アルトの47万円に迫る驚愕の49万円を実現! 驚くべきなのは価格だけでなく、軽自動車初となるハイブリッドモデルを設定。129万円~とガソリン車に対して割高感があり、販売は散々たるものであったが、これは来る時代を見据えたトライであったのだろう。

 TVアニメから飛び出したようなコロンとしたファニーなボディ、色鮮やかなボディカラーなどおもちゃ感覚のスタイルだが、バックドアを持たず、荷物の出し入れをガラスハッチのみすることで実用性と剛性を両立。エンジンを含むパワートレインは実績のあるアルトのものを流用するなど、クルマとしての作り込みはツボをしっかり押さえていた。1800mmという短いホイールベ―スが生む走りはゴーカート感覚で、エンジンは自然吸気のみだったが、570kgの軽量ボディとあって痛快だった。

 中古車相場は走行距離が5万㎞だと約40万円で、中には100万円を超える個体もある。現在流通しているのはほぼガソリン車だ。今から手に入れるならガソリンAがオススメ。コンポーネンツを共有するアルト系のパーツは現在も流通しており、ターボ化するなどパフォーマンスアップも可能。マイクロスポーツとして今だ楽しむことが出来る。休日はサーキットでスポーツ走行を楽しむのはいかがだろうか。

【スバルR1】軽の枠を超えた美しいデザイン! スバル最後のマイクロスペシャリティ

中古価格:(i/R)20万~60万円(S)65万~140万円(流通台数/中)

 2000年代中盤は当時の軽自動車やコンパクトカーで主流だったハイトワゴンスタイルに変わるニュースタンダードを模索していた時期。その当時スバルからデビューしたのがR2、そしてR1だ。

 R1のベースとなったR2は4人がしっかり乗れる居住性、走行性能はライバルと同等上。なにより、当時の軽自動車の中では最もスタイリッシュなフォルムが魅力。そのスペシャリティモデルとして開発されたR1はフロントフェイスこそR2と共通だが、全長を3285mmまで切り詰め、居住性と引き換えに軽自動車の枠を超えた美しいワンモーションフォルムを手に入れている。

 また、内装も上質なプラスチックパネルとメタリック調パネルを使い、カラーは落ち着きのある赤と黒のツートーン。さらにオプションで本革シートが選べるなど、しっかりコストが掛けられており、運転席に座ったときの満足度は高かった。生産終了から10年以上経過するが、今見ても質感は高く、スタイリングに古臭さを感じさせない。

 中古車市場だがRグレード以下は30万円以下で手に入れることができるが、スーパーチャージャー仕様のSグレードは現在も70万円以上と高値をキープ(ともに走行距離5万㎞以下の場合)。特に最終限定車であるプレミアムブラックリミテッドは新車価格に迫る150万円前後の個体も存在するなど、熱狂的なスバルファンを中心に、ほれ込んでいる人は今だ少なくない。

【スズキ・X90】浮かれバブルの最後に誕生! 超奇抜なTバールーフ&2シーターSUV

中古価格:80万~120万円(流通台数/極小)

 前に紹介したツインもそうだが、堅実な作りがモットーであるはずのスズキはときに突拍子もないクルマを発売して世間を驚かせることがある。中でも飛び抜けていたのが1995年に登場したX90。1993年の東京モーターショーに参考出品され、国内外で高い評価を得たのがすべての始まり。それに気を良くしたスズキ開発陣が市販化を決断したことを含めて、X90の登場は浮かれバブルの残り香が生んだ事件(?)だった。

 ボディは1991年に発売されたマイクロKスポーツであるカプチーノに通ずる丸みのあるフォルムで、2シーター&Tバールーフを標準化したところまで似通っていた。そんな未来感溢れるボディを、乗用車のカルタスではなく、クロカン四駆である初代エスクード3ドアのラダーフレームシャシーに被せたことで迷車(?)が完成。今となってはその意外性はX90の最大の魅力かもしれないが、販売台数は3年間でわずかに1300台強と散々たる結果に終わった。

 そんなX90だが、中古車市場では希少性と際立つ個性が評価されてか、走行距離5万km以下なら新車価格の60%を維持。20年が経過した非実用車としてはリセールバリューもかなりいい。ノーマルで乗るのもいいが、じつはハイリフトが良く似合う。本気で他と違うクルマが欲しい人には最高の1台といえる。

【ダイハツ・ミゼット2】ペットのように愛らしい昭和の香り漂うレトロモダンな軽トラ

中古価格:30万~80万円(流通台数/小)

