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スライドドアの背高ならOKだろ……は安易すぎる! 足腰の弱った高齢者に不向きな中古ミニバン6選

ミニバンであれば乗り降りがしやすいというわけではない

 国産ミニバンと言えば、そのほとんどが両側スライドドアを備え、後席の乗り降りのしやすさが自慢だ。しかし、高齢者、それも足腰が弱った、乗降時に介助が必要な高齢者を乗せ下ろしするとなれば、すべてのミニバンが「合格」というわけではない。ここでは、国産ミニバンで足腰が弱った高齢者を後席に乗せる前提には、少々辛い中古ミニバンを紹介したい。

 ポイントは、ステップにある。低くて段差のない、いわゆる掃き出しフロアなら合格だが、そうではない、ステップのあるミニバンだと階段を1段上り下りする乗降性となり、当然、フロア地上高は高くなるという理屈である。そして、足腰が弱った高齢者を介助する側にとっても、できれば避けたいミニバンということになるかもしれない。

トヨタ・エスティマ

 例えば、今はなき、しかし今でも根強い人気を誇る「天才たまご」の進化形であるトヨタ・エスティマだ。その最終型と言える3代目のスライドドア部分のステップは、1段目の380mmはかなり低いほうだが、フロアはそこから55mm高い435mmの高さにある2ステップフロアになる。健常な子どもや大人、高齢者ならまったく問題ないものの、足腰が弱った高齢者となると、ちょっと辛い乗降になる可能性がある。

日産セレナ

 先代日産セレナにしても、シートアレンジ性など、子育て世代にはなかなかのアイデアを持っている。だが乗降性はどうかと言えば、スライドドア部分のステップ高は1段目の385mmは低くても、フロアはやはりその上の地上465mmにあり、ステップに80mmの段差があることになる。階段を2段上がる乗車性ということだ。ちなみに当時のライバルであるホンダ・ステップワゴンは地上390mm。トヨタ・ノア&ヴォクシーはもっとも低い地上345mmの1ステップフロアだった。

日産エルグランド

 日産エルグランドはどうか。乗ってしまえばじつに快適な後席居住性が約束されているが、2002年から2010年まで販売されていた2代目エルグランドのフロアはかなり高め。1段目のステップ高は地上385mmと低めなものの、フロアはそこからどーんと高い地上535mm。なんと150mmもの段差があったのである。

 ちなみに現行型は1段目のステップが地上400mmと高まっているものの、フロアはそこから95mm高い495mmになっている。

トヨタ・アルファード

 そして現在、人気絶頂のトヨタ・アルファードについては、現行型とともに今でも現役だ。中古車人気も衰えない2008年登場の2代目となる先代モデルの場合、1段目のステップ高390mmはいいとして、フロアはそこから90mm高い地上480mmの高さにある。初代のフロア地上高が現行型のフロア地上高が525mmだったことからすれば低まっているが、やはり足腰が弱った高齢者が乗り降りするには、新型ノア&ヴォクシーのようにはいかないということになる。

三菱デリカD:5

 悪路の走破性抜群の、ミニバンの皮をかぶったSUVとも称される三菱デリカD:5は、最低地上高の余裕から、フロアが高くて当然。1段目のステップからして地上450mmの高さにあり、フロアはそこからさらに85mm高い地上535mmの高さになる。もちろん、乗降を容易にしてくれるアシストグリップや、地上245mmの高さにあるサイドステップの用意が一部グレードにあるとはいえ(階段を3段上がる感じになる?)、足腰が弱った、乗降に介助が必要な高齢者を乗せるのであれば、できれば避けたい中古車の1台となる。

ホンダ・エリシオン

 また、1ステップフロアでも、フロアが高めの位置にあるミニバンもある。足腰が弱った高齢者を乗せ下ろしするのであれば、新型トヨタ・ノア&ヴォクシーの380mmを基準に、それ以下のステップ&フロア高が望ましい。今では中古車でしか手に入らない、かつてのホンダのフラックシップミニバン、2013年まで販売されたホンダ・エリシオンは、1ステップフロアながらフロアは地上460mmの高さにあった。

 どうしても走りのいいホンダのミニバンがいい、というなら、低床+両側スライドドアを備えた、2021年いっぱいでラインアップから消えてしまった5代目オデッセイの中古車を狙うべき。1ステップフロアの地上高は、ローダウンサスのアブソルートでなんと290mmと、乗用車のフロア高としては世界でもっとも低い部類にあるからだ。

 と、ステップ段差がある、あるいはフロアが高めの中古ミニバンを紹介してきたが、健常者、足腰ピンピンの高齢者であれば、まったく問題なく快適に乗降できるのはもちろんである。そして、フロアが高いということは、そのぶん、高い着座位置となり、ミニバンならではの爽快な見晴らし視界が得られ、運転するほうも同乗しているほうも、より気持ちいいドライブが楽しめる事実を忘れてはいけない。

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