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新型BRZを買うか、それともライバルか? 予算350万円以下で手に入るスポーツモデル5選

新型BRZ

新型BRZと同価格で魅力あるクルマは買えるのか!?

 2020年11月18日に第2世代のBRZが世界初公開。それ以降、ことあるごとにtwitterなどのSNSで関連ワードがトレンド入りするなどクルマ好きを魅了してきた。そして、2021年7月29日。ついに先行予約受注が開始!

 価格は税込みで300万円オーバー(308万円~343.2万円)となった。だが、飛躍的に進化した走りとアイサイト(ATのみ)などの予防安全性能の強化、装備などを比較すると据え置きに近いことがわかる。スポーツカーとして非常に魅力的な1台であるが、同価格帯の予算があればクルマ好きが興味そそられるマシンが選べたりする。今回はBRZ(GR86も)に勝るとも劣らないスポーツモデルを5台厳選した!

トヨタGRヤリス RC/330万円(新車)

WRCで勝つために生まれたスーパーウェポンがまさかの同価格

 駆動方式にこだわりがなく、新車で同等以上のパフォーマンスがほしいユーザーにオススメしたいのがGRヤリスのRC。競技用ベース車両だが、アルミやカーボンの軽量素材が使用され、GRファクトリーのラインにて熟練工の手で生産される専用ボディ、WRC(世界ラリー選手権)で勝利するために開発された1.6L直3DOHCターボ+4WDシステムなど、特別感はBRZ(GR86)にはないものだ。

 パフォーマンス面も272ps/37.7kg-mと大きく上まわり、エンジンの存在を強く主張する。走りもどっしりと落ち着きがあり、攻め込んでも不安感が一切ない。ルックス、スペック、パフォーマンスを含めて、トヨタのホンキを感じるマシンだ。エアコンも装備されていないが後付けは可能なので実用性も問題なし。価格もエアコンと18インチパッケージ(大径ブレーキ含む)などを加えても350万円強だ。

 ただし、予防安全パッケージやスマートキーなどの装備はオプションでも設定はなく、安全性や使い勝手面でやや物足りなさを感じる。だが、走りを優先するなら気にならないはず。操る楽しさを満喫できるBRZ、4WDならではのトラクション性能を活かした刺激が気持ちいいGRヤリス。方向性は異なるが、ともにスポーツカーとしては一級品。どちらを選んでも満足度は高い。

マツダ・ロードスターRF S/343万9370円~346万7200円(新車)

ライトウエイトスポーツの魅力が味わえる唯一無二の存在

 国産新車で買える数少ないファストバックのFRスポーツとして、旧型BRZ(86)と比較されることが多かったロードスターRF。BRZの排気量が2.4L(235ps/25.5kg-m)となり、動力性能面では2LのRF(184ps/20.9kg-m)と直接のライバル関係ではなくなったかもしれないが、スポーツカーとしての魅力は今だ際立っている。新型となってBRZのドライバビリティ、人車一体感も格段に高まっているが、クルマから発する動きが手に取るようにわかる感覚は、いまだロードスターに一躍の長があるといえる。

 また、車重も約160kg軽く、タイヤの転がり始めやステアリングを切ったときの軽快感、オープンエアの爽快感などライトウエイトスポーツならではの気持ちよさを味わわせてくれる。パフォーマンス面ではさらに劣るが、より人車一体感を味わいたいならブレーキや駆動系が2Lと共通となる、レ―ス参戦ベース車両のNR-A(1.5L、275万5500円)も良いチョイスだ。

 ただ、キャビンはタイトで包まれ感が強すぎる感があり、大柄な人には窮屈に感じる。また、2シーター、トランク容量の少なさなど、実用性や使い勝手という点ではBRZに軍配があがる。ATならアイサイトも搭載され、予防安全性能も追いついた。また、ボディ剛性に富み、スポーツカーらしいダイレクトなハンドリングはロードスターにはないものだ。

BMW M235i&BMW M240i/230万円~(中古車)

