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老舗ブレーキ屋が初代シルビアやルーチェ・ロータリークーペを執念で再生! 「エンドレス」の名車レストアがガチすぎた【東京オートサロン2022】

足元も完璧クオリティなコレクションが魅せる「エンドレス」ブース

 2021年に3年連続となる「スーパー耐久」ST-Zクラス・シリーズチャンピオンを獲得した「AMG GT4」、自社製パーツを組み込んだ「日産GT-R」の100台限定車「Tスペック」に、新型「GR86」を展示。これら最新鋭の顔ぶれに加えて、自社でレストレーションを施した総勢5台ものヴィンテージカーが輝いていたのが、2022年東京オートサロンの「ENDLESS(エンドレス)」ブースです。

アルファロメオ・ジュニアザガート1300

 モータースポーツで培われた高性能なブレーキ関連製品を送り出しているエンドレスの東京オートサロンブースに、突如クロームメッキの眩しいヴィンテージカーが並ぶようになったのは2015年のこと。その最初のきっかけとなった1台である1959年型「アルファロメオ・ジュリエッタ スパイダー」は、サビ穴だらけでミッションすらない20年以上放置モノという壮絶コンディションからレストアをスタート。オートサロンの会場で、その眩い姿を見せるまでがなんと半年足らずでした。徹底的に手を入れたレストレーションとしては、驚異的な早さで完成に漕ぎ着けています。

「クルマは動くからこそ価値がある」とのコンセプトのもと、その後もハイペースで名車の数々を蘇らせ続けており、昨年はレストアした車両やレーシングカーの展示スペース「ENDLESS 130 COLLECTION」(長野県佐久穂町)のオープンにも至っています。

 今年のオートサロンで展示された5台のヴィンテージカーで、まず目を引くのは1972年式「アルファロメオ・ジュニアザガート1300」です。サスペンションおよびブレーキは自社製のパーツでアップグレードされており、ホイールとタイヤはクラシカルなイタリアンテイストの「エンケイ・オールナイン」15インチに175/65R15のヨコハマ「アドバンdB」を採用。

 この、エンケイのアルミにヨコハマタイヤに自社製のブレーキおよびサスペンションという組み合わせこそ、「クルマは動くからこそ価値がある」というエンドレスによるレストレーションのコンセプトに欠かせない存在となっています。

オースチン ミニ・クーパーS

 その点に着目すると、とくに面白いのは「オースチン ミニ・クーパーS」でして、ミニ専用の10インチホイール仕様4ポッドキャリパー(ドラムのリヤは特注張替シュー)のブレーキシステムを装着。タイヤは復刻されたヨコハマ「GTスペシャル クラシックY350」の145/80R10、そしてホイールは奇跡的なタイミングで当時物のエンケイ8スポークの10インチを入手しています。足まわりに関してもとりわけ特殊な規格を持つクラシックミニにおいても、言わば黄金の3社同盟が守り抜かれているという、こだわりの1台です。

初代シビックRS

 リプロダクション品も多い外国車に比べて、圧倒的に大変となるのが国産車のパーツの調達です。パーツ難の話題になるとしばしばその筆頭に挙げられるのがホンダ車なのですが、今回展示されていたオレンジ色の初代「シビックRS」は、運よくコンディションも良好なベース車に予備のパーツ類が付属していたおかげで、さほど大きな困難には見舞われなかったとのことです。

初代シルビア/ルーチェロータリークーペ

 しかし「ルーチェロータリークーペ」と初代「シルビア」に関しては、やはりほとんど壊滅状態だったそう。そうした難局を「無いものは作れ」と言わんばかりに切り抜けてしまうのもエンドレス流。例えば初代シルビアはエンブレムを3Dプリンターにて再現。中古品すら出回っておらず、どうにもならなかったテールレンズはなんと一から作成し、困っているほかの初代シルビアのオーナーにも供給したとのことですから、もはや逸話と言って良いレベルです。

 もちろんレストアに要した期間は他車と変わらぬ半年ほどとのことですので、情熱と実力にはただただ脱帽。短期間のうちに見事に仕上げ、さらに動的な部分も磨き上げるというスタイルのエンドレスの一連のヴィンテージカーが一堂に展示されている、長野県南佐久郡佐久穂町「ENDLESS 130 COLLECTION」に足を運んでみるのも楽しそうです。

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