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「チョイ乗り」ばっかりだと寿命も短くなる? 意外と知らない「エンジンオイル」の基礎知識

基本中の基本であるエンジンオイルを知ろう!

「オイル交換」と言っても、エンジンオイルなのか、ミッションオイルなのか、はたまたデフオイルか。クルマにはさまざまなオイルが使われている。最近ではメンテナンスフリーと謳うクルマもあるが、やはりエンジンオイルくらいはしっかりと交換しておきたいもの。クルマのもっとも基本的なメンテと知りながら、お店に任せ切りという人も多い。自分で作業するかどうかはまた別の話になるけれど、交換すべき時期や最適な粘度くらいは把握しておきたい!

愛車の健康を保つためにオイルは重要!

 クルマにとってのエンジンオイルは、人間でいえば血液みたいなモノだ。愛車の健康を保つにはメンテナンスが必須、なんてことは改めて説明するまでもないだろう。とはいえ交換のサイクルを正確に把握していたり、使っているオイルの種類を知っている人は意外に少なく、大半は行きつけのカーショップに丸投げだったりする。それはそれで決して間違った方法じゃないのだけれど、クルマ好きなら知識として知っておいて損はない。まして油脂類そのものやエンジンが進化したことで、昔とは交換サイクルや粘度の選び方も変わってきた。エンジンオイルにまつわる最新の『常識』を知れば、今まで以上にクルマへの造詣や愛着が深まるに違いない。

 以前よく言われたエンジンオイル交換のサイクルは、3000~5000kmもしくは走行距離に関係なく3~6カ月。走れば走るほどオイルが劣化するのは当然だし、エンジンを動かさなくともオイルの酸化は進むため、上記いずれかのタイミングで交換するのが推奨されていた。しかし近年(国産のガソリン車)では自動車メーカーの推奨は1万~1万5000kmが目安となっており、期間でいえば1年と従来の倍を軽くオーバーしているのだ。 

 最大の理由はオイルの進化。API規格という言葉を聞いたことがあると思う。これはアメリカ石油協会によるオイルの性能を評価する指針で、もっともベーシックなSAから最上級のSNまでグレードが分けられている。

チューニングカーやサーキット走行時はよりシビアに

 かつてスポーツカーやチューニングしたエンジンには、酸化安定性と動弁系の耐摩耗性が優れている、SGグレードのオイルを使うのが当たり前とされていた。ところが以降もどんどん新しいグレード、つまり高性能のエンジンオイルが開発され、今は2010年に採用されたSNグレードが最高峰となっている。省燃費性能や耐久性は従来のSGグレードどころか、2004年に設定されたひとつ下のSMグレードも凌駕し、結果として交換サイクルが大きく延びたということ。もちろん自動車メーカーやエンジンの種類によって差はあるし、どんな使用環境であっても同じサイクルが通用するワケじゃないが、最上級がSGグレードだった時代と比較すればかなり「延命」された。

 この交換サイクルが通用しない例の代表は、油温が極端に上昇するコンディション。パッと思い浮かぶのは高回転を使うサーキット走行で、走行前に交換して新品のコンディションでサーキットに臨み、走り終えたら再び交換するのがエンジン保護には理想とされている。やはり高回転域を使い続ける高速道路の移動が多い場合、逆に油温が上がらないままの走行が頻繁、要は近距離の移動が多いケースも早めに交換したい。

 以上のように目安となる交換サイクルはあれど、使い方によっては当てはまらないのが実情だ。自分で判断ができない場合はクルマを買ったディーラーやお店、もしくは専門のカーショップに相談しアドバイスを仰ぐべし。

規格と粘度が同じなら純正じゃなくてもOK

 続いてはエンジンオイルの選び方を説明したい。大前提はクルマを生産したメーカーが、推奨している規格および粘度だ。取扱説明書があればそのどこかに記載してあるはずだし、なければディーラーやカー用品店に問い合わせてみよう。純正オイルじゃなくともグレードや粘度が一緒なら社外品でも問題ないし、スポーツ走行が多かったりエンジンをチューニングしていれば、車両の製作やメンテナンスを担当するプロショップの意見を聞く。グレードと粘度の他にも選ぶポイントがあって、それは『ベースオイル』のカテゴリーだ。まずイチバン安価なのは鉱物油で、原油から蒸留して精製したオイル。リーズナブルだが流動性や酸化安定性が低いといったデメリットもある。

 部分合成油は鉱物油と次の化学合成油の組み合わせで、酸化防止剤などを添加し価格と性能のバランスに優れている。その化学合成油は主成分を文字どおり科学的に合成したオイル。価格の高さとトレードオフに性能をトコトン追求しており、酸化安定性に優れ熱に対しても強い。ハイパワーやチューニングエンジンなどに使われることが多い。

 愛車がどんなエンジンオイルを使っているか、次に交換するタイミングはいつなのか。クルマへの造詣と愛着を深めるためにも、メンテナンスに関する最低限の知識は持っておこう。

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