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これぞ男の「四角い」ボディ! かつて輝きを放った国産ヨンク4選

魅力的な四駆が次々と登場した“あの頃”

 いまから約30年前の日本は「RVブーム」真っ盛り。当時の若者やお父さんたちの心を掴んだのは各自動車メーカーから次々とリリースされた個性的かつ魅力的な四駆だった。現在はすでに販売されていなかったりフルモデルチェンジをしたモデルばかりだが、いま見ても十分にイケてる“あの頃”に耀いていた四駆たちをピックアップしよう。

四駆が市民権を得た日

 1980年代後半から1990年代前半、日本人にとってクルマは生活をより豊かに彩るためのモノとなった。当時のレジャーブームやオートキャンプブームも相まって、人々の心を虜にしたのはRV(「レクリエーショナル・ビークル」の略でクロカン四駆やステーションワゴン、ミニバン、トールワゴン等を指す用語)が大ヒットした。

 そこで脚光を浴びたのが、これまでワークホースとして使われていたり、一部のマニアにしか選ばれていなかった四輪駆動車だ。各自動車メーカーから、より実用性や快適性をプラスしたファミリーユースにも対応できる利便性の高い四駆が続々と発売され、休日の高速道路を賑わせた。 ちなみに、筆者(1982年生まれ)が幼かった頃の話。シルビア、AE86やグランドシビックを乗り継ぐスポーツカー派だった父がある日突然L型パジェロを買ってきて、とても驚いたことを覚えている。これは我が家だけの話ではないはずだ。

【三菱・パジェロ】

 初代のL型は1982年にデビューし、年々バリエーションを増やしてショートボディのバン(メタルトップ、幌)やワゴンモデル、ロングボディ、ワイド、ハイルーフ等を設定。パワーユニットについてはガソリン(直4NA、直4ターボ、V6)とディーゼル(2.3L直4NA、2.5Lターボ)があった。

 1991年に居住性や操縦安定性、走行性能がさらに高められた2代目へバトンタッチ。その後4代目まで進化を続けたが、2019年に国内販売が終了した。いまは日本から姿を消したパジェロはRVブームを象徴するモデルと言える。

【トヨタ・ランドクルーザー】

 今も昔も熱狂的なファンに支えられるランドクルーザーのシリーズもRVブームを牽引した。50系(ムース)からの流れを継ぐ「ステーションワゴン系」の60系(ロクマル)は1980年から1989年、その後継モデルの80系(ハチマル)は1997年まで販売され大ヒットを記録。その後も100系、200系へと進化を続ける。60系は前期型が丸目、1987年以降の後期型は各目4灯で好みが分かれるところ。パワーユニットはデビュー当初、4.2L直6ガソリン(2F)と3.4L直4ディーゼル(3B)が採用されたが、最終モデルでは4L直6ガソリン(3F-E)、4L直6ディーゼル(12H-T)まで進化した。

 1989年にデビューした80系は、何もかもが洗練されていた。サスペンションは当たり前のように4輪コイルリジッドとなり一部のバンモデルを除いてフルタイム4WDを採用。インテリアはグランドピアノをモチーフにした高級感あふれるインパネ(前期型)、高品質のシートや分厚いカーペットなど、ランドクルーザーを高級路線へと導いたモデルだ。パワーユニットは4.2L直6ディーゼルターボ(1HD-T)とNAの4.2L直6ディーゼル(1HZ)、4.5L直6ガソリン(1FZ-FE)とパワフルなスペックのユニットを投入(1FZ-FEに至っては215ps)。当時のトレンドはパワフルなディーゼル車で1HD-Tモデルが人気だったが、その後のディーゼル車規制の影響で中古相場はガソリンモデルが高騰するという現象が起きた。