世界を代表する高性能コンパクトFRスポーツも中古なら射程距離

 中古車まで幅を広げると、魅力的なクルマが候補に上がってくる。あまり古いクルマだと維持するのが大変なので、今回は現行モデルに絞って3台をピックアップする。

 筆頭に挙げたいのが、BMWのなかでもっとも小さなFRのスポーツクーペである2シリーズ。廉価版に2Lモデルも用意されているが、中古で買うなら新車のBRZよりも魅力的に映るグレードを選びたいところ。そこで、オススメしたいのが、上級モデルのM235i/M240i。M235iは最終の2017年式まで、M240iは最初期の2017年がギリギリ選べる。

 シルキー6と呼ばれる伝統の直6エンジンは3Lツインターボ。M235iで326ps/45.8kg-m、M240iは340ps/51.0kg-mとBRZを大きく上まわるスペックを誇る。ATだけでなく6速MTが設定され、機械式LSDがオプションで選べたのは、走りに重きをおいたBMWらしい。なによりBMWが持つステータスは正直BRZよりも上。所有する満足度も高いはずだ。

 ただし、足まわりは意外に柔らかく、ロールは大きめ。シフトフィールも大味でソリッド感に乏しい。スポーツ性能を望むならM2(最初期の2016年式で距離多めならが350万円台で見つかる)が存在する。プレミアムスポーツとして棲み分けたといえば正しい選択だが、ピュアスポーツ度という点ではBRZが上だといえる。

ルノー・メガーヌR.S./310万円~(中古車)

ニュル最速マシンのDNAが注入された本格FFスポーツも予算内!

 ルノーのモータースポーツ部門を担当するルノー・スポ―ル社がチューニングを担当。ドイツのニュルブルクリンク・北コースでたFF最速タイムを記録した激辛ホットハッチ・メガーヌR.S.(記録したのはトロフィーR)も、2019年式までが350万円以下で選べる。

 上級のトロフィーやトロフィーR、カップやMTモデルは予算オーバーだが、ATもトルコンではなくダイレクトな6速DCTで十分スポーツを楽しめる。エンジンは1.8L直4ターボ。最新モデルよりはやや劣るものの、279ps/39.8kg-m(現行は300ps/42.8kg-m)と1.5t弱の車重には十分すぎるもの。

 堅牢なボディ剛性と「4コントロール」と呼ばれる4輪操舵システムの仕立ては抜群で、操作に対するインフォメーションが絶妙だ。ドライバーに「いま、クルマに何が起こっているか」をステアリングを通じてリアルに伝えてくれる。電子デバイスの介入も嫌味がなく、乗り心地を含めて最良のFFスポーツと呼ぶにふさわしい。

 BRZもそれに近しい良さはあるが、パフォーマンスの面まで含めるとメガーヌが上。個性的なエクステリアは万人受けするとは言い難いことと、内装に色気が薄い点がイマイチなのがマイナス点か。ルックスが受け入れられるならかなり魅惑的だ。

スバルWRX STI/290万円~(中古車)

メーカーの技術力の高さを存分に味わえる熟成のAWDも手に入る

 国産屈指の4WDスポーツとして、いまだ人気が高い同門のWRX STIも予算内。残念ながら相場が高騰しているため、6万km以下で手に入るのは2015年式まで(10万kmオーバーなら2017年式まで広がるが……)。今回取り上げる中古車では、もっとも過走行なモデルとなる。

 セールスポイントは熟成されたエンジンと、AWDシャーシが織りなす抜群のシンクロニティ。308ps/43kg-mを発揮するEJ20は、初期で感じていたトルク不足を完全解消。ネガティブな部分を丁寧に潰した珠玉のフィールは、8000rpmまでよどみなく回る。2017年発売の改良モデルは、DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)がフル電子制御化されている。煮詰められた4WDシステムと滑らかで、ストローク感あるフットワークはまさに成熟の極み。速度を出せば出すほど車体が安定するのは空力効果もあってスタビリティの高さは国産車随一といえるだろう。

 ミッションは6速MTのみで、パッケージや駆動システムなどに古典的な要素も多いが、極めればここまで高みにまで引き上げられるという好例。自動車メーカーの卓越した技術力を堪能できるスポーツカーとして、後世まで語り続けたい1台だ。

 BRZとは走りの味だけでなく、趣味性の部分でも大きく異なる。熟成ワインのような深みのある高性能を味わいたいのか、ダンスパートナーのように気持ちよさ楽しむのかによって選択肢は変わるだろう。

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