サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

あの「シャコアゲ」軽も今ならヒット確実? 誕生が早すぎた「エポックメイキング」なクルマ5選

SUVイメージ

今見ても色褪せないクロスオーバーSUV&クロカン4WD!

 思い返せば、発売当時は売れなかったが、今デビューしていたら大ヒットしていたかも……というクルマ、皆さんのなかに1台はありますよね!? メジャーなところではホンダの初代ステップバン(ハイトワゴン)はそうだし、マツダのベリーサも現在、プレミアムなノートオーラが売れてること、最新のマツダデザイン&スカイアクティブが評価されていることを考えれば、売れる条件は整っているように思う。

 今見ても色褪せないクルマはそのほかにも数多くあるが、今回は世界的に人気の高いクロスオーバーSUV、人気が高まりつつあるクロカン系四駆のジャンルに絞って、再評価されるべきクルマをピックアップした!

日産スカイラインクロスオーバー(2009~2016)

 ちょっとしたボタンの掛け違いと今のSUVブームよりも少しだけ早くデビューしたために、流行に乗り切れなかったSUVの代表格といえばスカイライン・クロスオーバーじゃないだろうか。12代目スカイラインのシャーシにスタイリッシュなクーペ風のスタイリッシュなボディを被せ、トヨタ・ハリアーやレクサスRX以上のスポーティさを兼ね備えたクロスオーバーSUVとして2009年にデビュー。

 エンジンはV6の3.7Lで330psを誇り、世界的にも数少ないFRベースの4WD(2WDもあり)。スカイライン譲りの走りはかなり痛快だったし、アメリカではインフィニティEXとしてスマッシュヒットを記録。かなり評価は高かった。

 ただ、当時はクーペSUVのジャンルは確立されておらず、居住性/荷室の狭さが不評。また日本のマーケット無視ともいえる3.7Lのみの設定と、V36セダンよりも50万円以上高額だったこともあり、触手を伸ばす人は少なかった。エントリーモデルとして2.5L仕様(中国仕様にはあり)があれば、もう少し状況が変わったかもしれない。

 もうひとつはスカイラインの派生車としてラインアップに加えたこと。インフィニティブランドの日本国内導入検討の影響を受けたのは否めないが、このクルマこそ、インフィニティEXとして新たなプレミアムSUV路線で売れば良かったと思う。

ホンダ・エレメント(2003~2005)

 これまでも時代を先取りしすぎた、個性的なクルマをリリースしてきたがホンダ。SUVジャンルの筆頭といえるのが、エレメントだ。開発にはホンダR&Dアメリカの若いエンジニアが携わり、ジェネレーションY(当時の20代前半まで)世代に向けたモデルである。

 ベースとなったのはCR-V、エンジンは2.4Lの直4DOHCで160ps。海外では5速MTとFFも用意されたが、国内には4速ATの4WDのみの設定だった。日本には2003年~2005年まで逆輸入車として販売された(アメリカでは2002年~2011年まで販売)。約2年しか販売されなかったが、カクカクとしたボディに樹脂パーツでエクステリアにアクセントをつける手法は最近のSUVに見られるモノで、シートやフロアは日産エクストレイルよりも早く防水処理が採用されている。

 道具感ある無骨可愛いデザインは最近のトレンドだが、当時は安っぽいと不評だった。また、1790mmの全幅も当時はかなり大型の部類だったが、現在のSUVのなかではスタンダードであるし、両側観音開きのドアは抜群のユーティリティを持ち、「ほかとは違うクルマに乗りたい」と求める今のクルマ好きの時流にもマッチするなど、まさに時代が早かった。今、手に入れてカスタマイズして楽しみたい1台だ。

ダイハツ・ネイキッド(1999~2004)

 アウトドア、レジャー人気が高まりつつあった2014年にデビューし、絶妙なSUV感とカジュアルポップな雰囲気でアクティブ志向のユーザー、女性層を中心に大ヒットとなった初代スズキ・ハスラー。そのハスラーと同様のコンセプトで15年前に登場したものの、短命に終わったのがダイハツ・ネイキッドだ。

