ブランド違いのOEM車にも異端児はいるのか
自社製品に別のメーカーのエンブレムを装着して、相手先に供給するのがOEM車だ。ダイハツは自社のロッキーをトヨタにライズの名称で供給している。逆にトヨタは、自社のカムリをアルティスの名称で供給している。
カムリも人気車ではないが、アルティスの売れ行きは、その0.5%と少ない。1カ月に5台、1年で60台の販売規模は、貴重ともいえるだろう。2020年における1カ月平均の売れ行きがヒトケタの車種は、ホンダのクラリティPHEV(2台)とNSX(1台)、ダイハツ・メビウス(3台)程度だ。メビウスもプリウスαのOEM車だった。
売れなくてもいい販売顧客つなぎとめ戦略
OEM車の売れ行きが少ない理由は、本来は「穴埋め」になるからだ。例えばスバルやマツダは、かつて軽自動車を自社で開発/生産していた。今はコスト低減などのために、メーカーは軽自動車事業から撤退したが、販売まで終了すると不利益も生じる。ユーザーがほかのメーカーに乗り替えて、販売会社は、車検、修理、保険などの仕事まで失うからだ。
今のクルマは1台当たりの粗利が減り、販売店は、車両の販売だけでは儲からない。そのために車検や保険で稼いでいるから、顧客を繋ぎ止めたい。
月一桁でも価値があれば続く希少なブランド
OEM車はこのような「穴埋め」に使われるから、基本的には積極的に売ることはない。従ってスズキ・スペーシアは2021年1〜8月に1カ月平均で1万2373台を販売したのに、OEM車のマツダ・フレアワゴンは960台だから8%に留まる。
積極的セールス車ではないのに売れている例外!
ただしOEM車にも例外があり、トヨタの販売するダイハツ製は販売が好調だ。ルーミー、ライズ、パッソは、ダイハツが開発と生産を行ってトヨタに供給するOEM車だが、売れ行きは、ダイハツブランドのトール、ロッキー、ブーンよりも圧倒的に多い。