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もはや学生が作るレベルじゃない! 日本自動車大学校の卒業制作が想像の斜め上すぎて笑う

東京オートサロン2022のNATSブース

未来ある若者の情熱がほとばしるNATSの卒業製作車両

 毎回、東京オートサロンで沢山の来場者を楽しませるクルマを製作する日本自動車大学校(以下、NATS)。昨年は東京オートサロンの通常開催が中止になり、オンラインのみでの実施に。その影響で、東京オートサロン出展に向けて作った卒業制作の発表の場が失われてしまった。今回のNATSブースでは、それらの車両を合わせた奇想天外な作品を多数展示。そのなかから、カスタマイズ科/自動車車体整備科(袖ヶ浦キャンパス )/自動車研究科/モータースポーツ科の渾身の作品を振り返りたい。

#01 NATS TARGA-STANCE

ワイルドスピードの原点、カッコよさを再確認できるFD3S

●ベース車両:マツダRX-7[FD3S]
●製作:カスタマイズ科3班

 じつはこのクルマ、16期生が製作した2015年の東京オートサロン出展車「NATS REvolution」がベースになっている。注目ポイントは、S2000のヘッドライト移植には始まり、オリジナルのワイドボディを纏うなどインパクトのあるそのスタイリングだ。「予算は100万円以内。しかし中古で探しても人気車種なので価格が高騰……。カスタム費用を含めるととても手が出せないと……」頭を悩ました。

 そこで目をつけたのが冒頭でも紹介した16期生の卒業制作だった。「コンセプトはワイルドスピードのマツダRX-7(ドミニクが搭乗のFD3S)。カスタムしてあるRX-7をどうにか再利用できないかと考えた」そうだ。また、ボディ自体が2015年の出展以降、倉庫に眠っていたままだったためにクルマのコンディションは錆び付いてボロボロ。それをイチからすべてバラしてドンガラ状態にして色を塗り直したという。

「学校にあるものを再利用する。今流行りのSDGsですね。もったいない精神です!」とのことで、ボディカラーの赤は、マツダ好きならよく耳にする“ソウルレッド”でペイント。そして、冒頭で触れたS2000のヘッドライトを入れるためにボディ加工も施されていたため、いじったクルマを1度純正に戻したのちに再度カスタムを行ったというから驚きだ。

 ちなみに「ボディを加工されたフロントまわり一式は、千葉マツダさんの協力によって移植できるフレームを提供してもらって復活することができました」と、製作過程のなかで沢山の協力があってこそ完成した。

 そして、初期のワイルドスピードといえばバイナルグラフィックのボディメイクが必須。そこでアートファクトリー・グラフィックスの代表である澤田さんに依頼し、学校まで出張してもらい貼ったそうだ。また、タルガトップのルーフ部分は製作途中の段階。留め具側は完成していたがフロント側はNDロードスター用を移植して、リヤ側はカプチーノ用を流用して固定するそうだ。

タービン交換などでパワーアップも狙った!!

 エンジン自体はそのまま使用し、トラストのタービンキット(TD-06 25G)を装着。インジェクターや大容量フューエルポンプを変更し、強化クラッチに交換されている。足まわりは、エアサスでのスラムドを実現させたかったとエアフォース製エアサスを装備。配管の取り回しを隠しながら、ワイヤータックを意識した取り回しにもこだわった。

 その足元に履くホイールはクールレーシングVERZ-DESIGN KCV04(フロント18×10J −45・リヤ18×12J −50)をチョイス。ワイドボディ化にはT.R.A京都のロケットバニー製をまとい迫力あるスタイリングを実現した。

 ほかにも内装はベージュ生地をロール買いしてフル張り替え。「班員みんなで貼りました。アール部分が難しいですね。ダッシュボードまわりは分割して貼ろうと思っていましたけど、施工を考えていたら1枚で貼った方がいいと思い、頑張りました!」と施工の難しさを経験。今後の予定は「卒業旅行までにはエンジンがかかるようにすることと、タルガトップのルーフの作り込みですね」と、まだまだ製作作業は続くようだ。