 その歴史を振り返えると定期的に変わり種カーを製造してきたスズキだが、永遠のライバルであるダイハツも過去にフェローバギー、ネイキッドなど超個性派をリリースしている。その代表車種といえるのが1996年に登場したミゼット ll 。元祖ミゼット同様に小口配送に特化した設計で、全グレード1人乗り(4速MTのみ)で助手席のウィンドウは非開閉(2人乗り追加時に開閉式に)。エンジンはキャブ仕様で、ブレーキは前後ドラムと装備は必要最低限。乗り味も荷物搭載を想定した硬めの足と短いホイールベースでひょこひょこと跳ね、快適性からは程遠かった。

 ただ、後輪よりも大きく張り出したフロントフェンダーとボディから横に飛び出したヘッドライトを持つ個性あふれるデザインは正面から見ると故・赤塚不二夫が描いた往年のギャク漫画「もーれつア太郎」に登場するキャラクター、カエルの「ベシ(50代以上じゃないとわからな?)」を彷彿させる愛嬌のよさがあり、懐かしさを感じさせるものだった。

 当初は廉価版のBタイプ、標準型のDタイプ、ドレスアップ仕様のRタイプの設定だったが、1997年にはコラムAT仕様の2人乗りを追加。さらに箱型の荷室を持ったカーゴをラインアップするなどバリエーションを拡大。そのアイコニックなスタイルを含めて一定の評価を得た。1999年の軽自動車規格変更に合わせて、生産中止になるかとも思われたが、安全装備を充実し、スペアタイヤを移動するなど衝突安全基準をクリア。エンジンも電子制御噴射となるなど環境対策も施され、2001年まで生き長らえることに。

 製造中止から20年目を迎え、街中で見かけることは少なくなったが、コマーシャルカーとしては今だ傑作であり、ハイゼットなどのパーツの流用が可能なことから、軽自動車の草レースへの参戦ベース車としても活躍している。中古車市場の中心となる走行距離が多い個体は20万円以下で見つけられるが、走行距離が短い個体は90万円に迫る高値なクルマもある。相場は上昇中なので、状態のいいものを手に入れるなら今がラストチャンスかも!

【スズキ・マイティボーイ】クーペとトラックを融合 時代を先取りした独自のクロスオーバーカー

中古価格:50万~100万円(流通台数/小)

「金はないけどマイティボーイ~♪」という、ホンダ初代シティに通ずるような耳に残る歌詞が印象的だった珍クーペが1983年に登場した「マイティボーイ」。その歌詞のとおり、お金のない若者をターゲットにしたエントリーカーで、廉価版のPS-Aは45万円と当時の軽自動車で最も安かった。

 ただ安かろう悪かろうではなく、内外装ともに洗練もされていた。それもそのはず、ベースとなったのは軽スペシャリティカーの傑作と呼ばれたフロンテクーペの流れを組む正統派「セルボ」。運転席以降を大胆にカットすることで、クーペとピックアップトラックをクロスオーバーさせた独自のキャラクターを生み出すとともに、大幅なコストダウンも達成できた。

 荷台部分にデッキカバー(サイドパネルと幌、PS-Lに標準)をかけるとクーペに見え、外すとトラックになる2つのスタイル(さらにオプションでシューティングブレイク風になるリアのハードトップも設定)を楽しめた。インテリアもチープだが、セルボと共通のスタイリッシュなデザインで安っぽさは感じられず、ドライビングポジションもスポーティ。また、純トラックと異なり、運転席後ろに多少の空間があり、多少の背もたれの角度調整と荷物が積むことができるなど、実用性も十分だった。  エンジンはF5A(28㎰/4.2㎏-m、後期は31㎰/4.4㎏-m)の自然吸気のみ、ブレーキも初期は前後ドラムであったが、同時代のアルトやセルボの高性能エンジンやパーツをそのまま流用するとこができたので、カスタムベース車としても人気が高かった。若者を中心に拡販を狙ったが、当時の保守的な風潮の中ではこの飛び抜けたコンセプトは受け入れられず、5年間で販売台数は約2万3000台だった。ヒネりの利いたスタイルは今見てもカッコいいし、ピックアップの人気が高いアメリカや東南アジアに輸出されたなら、今の軽トラ人気のように爆発的に売れたかもしれない。

 中古車市場では時代が追い付いたのか、取引も活発だが、さすがに走行距離10万km以下の個体は少なく、価格も10万~100万円強と幅広い。おすすめは1985年のマイチェンで5速MT、タコメーター、フロントディスクブレーキなど標準化したPS-L(前期は4速MTのみ、その他2速ATも用意)。カスタムベースとしても無駄がなく、クーペらしい小気味よい走りが味わえる。その希少性と特殊性を含めて目立ちたいなら手に入れる価値は十分ある。

※中古車相場は編集部調べ(走行距離5万km以下、修復歴無しが対象)

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