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「TGR 86/BRZレース」で注目を受ける「ネクセンタイヤ」のレーシング性能

TGR 86/BRZレースで注目を受ける「ネクセンタイヤ」本当の実力

 数あるワンメイクレースの中でも最激戦区として知られる、TGR 86/BRZレース。それもプロフェッショナルシリーズにおいて、最近にわかにネクセンタイヤが注目されるようになっている。 その理由は至極簡単だ。ひとりN FERA Sport R(エヌフィラ スポーツ アール)を装着して臨む、岡本大地選手の活躍による。予選ではつねにポールシッターから1秒と遅れず、その上、第2戦・富士では5位入賞を果たしているからだ。もちろんペナルティが相次ぐ波乱の展開だったとはいえ、従来では考えられなかった成績にパドックは騒然。「あいつ誰だ?」に始まり、「そんなにいいのか?」と。 その上、第4大会・SUGOからは新スペックが投入され、より話題を集めることに。どのチームか明かしてはくれなかったものの、すでにテストしたチームもあるという。そこでネクセンタイヤのN FERA Sport Rがどうスペックをあらため、そしてどういう成果を残しているか、報告させていただこう。

スーパーFJ最強のドライバーと開発

 その前に、岡本選手の紹介を。TGR86/BRZ Raceにおいては、はっきり言って無名の存在である。だが、エントリーフォーミュラである「スーパーFJ」では現在、最強のドライバーであり、台数もレベルもダントツの鈴鹿シリーズ、そして全国転戦の「スーパーFJジャパン・チャレンジ」で、それぞれ2連覇を飾っている。 まぁ、TGR86/BRZ Raceのプロシリーズとは、そもそものレベルが違うという指摘は否定しまい。だが、カートレースを幼少のころからやっていたわけではなく、ハコのレース経験もTGR86/BRZ Raceだけながら、ここまで戦えていることは、ひとつの評価対象とはなるだろう。

 まずシリーズ序盤戦の躍進だが、岡本選手を擁するNEXEN RACING TEAMの金光浩監督は、こう語る。「去年はコロナの影響でクルマとタイヤの合わせ込みが……。私たちは韓国のタイヤメーカーなので、エンジニアが入国できず、テストを一回もできなかったんです。そんななかで今年になって、ある程度コロナも落ち着いてきて、いまだにエンジニアは入国できないんですけど、研究所とオンラインで話し合って、このタイヤに対する内圧とセッティングを何回かテストして、ようやく合わせ込める最適な内圧を見つけました」

「僕はネクセンさんと初めて86レースを始めたので、最初のうち適切な内圧がわからなかったし、クルマのスイートスポットを掌握していなかったというのが正直なところなんですけど、タイヤが安定してきたから、僕のドライビングも試せる幅が広がったし、セッティングも試せるところが広がって。とにかく、やれることが増えたから、ほかのドライバーに追いついて、差が縮まったというのを感じました」と語るのは岡本選手だ。

「ドライバーの進化も感じますよ。大地は初めてのハコのレースで初のネクセンタイヤなんですが、初年度より安定して、レースの中でもチャンスがあるときは、ちゃんとつかんでくれるので、すごく安心感もあります。足引っ張っているようなことは全然なくて(笑)、ほかのドライバーに履いてもらっても、彼のほうが速いですからね」とキム監督は補足した。

NEXEN N FERA Sport Rの特徴とは

 その上で、スペックをあらためられた新バージョンの特徴としては「いちばん大きく変わったのはコンパウンド。さらに構造が硬いという課題もあったんですね。それを今回のスペック変更で構造をあらためてマッチさせるとともに、コンパウンドを86レースに適した、よりハイグリップなものに変えています」とキム監督。 さらに狙いとされた点を岡本選手は、「予選の一発が課題だったんですけど、新しくなったSUGOからはようやく引き出せるようになって。実際の予選になると、いろいろ絡むので、僕らが望んでいた順位には行かなかったんですが、前よりもタイム差が詰まっていたり、専有走行でのフィーリングが全然違っていました。それと、もともとライフという部分ではアドバンテージあると思っていて、セカンドベストタイムもそうですが、レースにおいてもまわりより落ち幅が少ないというのを感じました。だから2レース制の大会はチャンスじゃないかと思っています」と語っていた。 実際、このインタビューを行った第7大会・岡山が2レース制であり、予選ではベストタイムでは14番手ながら、セカンドベストタイムでは10番手。 まさに岡本選手の言葉どおりの状況となっていた。ただ、決勝では2レースともあと一歩のところで入賞に届かなかったものの、とくにレース1においては、12周のレースでラップ1秒遅れていなかった。

「本当はテストしたら、鈴鹿ですごく良かったので、中止になったのが残念なんですけどね(笑)。富士でも良かったので、最終戦が楽しみです。今後は研究所ともコミュニケーションをもっと取り合って情報を頂いて、どういう方向で行くか相談しながらやっていこうと思います。もっともっと期待してもらってもいいですよ」とキム監督。今後さらにネクセンタイヤから、目が離せなくなりそうだ。

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