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「アメ車」も真っ青の「どシャコタン」クラウン! 「平成生まれの学生」入魂のコッテコテ「昭和カスタム」

オートサロンに出展できなかった悔しさをバネに、クオリティの高さで勝負!

 日本自動車工業会から「東京モーターショー2021」の中止が正式に発表された。年始に開催予定だったカスタマイズカーの祭典「東京オートサロン」と「大阪オートメッセ」に続き、今年予定していた最大のカーショーまでが消滅することとなり、クルマ好きにはなんとも厳しい年になったのは言うまでもない。

 その割を食ったのは大人だけでなく、それらに出展予定だった学生たちも同様だ。本来であればオートサロンで日の目を見るハズだった、卒業制作のカスタマイズカーたちの行き場がなくなってしまったのは何とも残念。そこで今回、その中から日本自動車大学校(以下NATS)のカスタマイズ科が作った1台にスポットを当てて紹介していくことにする。

1969年式のクラウンをベタベタにしたアメリカンカスタム

 ベースにしたのはアメ車……ではなく、国内専売の高級車トヨタ・クラウン。しかも数あるクラウンの中から選んだのはS50型(1969年式)。カスタム好きなオーナーからも絶大な支持を誇る3代目を選ぶあたりからセンスを感じるが、選ばれた事情は少し異なるようだ。

「クラウンをべースにしたかったのではなく、ローライダーを作りたくてフレーム車を探していたんです。そうしたら、たまたま担当の先生が所有していることがわかりました。(ちなみに9代目のロイヤルシリーズまではフレーム車)」。  

 車両が見つかった事でさっそく作業に取り掛かるがそこは旧車、カスタムのスタートラインに立つための前段階作業として「レストア」が必要だった。「不動車ではないのでエンジンはかかる状態でしたが、ボディの腐食や内装のヤレが酷かったのですべてバラしました。とくに白サビには苦労させられました(笑)」とはカスタマイズ科1班の学生談。

 レストアと同時にカスタム(メタルワーク)をしたいところだが、それはあえてしないという判断。「外装はオリジナルを残して、違うところで差をつけたかった」と、エンブレムとフェンダーミラーの穴を埋め程度に抑えている。

 ヘッドライトは純正形状の社外に変更。LEDにはせず、旧車らしく電球を備える。フロントグリルは純正のまま。少しヤレているが、趣があっていいとさえ感じる。 リヤに備えているコンチネンタルキットは、キャデラック用を3分割してサイズに合わせて小さく加工して装着。「当初は付ける予定ではなかったんですが、作業を進めるうちに何となく付けたくなったんですよね」。

ベース色は控えめにしてカスタムペイントを引き立てる作戦

 クラウンの注目点であるカスタムペイントは「結果、持ち主である先生の好みですね(笑)。でも『こんな色はどう?』『いやいやあんなのは?』と、いろいろとアイデアを出し合いながら決めました。見せどころのカスタムペイントですが、フロントからインパネを通してリヤまで繋げているのがアピールポイントです」。

 ベースカラーとなっているベージュは茶色、白、黄色を混ぜて作ったオリジナル。「もっと派手にしようと思いましたが、古き良き国産車だと、色で目立つよりもカスタムの内容で見せたかったんです」。その分、カスタムペイントはキャンディやラメを駆使してど派手に、ライン引きやピンストは得意な先生にお願いして魅せる外装に仕上がった。フェンダーをくり抜いて下げ幅を増したり、レストア時にすべてペイントして一体感を出すなど、エンジンルームも作り込みを徹底している。

 足まわりはスキッパー製のハイドロリクス。今後、後輩たちが同じものを付けるかもしれないので、会社に電話をして不明点などを何度も聞いたという。「すごく丁寧にサポートもしてくれたので嬉しかったです」。

 作業を開始できたのが昨年夏の終わりからだったというが、これだけ一体感のある仕上がりを見せた1班。「コロナ禍の影響によってイベントがなくなったことで、逆に細かいところまで追求しようとみんなでやり抜きました。オートサロンや卒業旅行に行けなかったのは残念ですが、今はローライダーショーやホットロッドカスタムショーに出したいです。そっちも面白そうです」。

 今後はナンバーを取得して(公認を取り、公道を走るのが彼らの最終目標)“いつかはホットロッドカスタムショー”をぜひ実現させて横浜で同窓会、が実現できる機会が訪れる事を陰ながら祈りたいと思う。

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