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「シビック」に「ローレル」「5シリーズ」! 2022年でデビュー50周年を迎えるクルマ7選

半世紀前の1972年、じつは石油ショック前のヴィンテージ年だった?

 50周年を迎えるクルマって、もはやその車種が現行ラインアップのなかに生き永らえていること自体、すごいこと。とはいえ現行モデルのなかにその名前が受け継がれていないモデルにも、その系譜は脈々と受け継がれているワケで。そんな点と線を想像しながら、2022年にデビューから半世紀の節目を迎える車種を見ていこう。

その1 ホンダ・シビック

 1972年7月12日に発売された初代「ホンダシビック」。もう枕詞のように、アメリカで始まった排ガス規制「マスキー法」を世界でいち早くクリアしたモデルとして語り継がれているが、実際に「CVCC」を搭載した1.5Lモデルを追加したのは1973年末で、1.2Lを軸に全モデルがCVCC仕様となったのは1975年のこと。それでもスポーティな3ドア・ハッチバックのスタイリングと1974年に加わったRSによって、4輪でもスポーツカーに限らずともイキのいい自動車メーカーという、ホンダのイメージを決定づけた記念碑的モデルだ。だからこそ国内展開のなかった時代を経て、シビックの日本市場復帰は長らく待たれたものとなった。

その2 ルノー5(サンク)

 今やフェラーリに次ぐF1の古参コンストラクターとなったルノー(ことアルピーヌ)は当時、上場企業どころか今よりもずっとフランス政府と一体の「公団」という位置づけで、前年より「フォーミュラ・ルノー」を開始したばかり。1972年は初代「5(サンク)」が登場した年として記憶される。縦置きFFで左右で異なるホイールベースや、ドアノブが見えないドアは衝撃的だった。初の「横置き」FFハッチバック市販車のタイトルは2年後デビューの「VWゴルフI」に譲ったが、ヤング憧れのスポーティなコンパクトかつ実用的ハッチバックの先駆けだったことは間違いない。

「サンク・アルピーヌ」から「サンク・ターボI」、「II」へと、ターボ化とグループB時代にエボりまくった元祖ホットハッチでもある。後継モデルの「シュペール5」は横置きFF化されつつ、「ランボルギーニ・カウンタック」のデザイナーとして知られるマルチェロ・ガンディーニが手がけた大衆車となった。近年ではルノーがピュアEVで「サンク」を復活させることを公言している。

その3 BMW 5シリーズ

「ノイエクラッセ」と呼ばれた「1800」と「2000」系を統一し、新時代のアッパーミドル・サルーンとして1972年にBMWが登場させたのが「E12型」の「5シリーズ」。「シャークノーズ」と呼ばれた攻撃的デザインは、当時のサルーンとして斬新だった。その起原はベルトーネ時代のガンディーニが手がけたコンセプトクーペ「BMWガルミッシュ」に遡り、メルセデス・ベンツからTGVのデザインを経て移籍してきた鬼才、ポール・ブラックの手で市販デザインに仕上げられた。

 1974年にはドイツで1998年まで続く刑事ドラマ「捜査官デリック」の愛車となるが、1977年に「7シリーズ」が登場すると、主人公はそちらに乗り換えた。ちなみにBMWにとって2022年は、「BMW M GmbH」(当時はBMWモータースポーツGmbH)の創設50周年記念でもある。

その4 アウディ80

「NSU」を吸収して間もなかったころのアウディが、今日の「A4」に連なる系譜のミドルサルーンを生み出したのも、50年前だった。それが「B1」世代の「アウディ80」だ。ジウジアーロが手がけた美しい外観デザインの縦置きFFだが、パナールロッドとトレーリングアームを組み合わせた丈夫なリヤサスにより、高速走行やブレーキング時の安定性に優れ、1973年には欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するほど高い評価を勝ち得た。アウディ80のB1世代のシャーシ・コンポーネンツは、親会社のフォルクスワーゲンが1973年に登場させた「パサート」にも用いられた。

その5 トヨタ・マークII(2世代目X10および20型)

「コロナマークII」だった初代から「コロナ」の名を遠慮気味ながらも省き始め、「マークII」と名乗り始めた2世代目は1972年デビュー。上位機種のクラウンから持ってきた2L直6エンジンや、1.8Lの直4をDOHC化したハードトップを擁するFRという意欲作だったが、当時は「日産ローレル」という強力なライバルに対して分が悪かった。

「ツインキャブ」とか「DOHC」といった過激なキーワードに対し、モデルライフ初期に「石油ショック」で冷水を浴びせられたのに加え、プチ高級感が求められる当時の雰囲気にやや乗りそこねてしまった。とはいえ、コンサバでありながらツインカムのようなハイメカニズムに積極的で、少しやんちゃエレガントな大人っぽさを併せもつ。そんなドメスティックなアッパーミドル路線は、「マークX」を経て今日の「アルヴェル」や「ハリアー」あたりを筆頭に、連綿と受け継がれているといえよう。

その6 日産ローレル(2世代目C130型)

 マークIIがコロナをベースとするプチ高級&スポーティ路線だったように、日産では「ブルーバード」のエクステンションとして生まれた「ローレル」も、1972年に2世代目へと生まれ変わっていた。当初から「ハイオーナーカー」をコンセプトに掲げ、バンやワゴン系をもたず、スポーティな「スカイライン」と基本設計を同じくする戦略は、スポーティ・エレガントなスペシャルティとしての血統を印象づけた。

 デビュー翌年に満を持して投入された2.6L直6である「L26」型が、SOHCにシングルキャブで140psだったあたりも、余裕を感じさせた。左右両端の凹凸エッジを強調したリヤエンドと、バンパーに一体化マウントされたリヤランプのような、わかりやすく特徴的なデザイン処理も流石だった。やんちゃな兄さん姉さん衆に熱烈支持された、在りし日の日産のベースとなったという意味で、サブカル的価値は高い。

その7 メルセデス・ベンツSクラス(W116)

 それまでも「280S」とか「300SEL」と名のっていたモデルはあったが、公式に「Sクラス」という名をラインアップの最上位として定めたのは1972年に登場した「W116」から。従前の「W108」や「W109」が、縦目ヘッドライトと「ヘックフロス(フィンテール)」というあだ名の由来たる50年代的ディテールを特徴としたのに対し、キレよく伸びやかでモダンなフラッグシップをデザインしたのは、のちにBMWに移籍することになるポール・ブラックだった。

 衝突時に乗員の生存空間を確保するセーフティセル構造や、できるだけ突起物のないスイッチ類にウレタンパッドに覆われたダッシュボード、長時間座り続けても足先の血行を妨げないため前方をソフトにしたシートなど、メルセデス・ベンツの先進的な安全思想を体現した。一方で「450SEL 6.9」という、6.9Lの大排気量V8をインジェクション化して286psとした怪物モデルも擁し、シリーズ通算で48万台近くというヒットを記録した。

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