 1997年の東京モーターショーの高い反響を受けて、1999年に市販化された。当時のレトロブームの影響もあり、スクエアなボディに丸目の愛らしいフェイス(後期には角ヘッドライトのFも設定あり)、無骨さを演出するビス止めのボディパネル、アウターヒンジを採用するクラシカルなデザインを採用。最低地上高を180mm(4WDは150mm)と高くすることで、走破性を確保するなど軽クロスオーバーのはしりといえるクルマだった。

 ただし、アウトドアブーム真っ盛りの現在なら受け入れられる「シンプル&タフ」、そしてちょいアゲ車高でまとめられたスタイリングは、ハイト軽ワゴン全盛の当時は「狭い、安っぽい」と評価され、ユーザーの支持を得ることはできなかった。現在はその後継ともいえるダイハツ・タフトが生産されているが、ネイキッドが持っていたレトロ&タフ路線での復刻を見たかった気がする。

日産ラシーン(1994~2000)

 本格クロカン4WDが隆盛を極めていた時代に、まったく新しい都会的なライトカジュアルなSUVを提案。1980年代後半から1990年代前半に性能ではなく、デザインで時代を切り開いたパイクカーの最後を飾るラシーンもデビューが早すぎた1台だ。

 デビューは1994年。ベースになったのは7代目のサニーの4WDで、製作は歴代パイクカーを製造してきた高田工業が請け負った。スクエアな5ドアハッチバックボディのフロント部にグリルガード、リヤ部に背面タイヤを組み込み、若干車高を上げることでSUV感を演出。クロスオーバーSUVの先駆けといえる要素が盛り込まれていた。

 エンジンも発売当時は1.5L(105ps)のみだったが、車重に対して非力だったため、のちに1.8L(125ps)、2L(フォルザ/145ps)が追加されている。当時はヒットとは言えなかったが、デビュー当初はイメージキャラクターにドラえもんを起用して話題を呼び、生産終了後にもTVやドラマで活躍。最近ではアウトドアを軸とした女子高校生の日常を描くマンガ、アニメ、TVドラマの「ゆるキャン△」に登場したことで注目を集めるなど、生産中止から20年以上が経過した今もそのデザイン力は健在だ。

 現在、コンパクトクラスのSUVが人気だが、残念ながら日産にはラインアップなし。日本でのサイズ感もよく、ほかにはないボクシーなオフ系デザインで人気の高いラシーン。アウトドアブームな今、デザインをしっかりと受け継いだ現代版はウケるのではないだろうか。

いすゞ・ビークロス(1997~1999)

 2011年に登場すると高級スポーツSUVとして大ヒットし、ジャガー/レンジローバーの再起のきっかけとなったレンジローバー・イヴォーグ。そのイヴォーグよりも14年前に同様のコンセプトで1997年にデビューしたのがいすゞビークロスだ。

 コンセプトカーは市販化の4年前となる1993年にお披露目。伸びやかで、丸みを帯びたスタイリッシュなデザインは、ゴツゴツのクロカンが主流だった時代に異彩に写った。市販車はビッグホーン・ショートボディがベースとなったが、コンセプトカーはジェミニの車体を使用し、乗り心地/高速安定性/悪路走破性を高次元で融合させることを目指したクロスオーバーSUVだった。

 デザインを担当したのは、のちに日産のデザイン本部長に抜擢された中村史郎氏。いすゞのコンセプトは時代の先端を走っていたのだ。車体がクロカン用のラダーフレームとなったため、コンセプトカーが目指した洗練された乗り味とはいかなかった。だが、定評のある3.2Lエンジン(215ps)と最新の電子制御トルクスプリット4WDを組み合わせ、レカロシート&モモのステアリングを標準装備するなど、外装だけでなく、全体的にスポーティテイストに溢れていた(後方視界が悪いのでバックカメラを標準装備も画期的だった)。

 スポーツSUVという新たなジャンルを打ち出したものの、上述したとおり、時代はクロカン全盛期。流麗なスタイリングのSUVは受け入れられず、意欲作であったが商売的には失敗してしまう。コンセプトカーとして5ドアバージョンも製作するものの、乗用車からの撤退の流れは止められず、市販化は幻に終わった。もし、ビークロスが当初の企画どおり、クロスオーバーSUVとしてデビューしていたら、ハリアーと双璧をなすヒット作になっていたかもしれない。

モバイルバージョンを終了