国内販売ランキング上位をキープする人気のアルファード
ミニバンの人気車種として、トヨタ・アルファードが挙げられる。2021年1〜11月の登録台数は、1カ月平均で8200台に達した。ホンダ・フリードの5900台、トヨタ・ヴォクシーの5800台を大幅に上まわり、ミニバンの最多販売車種になる。コンパクトカーのトヨタ・ヤリス(ヤリスクロスとGRヤリスを除く)が8300台だから、アルファードは国内販売ランキングの上位に入る。
アルファードの売れ筋価格帯は400〜550万円だ。日本車としてはとくに高い部類なのに、好調に購入されている理由は何か。
人気の秘密はクラウン譲りの豪華な内装と高いリセールバリュー
商品力としては、広くて豪華な室内により、クラウンに代わる新たな高級車の位置付けを獲得した。トヨタの全店が全車を販売する体制に移行したこともあり、人気車のアルファードが売れ行きを伸ばして、姉妹車のヴェルファイアに対する需要を吸収している事情もある。つまり販売体制の変更も、アルファードが売れ行きを伸ばす理由となった。
そして販売店では「アルファードが数年後に高く売却できることも、人気を高めた要因だ」という。前述の通りアルファードは人気車だが、価格が高いから中古車を求めるユーザーも多い。加えて販売店では「アルファードは依然として中古車輸出が活発で、これも買い取り額を高めている」と述べる。
そうなるとアルファードを買うときは、グレード選びも大切になる。不人気車を買うと、せっかくアルファードを選んでも、好条件で手放せない心配が生じるからだ。
そこでアルファードの残価設定ローンをチェックすると、3年後の残価率(新車価格に占める残存価値の割合)は、姉妹車のヴェルファイアも含めてすべて55%だ。一般的には3年後なら43〜50%だから、アルファードでは、グレードを問わず資産価値が高く維持される。
では、どのグレードが一番「資産価値」があるのか
それでもグレードによる違いはあり、一般的に人気が高いとされるのは、2.5Lのノーマルエンジンを搭載するS・Cパッケージだ。2列目に装着された豪華なエグゼクティブパワーシートが特徴になる。
ただしS・Cパッケージの価格は2WDでも468万1600円に達する。しかもユーザーが運転する場合、合理的に考えると、自分が座らない2列目シートをここまで豪華にする必要があるのか? という疑問も生じる。
このバランスを考えると、2.5Lエンジンを搭載するSの7人乗りがベストグレードだ。価格は398万5000円で、エアロパーツも装着されるから、外観はS・Cパッケージとほぼ同じになる。それで価格が400万円を下まわると買い得度も増す。
実用重視なら、もっとも安価な359万7000円のXが一番買い得だが、エアロパーツを装着しない外観は物足りない。購入後5〜7年で売却する場合も、Xでは不利になる。そこを踏まえると前述のSが最も推奨される。
なおアルファードの場合、ハイブリッドは4WD専用だ。そのためにハイブリッドのエアロパーツ装着車になると、もっとも安価な特別仕様車のハイブリッドSタイプゴールドIIでも508万8400円に達する。
そのためにアルファードでは、ハイブリッドの販売比率は25%前後と低く、2.5Lのガソリンが売れ筋だ。
姉妹車のヴェルファイアは、今ではグレード数を抑えて、アルファードの特別仕様車に相当するモデルだけになる。バリエーションを縮小させており、数年後に売却するときも不利になる。そうなると特別仕様車もアルファードを選びたい。