 「ヘビーデューティー系」は40系(ヨンマル)の後継モデル70系(ナナマル)が1984年から2004年まで販売された。70系においては日本から姿を消した後も海外で販売され続け、2007年にはフェイスリフトを含む大幅なモデルチェンジを敢行。日本では2014年に約1年間の期間限定で販売された。ちなみに2004年までに日本で販売されていた丸目の70系はショート(メタルトップ、幌)、ミドル(FRPトップ)、セミロング(4ドア)があり、当時はオートマチックトランスミッションも選べた。丸目の70系は現在も高い人気を誇り、状態の良い個体は中古車市場で当時の新車価格より高い値段で流通している。

 また1985年には「70ライト系」として、ランドクルーザー70ワゴンが登場。ヘビー系の70系がリーフリジット(1999年にフロントのみコイルリジットへ変更)だったのに対して4輪コイルリジットを採用。尚、国産四駆で初めて4輪コイルリジッドを導入した歴史的なモデルでもある。しかし、流通量が少なくなかなかお目にかかることができない希少車だ。

 1990年の4ドアモデルの追加を機にモデルチェンジし、「プラド」のサブネームが与えられた通称「70プラド」が登場。前期モデルのパワーユニットは2L-T (2.4Lディーゼルターボ)でインパネは70系と共用だったが、後期モデルはハイエースやサーフにも搭載された名機1KZ-TE(3.0Lディーゼルターボ)を搭載し、インパネも専用設計された。快適性と優れた動力性能を両立しつつ、70系譲りの硬派なスタイルが受けて人気を博した。その後、プラドは90系、120系、150系と進化し独自の系譜となる。

【日産・サファリ】

 ランドクルーザーのライバルともいえる日本の本格四駆。初代は1980年にデビューしたが、1987年から10年間販売された2代目(Y60系)がRVブームのど真ん中だ。

 ボディタイプはショートのメタルトップ、ロングは標準ルーフとハイルーフを設定。サスペンションは4輪コイルリジッドとなり、優れたオフロード走破性とオンロードでの操縦安定性を両立させた。10年の間にATモデルやワゴンモデルが追加されるなど、多くのファンを魅了した。

 その後3代目(Y61系)に進化するが日本では2007年に販売が終了。尚、海外では「パトロール」の名前で販売され続け、現在はY62系となる。

【いすゞ・ビッグホーン】

 RVブームを語る上で、ビッグホーンの存在も外せない。2002年には日本での乗用車製造・販売から撤退したいすゞも四駆を販売していたが、そのなかでも代表的なのがビッグホーンだ。初代のロデオ・ビッグホーンがデビューしたのは1981年。ところがその翌年、最大のライバルともいえるパジェロがデビューする。ビッグホーンも1984年に車名から「ロデオ」を外してワゴンモデルを設定。さらに1985年には4ドアモデルを追加した。

 ビッグホーンがブレイクするのはその後、丸目から角目になってからだ。ドイツの名門チューナー「イルムシャー」と共同開発したサスペンションやMOMO製ステアリング、レカロシートを装備した「イルムシャー」仕様やラグジュアリー仕様の「エクスポート」、ロータスによるサスペンションチューニングが施された「ハンドリング・バイ・ロータス」などのスペシャルバージョンが投入された。

 こうしてRVブームの主役の一員となったビッグホーンは1991年にパジェロやランドクルーザー80を追うように2代目へとバトンタッチ。ボディをよりワイドにして室内空間を快適化し、洗練されたエクステリアも手に入れた。パワーユニットは、ガソリンが3.2L V6(200ps)、ディーゼルは3.1Lインタークーラー付き(125ps)が投入され、パワフルなエンジンとキレのあるハンドリングが話題となった。グレードはラグジュアリー路線の「ハンドリング・バイ・ロータス」、スポーティモデル「イルムシャー」、標準グレードの「べーシック」の3タイプを用意。

 1998年のマイナーチェンジではさらにパワフルなユニットへと変更された。ちなみに1994年から1999年まではOEM版の「ホライゾン」がホンダから販売されていたため、ホンダのエンブレムがついた個体も存在する。

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