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今、GT-Rが狙われている! 巧妙な窃盗団を撃退する「最終手段」とは何か

GT-Rだけじゃない! 希少車も油断大敵!

 純正部品の製造廃止、経年劣化、25年ルールを含めた海外への流出。R32、R33、R34スカイラインGT-R、いわゆる「第2世代GT-R」を取り巻く環境は年々厳しくなっている。さらに一時は沈静化したかのように見えた「車両盗難」のリスクも高まる一方だ。盗難に関してはGT-Rだけではない。希少性の高いスポーツモデルや高級車も同じ危機にさらされている。そこで盗難の現状と効果的な対策について、カーセキュリティのプロに教えていただいた。

Rなど希少モデルや高級車がピンポイントで狙われる

 新車価格を上まわるのは当たり前。個体によっては新車の何倍もの値が付けらるようになった第2世代GT-R。そうなれば裏社会では「盗む価値のあるモノ」としてGT-Rがターゲットになり、車両盗難のリスクが高くなる。もともとGT-Rは窃盗犯に狙われやすいクルマではあったが、、それにも増してここ最近、ニュースやSNSで「Rが盗まれた」という情報を、目や耳にする機会が増えているのではないだろうか。実際、被害に怯えているRオーナーが多いのも事実だ。

 では車両盗難の実状はどうなのか。その防衛策とは? カーセキュリティのプロに話を聞いた。まず訪れたのは、カーセキュリティメーカーである加藤電機の直営店「セキュリティラウンジ名古屋」。店長の丸山武志氏に、最近の車両盗難事件の傾向などを聞いてみた。

「全体的に見ると盗難件数は減少傾向にあると言われていますが、高級車が被害に遭うケースはむしろ増えています。高級車や希少車を除き、かつては犯人側がそこまで狙う車種を厳選していませんでしたが、現在はかなりピンポイントで狙いを定めて犯行に及んでいます。高く売れるクルマだけに絞り、金銭的な効率を重視しているのでしょう。純正のイモビライザーが付いているからと安心しているユーザーさんもいますが、イモビライザーが装着されていても安心はできません。犯人が盗もうと思えば簡単に盗むことができます」。

バラバラにして売るから手荒な手口が増えている

 そして犯人側が盗む際の手口や盗んだ車両の捌き方も、以前とはかなり異なってきているという。「例えば第2世代GT-Rのようなパーツだけでも高価な車種の場合、盗んだクルマはバラバラに解体され、部品ごとに海外へ売り飛ばされてしまいます。1台のクルマをそのまま売るより、何点ものパーツとして売ったほうが高額になり、輸出もしやすいのでしょう。そのため、犯人側としてはある程度クルマに傷が付いても問題なく、盗む時の手口もかなり荒っぽくなっています。多少壊れてでも盗めればいい、と思っているのでしょう。未遂で済んだとしても、クルマはボロボロというケースも少なくありません」と丸山店長。GT-Rで狙われる主なポイントを上げてみよう。セキュリティを警戒してバッテリーにアクセスするボンネットのこじ開け、キーシリンダーの直結、一発で解除可能なワイヤー式サイドブレーキ、トランクの鍵穴からキーを複製(R32とR33の場合)だ。

 盗難被害に遭わないためには、後付けのセキュリティシステムで防犯性能を高めることが必須となるが、その前に愛車の弱点を把握しておくことが大切。特に第2世代Rはもっとも年式の新しいR34でも20年近くも前の防犯性であり、R32やR33に関しては純正イモビライザーさえ付いていない車両だ。さすがに何の防犯対策も施していないオーナーはいないだろうが、あらてめてGT-Rの狙われるポイントや被害例などを把握しておこう。ちなみにR35はイモビライザー付きだが、これも油断大敵。プロにかかれば簡単に解読できてしまう。さらに少し前に話題になった「リレーアタック」についても、対策の必要がある。セキュリティのプロショップを訪ねるなどして、現状と対策について今一度しっかり検討してほしい。

後付けセキュリティはプロが施工してこそ意味がある

 愛車を盗難被害から守る上で、後付けのカーセキュリティは心強い味方となる。よほど鉄壁な警備体制が敷かれた駐車場にしか駐めないのであれば話は別だが、なんの対策なしでは「どうぞ盗んでください」とアピールしているも同然だ。現状、大概のGT-Rオーナーは、すでにセキュリティを組んでいるだろうが、時代とともに機能は進化しており、数年前に装着したシステムを見直してみることも安心感の向上に繋がるはず。仮にまだなにも対策を施していないのであれば、今すぐにでも検討してほしいと思うほど、GT-Rは狙われる車種なのだ。

