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軽自動車界の「GT-R」が存在したってホント? 日本が誇る黄色ナンバーの「激辛ホットハッチ」4選

90年代ホットハッチ軽自動車

モータースポーツシーンを席巻したのホット「Kカー」を振り返る

 気軽に振りまわして楽しめるパワーと手ごろな価格で、全国的に盛り上がっている軽自動車のモータースポーツ。近年は極端にトンガったキャラクターの車両こそ少ないが、以前は競技に参加することを前提とした、通常グレードと大きく差別化したモデルも存在した。それら往年の激アツなクルマをいくつかピックアップしよう。

史上最速のKカーと称された軽自動車界のGT-R

【スズキ・アルトワークスR/HB21S型

 まずは今も『史上最速の軽自動車』といわれる、HB21S型のアルトワークスRだ。通常のアルトワークスでも高い動力性能を備えており、サーキット派からは非常に高く評価されていた。しかし完全受注生産で世に送り出された『R』は、鍛造ピストン/ハイカム/ハイフロータービン/大径スロットル/大容量インジェクター/チューニングECUなど、数々の専用アイテムが与えられた完全なチューニングカー。

 カタログ上のパワーこそ64psと表記されていたものの、実測では70psどころか80psを超えていたなんて話も聞く。さらにフルクロスミッションにファイナルギヤも変更、強化センターデフまで与えられていたんだからすごい。競技で勝つためにメーカーが手を加えた経緯から、軽自動車のGT-Rとも呼ばれるまさに名車中の名車。生産台数は100台に満たないといわれており、もし中古車を見つけたら即ゲットしないと後悔するほどの希少性だ。

全日本ラリー参戦2年目でチャピオン獲得したアルトワークスの好敵手

【ダイハツ・ミラX4R/L210S型】

 いっぽうダイハツの最強モデルが1991年に登場した。全日本ラリーでアルトワークスに勝つため作られたミラX4Rだ。当時のレギュレーションで改造が禁止されていた部分、つまりエンジン/タービン/ミッション/マフラーなどを強化し、ある程度の装備も簡略化することで重量増を抑制していた。

 全日本ラリーに参戦し、2年目にはシリーズチャンピオンを獲得。悲願であったアルトワークスの牙城を崩すことに成功する。なおミラX4Rは月10台の受注生産と同じく希少性が高い。そして後継のL500系にも同じくラリー用の競技ベース車、ミラTR-XXアバンツァートX4およびX2(※下の写真はミラTR-XXアヴァンツァートR)が設定された。

 EF型からJB型に進化したエンジンはアルミ製の鍛造ピストン、大容量燃料ポンプなどメーカーの手によりチューニングされ、クロスミッションや強化したサスペンションも採用。参戦するクラスに合わせて4WDのX4とFFのX2と、ふたつのモデルを設定したことからも本気度がうかがえる。

インプレッサWRXではないもう1台のWRC世界王者

【スバル・ヴィヴィオRX-RA/KK4型】

 ラリーといえばスバルも忘れてはいけない。現在も熱烈なファンが多いヴィヴィオには、競技ベース車であるRX-RA(※下の写真はヴィヴィオRX-R)が存在した。WRC(世界ラリー選手権)でクラス優勝を飾るなど、輝かしい経歴で知られるモータースポーツ好きには説明の必要がない名車だ。

 軽自動車としてはレアなツインカムの4気筒エンジンとスーパーチャージャーを組み合わせ、豊かな低速トルクと扱いやすい特性は荒れた路面がメインのラリーと相性がよかった。そしてスバルの競技ベース車に共通して与えられる名称『RA』に相応しく、専用ECU/クロスミッション/専用サスペンション/リヤの機械式LSDが標準装備。

 おまけにエアコンまで省略する思い切った軽量化で通常のRX-Rから20㎏も軽量化を果たす。街乗りはお世辞にも快適とはいえないが、ココまで走りに特化させたのは凄いのひと言。

ホンダらしい最強の自然吸気エンジン「E07A」を搭載

【ホンダ・トゥデイ/JA4型

 続いては今もサーキットの草レースで高い戦闘力を秘める、MTREC仕様のE07Aエンジンを搭載したJA4型トゥデイを推したい。最大の特徴は気筒ごとに独立した3連スロットルだろう。レスポンスは当然としてNAながら58psを叩き出し(ビートは自主規制ギリギリの64ps)ライバルたちの追随を許さなかった。パワフルだからといって燃費も決して悪くなく、スプリントレースから長時間の耐久レースまで大活躍。現在はパーツが少なくなり徐々に数を減らしているが、レースカーとしての実力と魅力はまったく色褪せていない。

 同じMTRECのE07Aは同時代のビートにも積まれていたが、ミッドシップはエンジンルームの熱が抜けにくいうえ、オープンカーがゆえにボディ剛性を上げる必要があり、トゥデイのほうが重量的には大きなアドバンテージがある。

 以上の軽自動車ホットモデル4選、年式的にはどれもこれも旧車に差しかかっており、今後はどんどん入手しにくくなっていくこと確実だ。購入したい人は車両そのものは当然として、スペアパーツをストックしておくことも忘れずに!

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