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お年寄りは「免許返納」すべきか否か? 実はメリットしかない「高齢者運転免許自主返納サポート」の中身とは

運転免許を自主返納して受けられるサービスとは

高齢者自主返納サポートの充実が免許返納を後押し

 高齢者による交通事故がクローズアップされる近年、運転免許の自主返納が急ピッチで普及し始めている。さまざまなピーアールの効果や高齢者自身による安全への意識の高まりもあり、返納率は年々アップし続けて2018年は42万人が返納。さらに2019年のデータでは60万人を超える(60万1022人)返納となっている。その中で75歳以上の返納が35万428件と全体の58%を占めている。返納率は65歳以上が3.1%、85歳以上では14.4%となっている。

 このように高齢者の免許返納への意識は年々高くなっていることがわかる。一方で「免許を返納すると不便になる」という声も根強く残るのは事実だろう。そこで高齢者の免許返納に対するサポートもますます充実が図られているので紹介してみよう。

身分証明に活用できる「免許経歴証明書」の発行が可能

 そのひとつが「免許経歴証明書」の発行だ。運転免許はさまざまな場面で身分証明書として利用できる。それを返納してしまうと日常生活のさまざまなシーンで困る高齢者が出てくるのだ。そこで運転免許を返納した日からさかのぼって5年間の運転に関する経歴を証明する、運転経歴証明書が発行されることになっている。この証明書は公的な本人確認書類として利用できるので、運転免許証を持っていたときと同じように利用できるのが便利だ。

 さらに運転免許を返納する=クルマの運転ができないことによるデメリットも考えられる。そんな免許返納をした高齢者をサポートする制度や企業による協力も各地で充実し始めている。

公共交通機関の無料化や割引サービスも充実している

 代表的なものとしてはマイカーという移動の手段を失った高齢者の利便性を図るためのサポートだ。これまでは買い物にも病院にも自分のクルマでさっと出かけられたのに、その手段が失われると不安だという高齢者も少なくないだろう。

 そこで対策としてタクシー料金の割引に加えて鉄道、バスなどの公共交通機関の割引または無料化なども実施されている。公共交通機関などを積極的に利用して出掛けることがより手軽になるサポートと言えるだろう。運転経歴証明書を提示することで割引が受けられるケースも多いので、最寄りの交通機関での割引制度の内容をチェックしてみると良いだろう。

沢山買い物しても安心!自宅へのお届けサービスもあり

 さらに買い物に出かけたとき、電車やバスに乗って帰る際の荷物を持ち運ぶのがおっくうという場合も想定される。そんなケースに向けてデパートや家電量販店では配送無料(または割引)サービスも実施されている。これがあれば大きな買い物をしても安心。クルマがないことに対する不便も最小限に感じられるだろう。

 筆者の母親も80歳を越えたのを機に免許を返納。当初は買い物や移動の不便から不安を感じていたが、生協などの宅配を利用したり、タクシーや鉄道、バスなどを積極利用することにもすぐに慣れた。また家族や知人のサポートが増えたこともあり、思ったほどの不便さを感じていないようだ。

 クルマを運転しない生活を意外なほどすんなり受け入れられるのは、各種のサポート体制が整いつつあることも影響している。

行動範囲を制限させない多種多様なサポートが充実

 また旅行に出かける際にもそれまではマイカーを利用していたドライバーだと、なかなか出無精になりがち。しかし免許経歴証明書を提示することで旅行代理店の割引や観光バスの割引サービスなどが受けられる。これらのサポートを利用すればお得な金額で旅行に行ける、マイカーではなく旅行ツアーなどを利用することでお出掛けできることを再発見するきっかけにもなりそうだ。

 さらにホテルのラウンジやレストランなどでの割引やレジャー施設、美術館などの割引サービスなどもあるので、お出掛けのハードルが下がるのも魅力。各種割引サービスを上手に使ってゆったりとした休日を過ごすのも良いだろう。

詳しくは「高齢運転者支援サイト」で各種特典をチェック

 免許返納後のサポートは各都道府県ごとに異なるので、各地のサポート情報はホームページなどで確認すると良いだろう。高齢運転者支援サイト(http://www.zensiren.or.jp/kourei/return/relist.html)には全国の情報をまとめた便利なページもあるので地元の優遇サポートを事前に確認するにはぴったりだ。

 今後ますます増える高齢者の運転免許の自主返納。それをサポートする各種企業や交通機関の協力も増え続けていくだろう。安心して免許返納できる環境が整いつつある今、返納後のサポートをあらためてチェックして生活をプランを考えてみてはいかがだろうか。

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