サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

貴重なクルマが火だるまに! ちょい古スーパーカーが「燃えやすい」ワケ

後世に残すべき名車の炎上は人類文明にとっての悲劇

 実際に路上で「いま、まさに炎上中」というシーンに遭遇したことはないが、センセーショナルなトピックとして定期的に配信されるのが「スーパーカーが燃えた」というニュースだ。クルマ好きであれば誰しも、一度や二度は稀少車の車両火災という悲報に接したことがあるはずだ。

※写真はすべてイメージです。

出火原因のNo.1は燃料まわり

 出火原因の第1位として考えられるのが、フューエルラインの劣化による燃料漏れである。発火しやすいガソリンが高温になった排気系に接触することで出火し、高価なスーパーカーがあっという間に燃えてしまうのだ。フューエルラインの劣化による車両火災は、スーパーカーブーム全盛時に子どもたちを魅了した懐かしいモデルのみならず、「フェラーリF355」あたりの世代でも発生することなので、日ごろのメンテナンスを怠ってはいけないのであった。

万一ガソリン漏れしていたらすぐエンジンオフを

 昨今のクルマに乗っている際も、もし走行中にガソリン漏れに気づいたら、すぐさま安全な場所で停車し、エンジンを切る。全員車外に出て、身の安全を確保しつつ、連絡すべき各所に報告し、救援を待ってほしい。駐車中に気づいた場合はエンジンを始動することなく、懇意にしているスペシャルショップやディーラーに連絡するのがベストの対処法だ。

 オイルラインの劣化による車両火災も考えられるので、そっち方面も入庫時にあわせて整備しておきたい。なお、静電気によって漏れたガソリンに着火する可能性もあるため、降車時にはドアの縁などの金属部分に触れたまま地面に足をつけ、降りてから金属部分に触れた手を放すのが正しい降り方だ。

消火器は車載すべきだが威力は絶対ではない

 万が一火が出てしまった場合は、自動車用消火器などを使い、できる範囲で初期消火を行いたい。ただし、アメリカ映画の「バックドラフト」を観たことがある人はわかると思うが、密閉された空間で火災が発生した際に窓やドアなどを開けると、溜まった可燃性の一酸化炭素ガスと不意に供給されてしまった酸素が結びつき、爆発を引き起こすことがある。そのため、ボンネットは閉めたままにして、グリルやエアバルジから自動車用消火器での消火を試みるべきなのだが、なかなか、そううまくいくものではないので、退避するのが得策だろう。

 ちなみに、筆者の周りに自身の「アルピーヌA110」(旧いほう)を2台燃やしてしまった同業者のパイセンがいるが、彼によると「ガソリンに引火すると、もう、自動車用消火器では消せない」そうだ。

 もしものときのことを想定し、本気のデカイ消火器を積め! ということなのだろうが、それは現実的ではない。やはり、旧車や走行距離が多いクルマは、車検や12カ月点検などをまめに行うのが吉ということだろう。バッテリーが古くなったら新しいモノと交換し、エンジンオイルなどの油脂類や各種消耗部品を定められた時期に交換することも忘れてはならない。

ダウンドラフト型キャブのスーパーカーはとくに注意を

 懐かしいスーパーカーは、燃料供給装置がダウンドラフトタイプのウェーバーキャブレターだったりするが、エンジンのバックファイアーなどで発生した火が真上にあるエアクリーナーに引火し、車両火災に発展するケースもある。

 V型12気筒エンジンを横置きで搭載している「ランボルギーニ・ミウラ」は、ダウンドラフトタイプのトリプルチョーク・ウェーバーキャブレターを4基も積んでいるので、整備不良車の場合、いつ燃えてもおかしくない。貴重な自動車世界遺産を後世に遺すためにも、ミウラ・オーナーの皆さんにはエンジンの点検を頻繁に実施することをお願いしたい。

 ダウンドラフトタイプのキャブレターを装備している懐かしいスーパーカーはほかにもあるので、運転したり、同乗したりする機会があるときは注意したほうがいいだろう。

結局、小まめなメンテナンスが一番の対策

 クラシックカーは、配線からの出火にも注意したい。筆者の愛車である1974年式「アルファロメオGT1600ジュニア」は、キーシリンダーに挿し込んだエンジンをかけるためのカギがアツアツになっていたことがあった。そういう感じで老朽化した配線が発熱し、金属部まで熱を持ち始めるとアブナイわけである。幸いなことに、筆者の愛機は車両火災に至る前に配線を改善できたが、整備を怠り乗りっぱなしだとマズイので、旧車を買ったら頻繁に入庫させることをオススメする。

 定期的なメンテナンスが必要となる旧車(イメージとしては、身近な4気筒モデル)は、燃料漏れが発生する前にフューエルラインやオイルラインの劣化を発見できるケースが多い。スーパーカーのようなドラマチックな燃え方はしないが、既述したアルピーヌA110のような先例もあるので、当然のことながら油断しないほうがいいのであった。

モバイルバージョンを終了