サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

バブル時代に憧れた「W126型ベンツSクラス」がまさかの現役!「フランクフルト最古のタクシー」にガチで乗ってみた

そろそろ「クラシックカー」の仲間入りな「W126」

 メルセデス・ベンツの乗用車ラインアップの頂点「Sクラス」の2代目にあたる「W126型」は、1979年から1991年にかけて作られていて、ちょうどバブル時代の日本でも大量に走っていた。今では製造から30年以上が過ぎ、「クラシックカー」に片足を突っ込んだ「ヤングタイマー」車として、まともな個体だけ淘汰され、世界的に相場が上がってきている。

 世界を股にかける自動車カメラマン・ケーゴ氏がドイツ出張の折に、本国でも希少な「W126」のタクシーに遭遇して突撃取材を敢行。そのリポートをお届けしよう。

「Hナンバー」を掲げたレトロタクシー

 ドイツの街中を走るタクシーといえば、メルセデス・ベンツの「Eクラス」やフォルクスワーゲンの「トゥーラン」。空港や駅前にクリーム色のタクシーが列をなして客待ちしているシーンを見かけた人も多いはず。

 ドイツへの長期出張最終日のこと。夜のフライトまで時間を潰そうとフランクフルト中央駅のタクシー乗り場の前を通りかかったときのことでした。長いタクシーの行列の先頭に停まる1台に目が留まりました。そこには懐かしいメルセデス・ベンツの「Sクラス(W126)」。

 しかもナンバーは「フランクフルト126H」。末尾の「H」はヒストリックナンバーの意味。製造から30年が経過し、オリジナルに近い姿を保つ車両に与えられるナンバーで、税金などが優遇されるのです。

「W126」自体、ドイツでも見かけることが少ない上に、2021年にもなってW126のタクシーを見かけたことに驚いて思わず撮影。乗ってみたいなあと思いつつも、地下鉄で目的地へ向かったのでした。

フランクフルトの中心街で再会するも……

 野暮用とランチを終えて、荷物を預けているホテルへ戻ろうとしたとき……。中心街のタクシー乗り場にまたもやW126タクシーの姿が!

 これはもう運命の再会としか思えません。ちゃんと撮影させてもらおうとドライバーに声をかけたところ、撮影を快諾してもらえたのですが、ちょうどお客さんが来てしまい、名刺だけいただいて走り去る姿を撮影。

 うーん、やっぱり乗ってみたい。ホテルで荷物を引き取りながら妙案を思いつきました。取材しつつ空港まで乗せてってもらえばいいんだ! 早速、もらった名刺に記載されていた携帯電話に電話したところ、10分ほどでホテルまでやってきてくれました。

イマドキのクルマよりも快適なタクシー

 電話の主がついさっき突撃取材を敢行した、謎の東洋人とは思ってなかったみたいで、ドライバーのジークフリート・クデラーさんは一瞬驚いた様子でしたが、笑顔でグータッチを交わし車内へ。

 ロングホイールベースの「300SEL」は1988年式。年式相応にくたびれた部分もあるけれどとても良い状態で、小雨で湿度が高い日だったけどエアコンもきちんと機能していました。懐かしい青いファブリックのシートもとても快適。

 なにより驚いたのが乗り心地と静粛性です。ディーゼルが多いドイツでは珍しく、ガソリンとLPGのハイブリッド。シフトショックも皆無でめちゃくちゃスムースな加速。ボクの仕事グルマ「S211」のEクラスよりも快適で少し悔しい。

ドライバーは根っからのカーガイ

「W126」のほかにも「W220」(1998年~2005年)のSクラスのタクシーを所有しているクデラーさん。W220は修理で長期入庫中なので、最近はもっぱらW126で営業しているとのこと。とはいえ、平日のみの営業でほぼ常連さんがお相手ということで、街を流すことは珍しいみたい。1日に2回も見かけたボクはよっぽど運がよかったんですね。

 営業を始めて30年以上というクデラーさんは、タクシードライバーであると同時に生粋のクルマ好き。趣味車として「ポルシェ911タルガ(930)」も所有。若いころは自動車整備も学んでいたらしく、整備も自らこなすとのこと。W220とW126だとどちらが好み? と質問すると、W126と即答。W220は電子制御が多く、故障すると厄介だとか。

同じ料金でVIP気分が味わえる

 リヤシートのフットスペースが広大な「300SEL」。Sクラスだからってほかのタクシーよりも料金が割高になるわけではないので、もしもクデラーさんのタクシーに乗れたら同じ料金でVIP気分が味わえてちょっと得した気分。フランクフルトの街中でW126のタクシーを見かけたら、用はなくても乗ってみることをオススメします!

モバイルバージョンを終了