サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

カサカサに劣化した愛車をなんとかしたい! お金はかかるけどプロが「全塗装」をオススメするワケ

全塗装のイメージカット

旧車を長く乗るならいつかは検討する日が来る

 純正での塗装の質がよくなったこともあって、最近はあまり聞かなくなった全塗装。オールペイントとも呼んだり、さらに全塗やオールペンなど、略すこともある。略すと通っぽくなる言葉でもある。

 あまり聞かれなくなったとはいえ、古いクルマでは今でもお馴染みの言葉というか行為だ。塗装とは簡単に言ってしまうと樹脂なので、紫外線をできるだけ当てないようにしたり、ワックスなどで油分を補給したり保護しても、劣化の進行は避けられない。遅かれ早かれ、限界を迎えてしまう。

 限界とは、色があせたりクリア層が剥がれて白くなったり。最悪のレベルになると塗装自体が細かく割れてくることもある。そうなると見た目が非常に悪くなるので、なんとかしたいというときに行うのがオールペイントとなる。簡単に言ってしまえば塗装の修復・初期化で、色を変えれば気分も変わるのは、部屋の模様替えと同じような感覚と言えるだろう。

できれば外せるものは取り除いて塗装したい

 ボディ自体がグサグサで切った貼ったといった板金が必要なレベルは、ボディレストアという別の話になってしまう。今回はボディ自体は凹みや軽いサビが出ている程度の個体に施すことを前提に、その内容やメリット&デメリットを紹介したい。

 塗装も含めてボディ自体がそれほどやれていない場合は、基本的になにも外さずにそのままマスキングだけして塗装できる。費用は10万円以下で可能な場合ある。ただこれではみっともない部位を隠した程度であって、ホントにただ塗装しただけという最小限のレベルだけに満足度はそこそこだ。

 少々古い、ネオヒストリックで多いというかおすすめなのは、エンブレムやミラー、スポイラー、窓ガラスも含めて外せるものは外して、細かいヘコミなどは修正。丁寧にマスキングをしたうえでの行う全塗装だ。予算は車両のサイズや使う塗料、クリアのありなしやメタリックやパールといった塗装の種類によるが、30万円から80万円ぐらいでも可能。仕上がりも新車に近くて、パリッとしてものになるので、「やってよかった」と満足感もある。

 ただ問題なのは、予算や手間的に表面しか塗らないこともあるということ。ボンネットやトランクの内側、ドアの開口部などはそのままだと、開けたときにがっかりすることもある。もちろん元色と同じに塗れば違和感はないが、それでも劣化したままなので、表面との差が際立つことがある。

 対策として、トランクはめったに開けないのでそのままにして、ドアの開口部だけ塗ってもらったり、エンジンルームはマスキングして塗れるところまで塗ってもらうという手はある。エンジンルームに関してはさらに奥は目立たないことから、ハケ塗りでできるだけ塗るというのもアリだ。

理想は下地作りも徹底して新車のようにきちんと塗ること

 見えないところまでこだわるなら、全塗装のフルコースとして、エンジン脱着、シートとカーペットは外して塗るというのもある。予算的には100万円を軽く超えるため、なかなか手が出しにくいレベルだ。ただし、エンジンをオーバーホールするついでに行えば、予算や手間の面でも軽くはできるし、あとはそのクルマに対する愛情がどれぐらいあるかだろう。

 もっと上のレベルとしては、元の塗装を剥離して下地から作り直すした上で、塗装するというレストア的なものもある。中古車のアピールポイントに、総剥離全塗装などと表記されていることも。一見するととてもいいように思えるが、これには賛否両論あって、古い部分は全部取り除いたほうがいいという賛成意見に対して、問題のないオリジナルの塗装をわざわざ剥がし、鉄板を空気に触れさせるのはよくないという反対意見があったりする。

 以上、いくつかのレベルを紹介したが、現実的には外せるものは外して、元色と同じ色で塗ってもらうことだろうか。ドアの開口部も少し高くなる程度なら、塗ってもらえれば不満もない。

 費用や手間がかかったりするのはデメリットとはいえ、新車でもない古い年式のクルマでヤレた塗装のまま乗り続けているのは、見た目的にも精神衛生上もよろしくない。それだけに、やってしまえば新車のようにピカピカになって帰ってくるという大きなメリットもある。どうも最近、見た目がパリッとしないなと思うなら、全塗装を考えてみるのもいいのではないだろうか。

モバイルバージョンを終了