 とはいえカーセキュリティは、プロがインストールして初めて効果を発揮する。センサーの種類や強化するポイント、誤作動防止のコツなど、蓄積されたノウハウやスキルがあって、はじめて機能するアイテムなのである。闇雲に商品を探し、素人が取り付けたところで、まったく意味がない可能性は十分にある。

だからこそ、まずは信頼できるお店でプロの助言を仰ぎ、車両や自身の行動パターン、駐車環境など、さまざまな条件を加味した万全のシステムを構築してもらいたい。ともかくカーセキュリティとは、個々の車両に合わせてオーダーメイド感覚で仕上げていくモノ。最近ではスマホによる遠隔操作、ドラレコ連動型システムなど、一歩進んだ便利なアイテムも登場しているので、まずはプロに相談するのが一番だ。

ターゲットになりやすいGT-Rを守る最新対策とは

 さて、ここからはGT-Rに特化して、最新の防犯について話を進めよう。GT-Rユーザーからも信頼されているプロショップ「ワークスオートアラーム」の中村裕一代表に話を伺った。

 GT-Rは車上荒らし(部品やナビなどを盗られる)よりも車両自体の盗難が多い。イモビライザーがないR32/R33はもちろん、イモビライザーを装備しているはずのR34やR35ですら普通に盗まれてしまう時代。かつてはセキュリティを装着していれば安心、セキュリティをLEDなどでアピールしておけばOK、という時代もあった。しかし中古車相場が高騰している今となっては「サイレンが鳴ろうが盗む」というところまで来てしまった。そうなれば、しっかり対抗できるシステムを選ばなくてはならない。そんな時代になったということだ。

 窃盗犯の手順として、まずバッテリーを外してサイレンを止めることから始まる。これに対抗するにはバッテリー内蔵サイレンを追加することが有効だ。これで電源を遮断されても警報を鳴らし続けられる。そして鳴り止まなければサイレン自体を取り外そうとするので、すぐに見えない場所や取り外しにくい箇所、できれば2カ所に設置する。これで相当時間が掛かるので諦める可能性が高くなるだろう。さらには直結してセルモーターを回す、押し掛けするなどしてイモビライザーを回避してくるので、燃料系や点火系など2系統以上でイモビライザーを追加する必要がある。マニュアル車をほかのクルマで押してエンジンを掛ける姿が防犯カメラで撮られたケースがいくつもあるとのこと。そのような荒っぽい手口を使う相手には、こういったワンランク上のガードを仕込んで、やっと安心が手に入れられるのだ。

自宅ガレージから盗まれるケースも多い

 また、中古車を購入した際にすでにセキュリティが施工されていたが、使い方がよくわからない、センサーの感度調整が上手くできない、などの理由でシステムをOFFにしていて盗まれるケースが多い。せっかくインストールされているのに動作させていなくては簡単に盗まれて当たり前。悔やんでも悔やみきれないだろう。まさに宝の持ち腐れと言える事例だ。ぜひとも専門店に点検や調整を依頼して最大限活用してほしい。カーセキュリティ施工の老舗、ワークスオートアラームの中村代表も警鐘を鳴らす。

「自宅ガレージに入れているから安心と言っている方も、まだ狙われていないだけ。狙われたら簡単に盗まれます。自宅前や鍵付きガレージから盗まれた事例をたくさん見てきました。今夜遭うかもしれない盗難被害に、一日も早く対策をしてほしいです。車両の安全を毎日確認しにくい環境の場合は、GPSでの位置情報提供や駆け付けサービスもあるココセコムをオススメしています」

 窃盗犯のレベルが上がってきているが、守る方も対抗手段をしっかり持っている。頼らない手はないだろう。盗難が多いと言われるGT-Rに特化して話を進めてきたが、愛車がGT-Rじゃないからと安心はできない。最初にも述べた通り、人気車種、高級車はピンポイントで狙われる。窃盗犯が「面倒くさい」と思うような手段を講じれば、まだ未然で防ぐこともできるだろう。大切な愛車を守るため、今すぐにでも防犯対策を講じてほしい。

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