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マフラーの「触媒」って知ってる? クルマ好きには常識の「スポーツ触媒」とは何か

スポーツ触媒のイメージ

公道も走るチューニングユーザーのマストアイテム

 排気系パーツと聞いて誰もが思い浮かめるのは、マフラーとエキゾーストマニホールドだろう。両方ともパワーアップに欠かせないアイテムだが、もうひとつ忘れてはいけないのが『スポーツ触媒』だ。チューニング好きなら優れた排気効率と排ガスの浄化性能を両立、という謳い文句は一度ならず聞いたことがあるかもしれない。

ノーマルは高温になるほど抵抗が増えてしまう

 触媒のメカニズムや純正との違いなどを調べてみよう。触媒は排ガスに含まれる不純物を取り除くことがおもな役目で、エキゾーストマニホールドよりも後方に設置されている。ハニカムまたは格子状の断面に白金やロジウムといった貴金属を蒸着しており、排ガスがそこを通過するときの化学反応で浄化されマフラーから空気中へ放出する仕組みだ。

 外したノーマルの触媒を見てみると、内部の目が細かく浄化能力は高そうな反面、排気効率は絶対に低いだろうと想像がつく。そのため昔は触媒と交換するストレートパイプや、中身を抜いたりするチューニングが流行っていた(もちろん公道走行は不可)。とくにタービン交換などで極端にパワーを上げたエンジンは、純正のままだと「排気が詰まって壊れる」とも言われ、フルチューンには百害あって一利なしであったことも確か。

 だが触媒がなければ明らかに違反なうえ車検も通らないし、地球の環境にとってもいいことなんて何ひとつない。そこでチューニングという趣味を堂々と楽しめるよう、大手メーカーがこぞってスポーツ触媒を開発したワケだ。代表的な製品を例にノーマルとの違いや、矛盾するふたつの性能を両立できる理由を探ってみたい。

各社独自技術を導入して性能を追求

 紹介するのは『フジツボ』のスポーツキャタライザー。見た目の特徴は純正に比べ内部のセルが少ないことで、理由は説明するまでもなく排気抵抗を減らすため。とはいえ数が少ないせいで排ガスがクリーンにならなかったら意味はなく、蒸着させる貴金属を独自に調合し、ハニカム自体も熱膨張が少ない素材を採用している。

 ノーマル触媒のハニカムはセラミックが多く、高温になると熱膨張してさらに目が細かくなるという。高回転域を多用するサーキット走行や、熱量の大きなチューニングカーでは致命傷であり、パワーロスや上で書いたエンジンブローにも繋がりかねない。

 同じく『HKS』のスポーツ触媒は基本性能として対応するパワーを500~600ps(車種別ではそれ以上にも対応)としており、セルの数は多くの車種で浄化能力と高出力をバランスした150個。さらに抵抗となる内部の段付きを独自の技術でなくし、よりスムースな排気の流れを実現しているという。フィンの厚みも耐久性を考慮した0.1mmに設定し、長く安心して使い続けられるアイテムといえる。

 同じく『サード』のスポーツキャタライザーは優れた排気効率を誇る大径セルを使いながら、保安基準の値を大きく下まわる浄化性能を発揮しセルの耐熱温度はなんと1200℃。曲がった部分でもパイプ径が変化せず、フランジの面取りを徹底させるなど、職人によるハンドメイドならではの高いクオリティも魅力だ。

 いずれも車種専用品なら保安基準に適合し、車検だろうと取り締まりだろうと心配は無用。スポーツ触媒が世に出始めた頃は、排気効率と浄化性能のバランスがよくなく、敬遠する人やプロショップも少なくなかった。しかし現在は熟成が進み、立派なチューニングパーツとして認知され、吸排気系のカスタムには欠かせないアイテムといえるだろう。マフラーとエキマニに続くステップとしても、タービン交換の下準備としても使う価値は十分にある!

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