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かかるかかからないかはその日次第! たかが「エンジン始動」が旧車には「一大イベント」だった

旧車エンジン始動

旧車のエンジン始動が難しい理由とその作法とは

「ウニュニュニュニュ、ウニュニュニュニュ。ウニュニュニュニュ、ウニュニュニュニュ……」。これは、極寒の日に旧車のエンジンをかけようと思い、キーを回してスターターモーターを回転させているにもかかわらず、始動しないときに虚しく響くクランキング音だ。

 電子制御式の燃料噴射装置を採用し、抵抗が少ない低粘度のエンジンオイルを使っている昨今のクルマは、スタートボタンを指先でワンプッシュすれば冷間時でも簡単にエンジンがかかるはず。だが、硬いエンジンオイルを使い、燃料の供給をキャブレターが担っている旧車の始動はそれなりに難しいワケである。

原始的な燃料供給装置のキャブ車は始動が大変

 キャブレターとは、ガソリンと空気を混ぜてエンジン内に送り込む燃料供給装置のことで、すべてがアナログだ。かたや電子制御式の燃料噴射装置はデジタルなシステムで、センサーが車両のさまざまな情報を取得し、最適な量の燃料をエンジン内に噴射してくれる。前者と後者ではどちらが始動しやすいのか? それはすぐさま理解できるだろう。

 クランキングの回数や時間が多いとバッテリーが上がってしまったりすることもあるため、旧車のエンジン始動時にどこまで頑張るべきなのか? の判断は難しいが、キャブレターや電気系の不調、ガス欠、バッテリーに著しい劣化などが原因でなければ、ヒストリックカーであっても必ずエンジンに火が入るので、あきらめるのは尚早だ。

多少の違いはあれど旧車の火入れ儀式の手順はこの通り

 とはいえ、旧車オーナーであれば誰しも、物すごく寒い日の朝などに「あれれ、今日はエンジンに火が入らないから、こりゃあ素直に足グルマか公共交通機関で出かけた方がいいかもしれないな……」と頭の中で思ったことがあるだろう。

 自宅のガレージにて愛用している旧車のエンジンが始動しない場合は、足グルマや公共交通機関を活用できるが、宿泊イベントに参加し、2日目や3日目の早朝にエンジンがスムースにかからなかったりするときは本当に血の気が引いてしまう。

 筆者(50歳)は24年前に購入した1974年式のアルファロメオGT1600ジュニアをいまでも愛用しているが、極寒の朝にエンジンがかかりにくいときには、このようなことを実践している。まず、運転席に座り、キーを途中まで回して通電させ、ジジジジジコンコンコンコンコンという電磁ポンプの作動音を聞きながらアクセルを3回ぐらいパフパフパフと踏む。

 その数秒後にキーを最後まで回し、ウニュニュニュニュ、ウニュニュニュニュっというクランキング音を聞きながら、ブブッという微細な手応えを伴ってエンジンに火が入った瞬間を見逃すことなくアクセルを軽く踏み、完全に始動するといった感じだ。

なかには旧車でやりがちなイミフな習慣もあるので注意

 以前は電磁ポンプではなく、機械式の‎フューエルポンプを使っていたので、運転席に座った直後にアクセルを5回ぐらい踏んでいた。温まったエンジンを再始動するときは既述したような「儀式」が不必要となる場合が多く、筆者の愛機はただ単にキーを回せばかかる。そのため、車外から手を突っ込み、キーを回して、エンジンをブルンと始動することも可能だ。

 そういえば、510型ブルーバードなどを愛用していたわが父親の世代は、エンジンを切る前にアクセルを一度踏み、わざわざブーンとさせてからキーをオフにしていたが、あれは燃料供給装置がキャブレターのクルマであっても意味のないことだ。いまも昔もエンジンは普通に切ったほうがいいので、これから旧車オーナーになろうと思っている方は、悪しき習慣をマネしないでほしい。

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