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オリジナルのケンメリGT-Rがカスタムカーの祭典に降臨! あえて錆もそのままにした貴重な個体の中身とは【東京オートサロン2022】

排ガス規制の影響を受けた悲運のGT-R

 古くからの日産ファンにとって、直列6気筒DOHC24バルブのS20型エンジン(最高出力:160ps/7000rpm)を搭載しているハコスカ時代のスカイライン2000GT-R(PGC10型・1969年登場/KPGC10型・1970年発売)と、ケンメリ時代のスカイライン2000GT-R(KPGC110型・1973年登場)は特別な存在だ。

 ハコスカは1968年に発売された3代目スカイライン(C10型)のことで、ケンメリは1972年に登場した4代目スカイライン(C110型)のことである。ケンメリの4ドアセダン仕様は“ヨンメリ”と呼ばれることもあり、こちらも一定数のファンを獲得している。

 ケンメリの由来は、CMに登場していた若い男女のカップルの名が「ケンとメリー」だったからだ。レースで常勝を誇った先代モデルの硬派なイメージとは異なるソフト路線のCMだったが、CMソングの「ケンとメリー ~愛と風のように~」がオリコンのランキングで19位になるなど、当時の世相とマッチしていた。

 C10型時代に使用された「愛のスカイライン」というキャッチコピーがC110型に進化してからも引き続き展開される。4代目スカイラインはCMこそソフト路線だったが、既述したように先代モデルと同じようにスポーティグレードの2000GT-Rが設定された。

生産台数はわずか197台

 専用ラジエターグリル、前後オーバーフェンダー、リヤスポイラーなどを装備していたケンメリGT-Rは、自動車趣味人の間で“幻のGT-R”と呼ばれているが、それはKPGC110型スカイライン2000GT-Rがわずか197台しか生産されなかったからだ。

 発売当初に期待されていたレーシングバージョンは、コンセプトカーが発表されたのみで結局登場しなかった。 幻のGT-Rとなってしまった理由は、フロントに搭載していたS20型エンジンが昭和48年排出ガス規制に適合しなくなったためだといわれている。だが、S20型エンジンの在庫数が197台分だったから、S20型エンジン用のソレックスキャブレターが197台分だけ残っていたから、という説もある。

 いずれにせよ、ケンメリGT-Rは早々に生産中止に追い込まれてしまったが、名機を積んでいるスポーツカーなどが排出ガス規制の強化によって勇退してしまうのは残念なことだ。平成12年排出ガス規制により、名だたる国産スポーツカーが次々生産終了となったことが記憶に新しいが、ケンメリGT-Rも登場したタイミングが悪かった不運のモデルだといえるだろう。

オリジナルを重視した168番目の車両

 三重県に本拠を置き、車両の販売からメンテナンス、カスタム、チューニングまでを手がけ、クルマ好きをトータルバックアップしているCREWCH(クルウチ)が東京オートサロン2022で展示したケンメリGT-Rは168番目に生産されたクルマだ。

 社長さんの愛車(コレクション)で、フルノーマル状態を維持している。説明するまでもなく、1973年式だ。 鉄製のグリルが錆びてきているが、あえてそのままにしており、エキゾーストマニホールドやエアクリーナーボックスも交換することなく、オリジナルを重視。自然体のままを楽しめるようにしているのだ。

 CREWCHではGT-Rを中心に、国産スポーツカーの国内保存を目的としたコレクションを形成しており、ハコスカの4ドアGT-RやS30型フェアレディZの240ZGやZ432も所有しているそうだ。

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