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フォードの大衆車「アングリア」って知ってる? 英国車だらけの「旧車ラリー」に参加してみた

イギリス車ファンたちによる手づくりのクラシックカー・ラリー

 英国車のみのヒストリックカー・ラリー「ジョンブルin妙高」が今年10月23~24日、5年ぶりに開催された。コロナの影響というわけではなく、主催する長尾和青氏が育児に専念するということで、2016年、10回目の開催を最後に一旦休止。東京オリンピックと同じ1964年の生まれという長尾氏、それに合わせてオリンピックと同様に次回は4年後、2020年の開催予定であったが、コロナでのイベント自粛もあり、2021年が11回目の開催となった。

 筆者は愛車である1964年式の「フォード・アングリア」で、同じく英国ヒストリックカーを楽しむ篠崎さんとエントリー。スイングトップに、ブルーオーバルのワッペンを篠崎さんの奥さまに貼ってもらい、お揃いのコスチュームとした。気分はフォードワークスチームだ。こうした遊びができるのもヒストリックカーならではだろう。

「コマ図ラリー」だがクイズなどお楽しみ要素もあり

 今回は新潟県妙高市でも人気の「ロッテアライリゾート」が宿泊地。スタートおよびゴールも、ここになる。北は山形、西は和歌山、各地からエントラントが集まった。受付でルートマップとともに渡されたゼッケンを貼るなど、エントラントは準備を始める。

 この「ジョンブルin妙高」は、指示速度に従い、その正確さを競う「コマ図ラリー」である。だが、ルート上にある目標物をヒントにしたクイズのほか、1970年代に人気だった「スカベンジャーラリー」の要素も含まれており、誰もが楽しめる内容となっている。

 こうした競技の要素それぞれに役に立ち重宝するのが、ストップウォッチや、加算だけでなく減算してくれるキッチンタイマーだ。また筆者は愛車フォード・アングリアにアナログのトリップメーターを装着している。大抵のコマ図はキロメートル指示。マイル表示の英国車には重宝するアイテムなのである。

 ドライバーズミーティングでは主催者の長尾さんが注意事項などを伝え、ゼッケン順に順次スタート。われわれのフォード・アングリアもチェックポイントを目指すのだった。

 少ないスタッフで運営しているため、タイム計測は、タイムカードで時刻を記入したり、コンビニエンスストアで商品を購入してレシートに押された時刻で行うチェックポイントもあり、それもまた楽しい。

 次なるチェックポイントは日本の滝百選に選ばれている「苗名滝」。名物のソフトクリームが食べられるが、この日はあいにくの雨模様に加え気温も低い。「カフェグランド」さんが機転をきかせてコーヒーへと代換えしてくれるというも、ほとんどのエントラントは濃厚ソフトクリームを選択。そして、体が芯まで冷え切った(笑)。

 ラリー初日の走行距離は176km。初日最後となる第6チェックポイントは、出発地であった「ロッテアライリゾート」だ。

 夜は、競技1日目の暫定順位の発表に加えて、懇親会を兼ねたパーティーが行われた。この手の「ヒストリックカー・ラリー」の楽しみのひとつである。エントラントが持ち寄った景品を目当てに、ビンゴも白熱した。

ラリーの締めは、のんびりゆったり「ジムカーナ」で

 ラリー初日と打って変わり、2日目は見事な秋晴れとなった。この日は妙高高原周辺を周遊し、指示速度により忠実に走る「レギュラリティテスト」もあり、楽しめる要素は盛りだくさん。

 初日は見ることのできなかった、素晴らしい妙高の山々を眺めながらのコースを楽しめたのだった。

 63kmのルートを走行し、戻ってきた「ロッテアライリゾート」駐車場に特設された「ジムカーナ」が、「ジョンブルin妙高」最後の競技となる。設定された1分8秒にいかに近づくことができるかを競う「設定タイム競技」と、とにかく速いのが勝ちという「ハイスピード競技」の2種あり、1本目の設定タイムでコースの下見ができるというのもありがたい。しかし、筆者のアングリアはあまりに遅く、ハイスピード競技では、カメさん賞を獲得。まぁ、何も貰えないよりは嬉しかった(笑)。

 ユニオンジャックが振り上がりスタートするのは、埼玉県より参加された若尾さん夫妻の1967年式「ミニ・マーコスGT」。

 そして、愛知県から参加された西宮さん夫妻の1967年式「MGミジェットMk3」。速くても遅くてもミスコースしても、みんな笑顔だ。

 大きくロールしているのは、筆者の1964年式フォード・アングリア。

 美しい黒のボディは三重県から参加の服部さん。きれいにパイロンをスラローム。

 走行を終えたエントラントは、あ、ミスコースした! など他エントラントの走行を楽しむ。

 ジムカーナ会場は見学可能ということから、地元・新潟県のホンダNL360の愛好家たちが応援に駆けつけた。

 そして、いよいよ競技結果の発表である。表彰式では、遠方賞など、さまざまな賞典が設けられており、記念品は、このようにピストンやコンロッドを使ったものもある。クルマ好きにとっては、かけがえのない思い出になる。

 第11回目の「ジョンブルin妙高」を見事制したのは、1965年式「MG1100」で群馬県から参加した早坂夫妻。おめでとうございます!

 2位に輝いたのは埼玉県から参加の丸山克己さん&直己さんの親子ペア。1957年式「MGマグネットZB」での参加。終始、指示タイム計算をしていた息子さんが勝利に導いたか?

 「ジョンブルin妙高」には第1回目から参加。5年ぶりの開催を嬉しく思っているというのは、千葉県から参加の上原さん夫妻。1966年式「ロータス・エランSr.2」は珍しいレフトハンドルだ。

 岐阜県から参加の新谷永さん&松浪正晃さんペアは1966年式「ジャガーEタイプSr.1 FHC」で参加。ラリーイベントはもちろん、サーキット走行など、さまざまなヒストリックカー・イベントを楽しむベテランだ。

 今回の最古車となる1948年式「MG YA」でエントリーしていたのは、千葉県より参加の小川さん&加茂川さんペア。2日間にわたり運転前と運転後にプラグの焼け具合をチェック&調整して、標高差のあるこのラリーに挑んだのだった。

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