車椅子の着座位置がシートの座面より高くなる
福祉車両で4輪駆動(4WD)車を探すと、機能や、メーカー、車種によって選択肢が限られる場合がある。ことに、車椅子のまま乗り込む福祉車両の場合、4WDを選べない場合がある。
4WDを選べない理由はいくつかあり、ひとつは、車椅子がクルマの座席の座面より着座位置が高くなるので、床と天井の間に車椅子の人が天井に頭をぶつけてしまわないだけの距離が必要となること。軽自動車であればスーパーハイトワゴンや、昔からのワンボックス型のワゴン車が相当するし、登録車ではミニバンやハイトワゴンに、車椅子のまま乗れる車種がある。
さらに、リヤサスペンションを加工することで、スロープを使う乗降時に車両後端を下げる機構を持つ車種もあり、この場合も、後輪駆動用のデファレンシャルがない方が都合はいい。したがって、前輪駆動(FWD)車のほうが、一般的に好都合となる。
一部の車種で4WDモデルを選択することができる
業務用として使われることの多い登録車のワンボックス車などは、たとえ後輪駆動(RWD)であっても、多くはスロープではなく電動のリフト機構を利用するので、車室内の天井高さが確保できるなら、後ろの床下にデファレンシャルがあっても差し支えない。
以上のような事情があるなかでも4WDも選べる車種はある。たとえば、ミニバンのホンダ・ステップワゴンや、軽自動車のスーパーハイトワゴンであるN-BOXは、車椅子仕様で4WDを選べる。ダイハツの軽自動車のワンボックス型ワゴンであるアトレーとハイゼットにも、4WDの設定がある。ただし、ステップワゴンの場合はガソリンエンジン車に限られる。
2列目の回転シート車もオススメ
降雪地でも、冬はスタッドレスタイヤを装着すればFWDでもかなりの道を走れるだろう。しかし、そもそも車体後部に車椅子で乗ることになる福祉車両では、後輪への荷重が増え前輪荷重が減る。降雪量が多かったり、急な坂道があったりする地域では、4WDであるほうがより安定して走行できるはずだ。また、余計な挙動を生じず滑らかに走行できることが、障害を持つ人の安心を高めることにもつながる。