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いま見るとイケてる! でも名前を聞いても「姿が思い出せない」級のいぶし銀クーペ3選

忘れられがちのクーペボディを持つモデルを紹介

 SUVやセダンで“クーペのような流麗なフォルム”と表現されることがある。今や輸入車メーカーの新型車の説明を聞いていても使われるほどのフレーズで、どうやら世界共通の認識のようだが、要するにカッコよく、ステキなクルマの象徴でもあるのがクーペというわけだ。

 思えば日本車でも、これまでにさまざまなクーペが存在した。トヨタ・ソアラ、ホンダ・プレリュード、日産シルビアなど、スペシャルティカーが全盛だったころの誰もが覚えている人気車は皆、2ドアクーペだった。

 もっと遡れば、1960年代以降なら日野コンテッサ・クーペ(1964年)、いすゞ117クーペ(1968年)、日産ブルーバード・クーペ(1968年)をはじめ、大衆車のカローラとサニーも、じつは初代からクーペをラインアップに用意していた(日産サニー・クーペが1968年、トヨタカローラ・スプリンターが1969年)。

 これらの時代の車種は機会があればまたあらためて取り上げたいが、ファミリーカーの黎明期の基本といえばやはりセダンで、そのちょっと上をいく優雅なスタイル、存在感のクルマとしてクーペがあったのだった。

 クーペ好きの筆者のため、あれもこれも……と話がついあちこちの時代に飛ぶのはご容赦いただきたいが、とはいえクーペのなかでも雑誌などの記事で取り上げられる頻度の高いクルマとそうではないクルマとがある。決して不人気車のレッテルを貼るつもりではなく、取り扱い上は、そういえばこういうクーペもあったよね、レアだよね……といったポジションのクルマというべきか。ちょっと古めの国産車のなかでもそういうクーペの心当たりは思い浮かぶ。

トヨタ・コロナ・クーペ

 たとえばコロナ・クーペはその代表。1985年8月、兄弟車の初代FFの4代目セリカ(T160=流面形)と初代カリーナEDとともにデビューしたモデルだ(そのときの3車のカタログの表紙を並べた写真もご参考に)。北米など海外市場向けには、リトラクタブルライトのセリカ・クーペとして投入されていた。

 日本市場へは7代目コロナ・ハードトップの後継車の位置付けで、コロナ名義ということでやや大人しい外観ということもあり、カリーナED、セリカの陰に隠れてしまった感があった。

 だが、全幅1690mmの5ナンバーボディでこれだけ優雅なスタイルをモノにしていたのだから、今、見直すべきかも。

 ちなみに1994年に登場した後継車のカレンは1750mmの3ナンバー車で、やはりセリカと顔違いのノッチバッククーペだった。

マツダ・カペラC2

 ほかにも、レアなクーペの上位にランクインさせたいモデルとして、マツダのカペラC2を挙げさせていただく。1987年に登場した5代目カペラのバリエーションだったが、かなり大胆なブリスターフェンダーを採用しつつも、サラリと驚いた風でもなく平然としたルックスに仕上げられていたのが特徴。

 しかも前出のコロナ・クーペ同様に5ナンバーサイズでこれだけの“技”を使っていた点も、あらためて注目して挙げたくなる。実車は4WSの思想を盛り込んだというスーパーSSサスペンションやトップグレードに2LのDOHCを投入。さり気なく、クーペらしいスポーティなスペックが与えられていた。

 カペラのクーペは、初のFF車として登場した4代目にも設定されていた。ここではちょっとお見せしにくいが、俳優のアラン・ドロンを表紙に使ったカタログはなかなか迫力があった。クルマはC2との繋がりを感じさせるプレーンなノッチバッククーペで、モデル途中でインパネのデザインがガラリと変える手法は、最新のマツダ6(アテンザ)でも採り入れられたマツダの流儀のひとつ?

日産スカイライン(7代目)

 さてもう1台、7代目スカイラインに設定されたクーペも、レアなクーペの仲間入りをさせていただこう。セダン、4ドアハードトップは1985年8月に登場したのに対し、このクーペは1986年5月に追加された。このモデルからスカイラインの2ドアはハードトップからクーペになった。

 GTSと固有のシリーズ名が与えられ、別に作られたカタログを見た際、GTSの書体が何となくフェラーリ308GTBの書体に似ていると思ったのはここだけの話である。売りのひとつはGTオートスポイラーと呼ぶ世界初の機構で、オートにしておくと車速が70km/h以上になり展開、50km/h以下になると格納するチンスポイラーは、なかなかのギミックだった。

 ほかにRB20DET型ツインカム24バルブへのセラミックターボの採用(日本ガスタービン学会賞受賞)、後輪のコンプライアンスステアを制御するHICAS、ダンパーの減衰力を3段階に切り替え可能な3ウェイ・フットセレクターなど、スカイラインらしいメカニカルなトピックも満載だった。

 とはいえ、後継のR32型・8代目スカイラインでかのGT−Rが登場したためか、歴代スカイラインの2ドアモデルのなかでは、振り返ると、(自動でせり出すチンスポイラーのGT Auto Spoillerの文字はいささか目立っていたが)やや控えめな存在だったように思える。

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