#02 NATS-S MIRA 

校内の軽カーダートレース初参戦で総合優勝を飾った700ミラ

●ベース車両:ダイハツ・ミラ(L700型)
●製作:袖ヶ浦キャンパス 自動車車体整備科

 もともと鈑金実習の練習台として使っていたボロボロのミラを走れるまでに整備して、校内で開催された軽自動車のダートレース(レギュレーションは90分を5Lのガソリンで走り切ること)に初参戦したという袖ヶ浦キャンパスの車体整備科の生徒たちの作品。

「参戦した当時は車体整備科に上がる前の2級整備過程の状態でしたが、国家資格が必要なカリキュラムの一環として製作して参戦しました」とメンバー。ダートレースを走って戦うことから、零戦の戦闘機仕様に外装を仕上げるなどのこだわりポイントも見逃せない。

 ちなみにレースは、全13台が競い合いすべてのクルマが完走したそうだ。ただしダート走行するためエンジンやミッションに衝撃があるとまずいのでアンダーカバーを装着。ほかにもロールケージを装備して参戦したという(※レース時は4点式だったが、オートサロンに向けて6点式に増加)。

#03 NATS FFN-11

学生自ら設計製作したフォーミュラカー!!

●製作:自動車研究科

 コンセプトはモアスピード。とはいえ、最高速を伸ばすのではなく、加速性能と旋回性能を追求しているという自動車研究科が出展した車両がコチラ。

 コンセプトを聞くと、「ざっくりしてますが、クルマを速くしましょうということです」とコメント。今回は従来12インチホイールだったのを10インチにサイズダウン。これにより1本約8kg(4本で計32kg)の軽量化を実現。つまり、パワーで最高速を高めるのではなく、軽量化による恩恵を活かしてダッシュ力や旋回時の運動性能を向上させたそうだ。

 近年、熱気がさらに高まる学生フォーミュラの競技会『フォーミュラSAE』という、学生自ら設計・製作したフォーミュラカーで技術や能力を競い合う競技会では90チーム中12位の好成績を獲得。

「動的審査(クルマを速く走らせよう)、静的審査(設計のコンセプト・マーケティングを見る)を競い合う大会で、うちは動的審査の強いチームなんです。そのなかで12位を取れたのは満足しています」と手応えは十分。

 ボディはFRPとスチールをバイブリッドする形で総重量を約200kgに収め、エンジンは軽量かつコンパクトな作りが人気の二輪用のヤマハ製MT07を使用した。すでに来年につながる研究もしており、「(今後は)EV化を考えています。他校もそう考えていると思うので(後輩たちには)、来年、再来年には搭載してもらいたいですね」とコメント。卒業まで研究を重ねていき、成果を後輩に託すことになる。

#04 NATS F4 NATS001

ローポジション化を実現したF4ベースのオリジナルフォーミュラ

●製作:モータースポーツ科

 レースメカニックに求められる知識や技術を習得する「モータースポーツ科」が出展したのは、実際にF4レースに参戦している車両「NATS F4 NATS001」。昨年開催された鈴鹿戦では、13台中2位と表彰台に登る好成績を残した。

「昨年の鈴鹿で行われたレースでは、アーム類とウイングの構造を作り替えました。今年は前回よりもシートのローポジション化を追求するために、自分たちでシートを製作しています」とのこと。開幕戦は3月上旬のスケジュールなので、卒業前に改良した結果がどのように成績につながるか楽しみだ。「死に物狂いで1位を狙います」とも話してくれた。

 ちなみにシートは、生徒の手によって作るそう。「基本的にフォーミュラカーのシートは、自分たちで作るんです。今回は(前回よりも)重心の位置を下げたくてローポジションを追求しています」。その意図は空気抵抗をなくす意味がもちろん含まれている。

 基本的に結果が出ているときには大きな仕様変更はない。「アームをナローにしたり、少しずつこうした方がいいというのを見つめてはいます。あとはセッティングの変更くらいですね」と話してくれた。

 モータースポーツ科を卒業したあとはレース関係だけではなく、意外にもトラック関係の仕事に就く生徒が多いという。「トラックは部品を交換するだけではなく、アーム類などは直すことが多いんです。そんなときにモノ作りが役に立ちます」。学校での溶接の経験やミリ単位でのセッティングなどが役に立つという。「レースだけではなく、トラックも長距離を走ります。きちんと作らないといけません。人の命を預かっているので」と使命感に燃える若者たちの未来に明るい!

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