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RX-7にコスモだけじゃない! バスにバイクにシトロエンにもあったロータリーエンジン搭載車6台

軽量コンパクトでハイパワーな唯一無二のエンジン

 2012年6月にマツダのRX-8が生産終了。市販のロータリーエンジン搭載車が姿を消してしまったが、2021年の10月、イギリスのバイクメーカーのクライトン・モーターサイクルが、ロータリーエンジンを搭載したニューモデル、クライトン「CR700W」を発表した。

 このCR700Wには、2ローター690ccのエンジンが搭載され、その出力は220ps! 1リットルあたりなんと319psというハイパワーだ。エンジン単体の重量は24kgと超軽量で、価格は約1300万円というスペック。軽量コンパクトでハイパワー、しかも低振動のロータリーエンジンの可能性をあらためて知らしめてくれたので、ちょっと意外なロータリーエンジン搭載車を振り返ってみよう。

マツダ・パークウェイロータリー26

 まずは1974年に登場した26人乗りのマイクロバス、「マツダ・パークウェイロータリー26」(13人乗りのスーパーDXというグレードもあった)。ルーチェやコスモAPの13B型ロータリーエンジンを転用している。2835kgの車体を、最高速度120km/hまで引っ張った。しかし、1974~1976年の2年間で生産終了してしまう。生産台数はわずか44台だけだった。

マツダ・ロードペーサーAP

 続いてマツダが初めて作った本格高級4ドアセダン、「ロードペーサーAP」だ。APはマツダ車で、排出ガス対策をクリアしたことを意味している。マツダ初の3ナンバー車で1975年に登場した。オーストラリアのGMホールデン・HJシリーズの「プレミア」をベースにした車体に、13Bロータリーを搭載。

 ジャトコ(当時は日本自動変速機)の3速ATを組み合わせ、トヨタのセンチュリー、日産プレジデントの対抗馬としてデビューさせた。しかし、センチュリーやプレジデントよりも高価だったこともあり、1977年にわずか800台で生産が終了している。

マツダBシリーズロータリーピックアップ

  1970年代、対米輸出専用車のピックアップトラックにもロータリー搭載車があった。それが「マツダ Bシリーズロータリーピックアップ」。1973年から77年まで生産され、レシプロ仕様もあったが、ロータリーピックアップだけでも約1万6000台が生産され、まずまずの成功を収めた。

スズキRE-5

 マツダ車以外では、スズキが世界初の量産ロータリーバイクを登場させている。それが1974年に登場したRE-5。RE-5のエンジンは、497ccの1ローターで、62psという当時の750ccクラス並のパワーを誇った。デザインはイタルデザインのジウジアーロが担当。デザインした先進的なスタイルも、大きな話題となった。RE-5は輸出専用モデルでアメリカから2万台のオーダーがあったが、第一次オイルショックの影響などにより約6000台で生産終了。

 同じころ、カワサキも900cc 2ローターのX99を試作し実走テストを行ったが、量産化には至っていない。ロータリーに否定的だったと言われるホンダでも、CB125のフレームにホンダ独自で開発した空冷1ローターエンジン搭載した「A16/24」を試作(1975年)。ヤマハはヤンマーディーゼルと共同開発した330cc×2ローターエンジンを搭載したRZ-201を1972年の第19回東京モーターショーに出展。いずれも試作だけで終わっている。

NSU

 外車では、ロータリーエンジンの本家、NSUヴァンケルが1964年に発売したヴァンケルスパイダーが、世界初のロータリーエンジン搭載市販車だった。シングルローターをリヤに積んだ後輪駆動車(RR)で、総生産台数は2375台。日本国内にも2台現存していると言われている。

 NSUは1967年にセダン初のロータリー車「Ro80」(こちらは2ローター)も発売。しかし、2年後の1969年、NSUはフォルクスワーゲン傘下となり、同じくフォルクスワーゲン系列になったアウトウニオンに吸収され、Ro80も1977年に生産終了した。

シトロエンM35

 またシトロエンも1967年にはNSUと業務提携し、497.5ccの水冷1ローターを積んだクーペ、「M35」を1969年に発表している。267台が生産されたが試作的な存在だった。その後、1973年に1000㏄/107psの2ローターを搭載(シトロエン初の横置きエンジン)したのがGSビロトールを発売。

 実質的にはこれがシトロエン初のロータリーエンジンの量産市販車。車名の“ビロトール”とは、フランス語で「ふたつのローター」を意味する。847台が生産された。

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