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マツダの「伝家の宝刀」! 名機の誉高い「13Bロータリーエンジン」進化の足跡

日本を代表する技術「ロータリーエンジン」の活躍

 マツダが世界で唯一の量産化に成功し、RX-7などに採用したロータリーエンジン。とくにFC3SやFD3Sの心臓部として名高い「13B」は、日産スカイラインGT-Rに搭載されたRB26DETTの13年を越える18年もの間に渡り搭載され、現在も多くのファンがいる。日本を代表するパワーユニットの概要、進化の歴史を振り返ってみたい。

1967年誕生から改良を重ねたロータリー

 当時の自主規制だった280psを頂点として繰り広げられた、自動車メーカーによる1990年代のハイパワーウォーズ。そのなかで孤高にして唯一無二の存在だったのが、マツダのRX-7に搭載されたロータリーエンジンだ。13B(FD3Sでは13B-REW)と名付けられた名機は国内外のモータースポーツで輝かしい実績を残し、チューニング界では令和となった今でも主役の一角であり続けている。

 初めて市販車にロータリーエンジンを採用したのは、1967年のコスモスポーツでエンジン型式は10A。以降サバンナなどを経て初代RX-7(SA22C)に12A、ローターのハウジング幅を拡大して排気量をアップさせた13Bが、市販車に採用されたのは1973年の2代目ルーチェ後期型だった。ただし当時はターボではなくNAで、パワーは135psに抑えられていた。

ロータリー+ターボで孤高のスポーツ誕生

 国内で13Bのターボが満を辞してデビューしたのは、1985年に発売されたRX-7の2代目となるFC3S型だ。水冷直列の2ローターで1308ccの排気量は10Aや12Aと変わらない。しかしターボによってパワーは前期型で185psと大きく高められている。そしてマイナーチェンジを受けた後期型では205ps。限定モデルのアンフィニIIIでは215psまでアップした。

併せてエンジンの構造的に弱いとされるトルクも向上し、前期型の25kg-mに対し後期型は27.5kg-m、アンフィニIIIは28kg-mを絞り出すことに成功。エンジン型式こそ共通だがローターはそれぞれ異なっており、当然ながら圧縮比やチューニングに対する耐久性なども違う。

FD3Sで大きな転換とハイパワーを実現

 FC3Sは7年間もの長きに渡って生産され続け、後継モデルのFD3Sにバトンタッチしたのが1991年。ここでエンジンに数々の改良が加えられ、型式も「13B-REW」へと改められる。もっとも重要なのはタービンがシングルからツインになったこと。ロータリーの泣きどころであるトルクと燃費の改善に貢献した。

 低回転ではひとつのタービン(プライマリー)だけを使用し、高回転になるともうひとつ(セカンダリー)でも過給を行う、シーケンシャルツインターボという仕組みだった。FD3Sの販売は1991~2003年とFC3Sを上回る長さで、その間にも度重なる改良や仕様変更が実施されている。

 前期モデル(1~2型)ですら255ps/30kg-mを誇り、パワーもトルクもFC3Sを大きく凌駕。中期モデルといわれる4型ではブースト圧や吸気系の小変更、またECUの制御が8ビットから16ビットに進化したことで、MT車のみではあるが265psと10ps上乗せされた。そして13B-REWの完成型といえるのが、後期モデル(5~6型)でついに280ps/32kg-mの大台に到達。ブースト圧だけにとどまらずタービン本体、吸排気系を変更し当時の自主規制の上限であるパワーを実現したのだ。

独特の手法でチューニング業界でも活躍

 RX-7(ロータリー)は排気量アップが不可能(3ローターの20Bをスワップすれば別だが)という弱点はあれど、構造がシンプルで分解や組み立てしやすいことから、チューニングカーの世界でも13Bは登場すると同時に脚光を浴びた。ピストンやコンロッドが存在しないため、主なチューニングの手法はポート加工となる。有名なのは純正でも存在するローター側面の吸気ポートを拡大する「サイドポート」や、純正のサイドポートを埋めてローターの外周に吸気ポートを設ける「ペリフェラルポート」だ。ローターの頂点に使う「アペックスシール」を強化品に交換するのもお約束。

後継モデルRX-8も時代に合わせ進化

 ターボを組み合わせた13Bの歴史はFD3Sで終焉を迎えるが、実質的な後継車のRX-8は燃費や環境に配慮しつつ、NAながらカタログ値で250ps/22kg-mという高出力を達成する。

 新世代のロータリーエンジンは『13B-MSP』という名が与えられ、2013年にRX-8が生産を終えるまで第一線で活躍し続けた。ターボの13Bだけでも歴史は1985~2003年と20年弱。FD3SとRX-8の間に若干の空白はあれど、NAを含めれば1973~2012年の長期に渡る。スカイラインGT-RのRB26DETTと並び、日本自動車史に残る名機といえるだろう。

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