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「LED」ヘッドライトって何? 知っているようで知らない「HID」との違いとは?

ヘッドライトの「明るさ」はクルマ好き永遠のテーマ

 最近「LED」や「ビーム」、ひと昔前に流行した「HID」など、ハロゲンタイプのヘッドライトがスタンダードだった昔ながらのクルマ好きにとっては「なんのこっちゃ?」だろう。HIDとLEDの違いって何? それぞれのメリット、デメリットは? 解説しよう。

ハロゲンが主流だった時代

 ヘッドライトの暗さは長きに渡って、悩みのタネだった。具体的にはハロゲン球の時代で、ハロゲン球とは、いわゆる白熱球に窒素などの不活性ガスとハロゲンガスを封入することで明るさを確保したものだ。

 ナス球などと呼ばれた、ただの白熱球よりも明るくなったとはいえ、それでも暗いのは事実。最近のハロゲンはリフレクターなどの工夫で、悩むほどは暗くないが、当時はリレーハーネスを入れたり、禁断の100W球にしたりしたものだ。

90年代半ばにHIDが登場

 そこに綺羅星の如く登場したのがHIDだ。日本車で初採用は1996年の日産テラノで、マイナーチェンジで採用されたが、これは乗用車初。

 商用車を含めると同じく1996年に登場した三菱ふそうのスーパーグレートだった。日産についてはグループCのレース車両で1992年に市光製を採用していて、その流れでテラノも同じく市光製だった。当時、当然のことながら、各ランプメーカーがHIDの開発は行っていたが、市光製が一番明るかったという。ちなみ世界初は1991年のBMW7シリーズとされているから、日本メーカーの技術力も先端を行っていたのは確かだ。

アフター用品も登場しHIDは人気アイテムに

 出力や色温度(純白など)において、ハロゲンランプとは比べ物にならない性能を確保したHID。当初は高価な装備だっただけに、車両価格自体が高い高級車や大型商用車を中心に普及する。その後、軽自動車にも標準で採用されるようになった。また、ハロゲンバルブのユニットに使えるバルブキットも登場して人気となったのも記憶に新しいところ。

 こちらも当初は数十万円する高級なものから始まって、今では数千円のキットが主流となっている。

 一方、この明るさ革命の流れでHIDの次に登場してきたのがLEDヘッドライトで、日本初というか世界初で採用したのが2007年のレクサスLS600hとなっている。

 ただ、その後一気に普及せず、空白期間がけっこうあり、現在は軽自動車にも採用されるまでになった。

 

HIDとLEDの違いを解説

HIDのメリット・デメリット

 では、HIDとLEDはなにが違うのだろうか? 消費電力は同じぐらいだし、純白に限れば似たような感じではある。まずHIDだが、こちらはディチャージヘッドライトやキセノンヘッドライトと呼ばれることからもかわるように、細いバルブの内部にキセノンガス、水銀、ヨウ化金属などが封入してあり、内部の電極間で放電し光が発生する。

 メタルハイライドと呼ばれる発光方法のひとつで、蛍光灯に似た仕組みと言っていい。メリットは消費電力が少ないことと、ハロゲンに比べて寿命が長いこと。

 一方のデメリットとしてはバラストなどの別ユニットが必要なことと、発光が安定するまでに時間がかかること。

 素早い安定のために入れられているのがキセノンガスだ。また発光した瞬間は青みがかっていることがあるが、こちらも内部のガスの特性によるものとなっている。また発熱が少ないため、降雪時にヘッドライトに付着した雪が解けないため、ウォッシャーが必要になることもあげられる。

LEDのメリット・デメリット

 LEDについては発光ダイオードとも呼ばれることからわかるように、ハロゲンはもちろん、HIDともまったく異なる理屈だ。かなり難しいので簡単に説明すると、プラスとマイナスの電気をチップの中で衝突させることで光に変えるというもの。

 消費電力が少ないのは電気を直接、光にするからだ。メリットはこの消費電力の低さと瞬間的に点灯すること。デメリットは、一気に普及しなかった理由のひとつである、熱対策が大変ということ。

 LEDは発熱がかなり少ないと言われるし、たしかにそうなのだが、バルブそのものはそうでも、付属のユニットからの熱が問題となる。また純白の光もメリットのように思えるが、じつは白を直接発光させることができず、ほかの色を混ぜて作るしかないのが現状だ。

 

まとめ:LEDの次はレーザーと言われているが

 現状ではハロゲンは商用モデル&グレードに残っているものの、HIDの採用は減っていて、LEDのヘッドライトは珍しくなくなってきている。LEDの次はレーザーとされ、ドイツ車を皮切りにして普及が進むだろう。

 光の発生メカニズムがまったく違うものがドンドンと登場して進化していくのは、他の部位に見られないものかもしれない。

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