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稲妻のごとき鮮烈さにスバリストの心が射貫かれた! レガシィ・ブリッツェンという衝撃作を振り返る

ブリッツェン2002モデルの走り

年次改良のたびに新型が登場した歴代ブリッツェンを振り返る

 歴代レガシィのなかでも、S401と並ぶ人気の限定モデルといえば「BLITZEN(以下、ブリッツェン)」だ。ポルシェデザイン監修による専用エアロを纏ったスタイリッシュなデザインには、内外装に専用アイテムを数多く採用した。ちなみに車名のブリッツェンとは、ドイツ語で「稲妻が輝く」の意味であり「稲妻のように走り過ぎる」 光景をイメージしてネーミングされた。

 イメージカラーのプレミアムレッドで身を包んだブリッツェンは、3代目レガシィ(BE型)のセダンモデル「B4」に初めて設定された。のちにツーリングワゴンにも追加され、EJ20ターボエンジン搭載モデルのほか、6気筒水平対向エンジンのEZ30エンジン搭載車もラインアップ。その後、プレミアムスポーツモデルとして人気を博した、4代目レガシィにも設定されたブリッツェンの歴史を振り返りたい。

充実した装備の限定車として初代ブリッツェンがデビュー

 まず2000年に登場した初代ブリッツェンは、3代目レガシィB4のB型「RSK」をベースに、2月〜3月の1カ月期間限定車としてSTIからデビューした。前述のとおり、エクステリアにはポルシェデザインによる専用の前後バンパー、リヤスポイラー、フロントグリル、17インチアルミホイールが与えられ、ブリッツェン専用色としてプレミアムレッドを設定。通常の塗装よりも層を厚くした特別塗装となっていた。

 また、フロントフードもアルミ製が特別装備されており、レガシィB4としてはブリッツェンで初採用となったアルミ製フロントフードは、のちの年次改良で標準装備化されていくアイテムとなった。ほかにもMT車にはトラクション性能を向上させるフロントヘリカルLSDを採用するなど、走りの装備も充実。インテリアではヘアラインパネルの採用や、ベースモデルではオプション装備であったケンウッド製サウンドシステムを標準装備。さらに受注生産の選択仕様としてブリッツェン専用のレザーパッケージも設定されていた。

リヤウイングのコンパクト化で「2002モデル」は賛否が分かれた

 翌年には年次改良が実施されたC型をベースに「ブリッツェン2001モデル」が登場。待望のツーリングワゴンも設定され、B4/ツーリングワゴンそれぞれ1000台限定(計2000台)で発売された。基本的な装備面では2000年モデルと大きな変更点はないものの、ボディカラーは3代目ベースのブリッツェンで唯一ピュアホワイトが設定されたほか、オーディオもソニー製の「SONYドライビングサウンドシステム for ブリッツェン」がB4に標準、ツーリングワゴンには選択オプションとして設定されたのが特徴だ。

 そしてベースモデルが大幅改良を実施したことでD型へと進化。このブリッツェン2002モデルの変更点は、前後バンパーをはじめとした専用エアロパーツの意匠をチェンジし、さらにマッキントッシュサウンドシステムを全車標準装備化。B4/ツーリングワゴンそれぞれ合わせて1500台の限定車で販売された。

 このブリッツェン2002モデルでは、シルバーグレー色ヘッドライトベゼルやチタン調インテリアパネルなどの専用装備が充実した。その一方で、特徴的なフロントバンパーやB4用リヤウイングのデザインが控えめになり、ファンからは「前期ベースの方がブリッツェンらしかった」という声もにわかにささやかれた。

 この年の夏には、プレミアムスポーツに相応しいEZ30エンジンを搭載した「ブリッツェン6」が登場。3L水平対向6気筒エンジンを搭載するRS30とGT30をベースとし、エクステリアはNAエンジンのためボンネットバルジが存在しない以外は、ブリッツェン2002モデルと同一のエクステリアとなっている。さらにインテリアはベージュの本革シートがブリッツェン6専用アイテムとして標準装備されているのが特徴。ベースモデルの6気筒エンジン搭載車がATのみであったため、ブリッツェン6もスポーツシフト(マニュアルモード)を持たない4速AT仕様のみの設定であった。

スタイリングはそのままに走行性能を高めた「2003モデル」

 そして3代目BE/BHレガシィをベースにした最終進化形となる「ブリッツェン2003モデル」が2003年1月に登場。エクステリアの変更こそないものの、クイックステアリングギヤレシオやフロント対向4ポットブレーキキャリパーを採用するなど、走りのパフォーマンスをより高めた。インテリアもブラック×オレンジの専用本革シート&ドアトリムへと変更し、グッとスポーティな印象となった。

 ちなみに、ブリッツェン2003モデルのインテリアを担当したのは、当時アルファロメオからスバルへ移籍してきたアンドレアス・ザパティナスによるもので、ブリッツェン2003モデルにはツーリングモデルには設定されず、B4のみのわずか400台の限定発売であった。

ブリッツェンの歴史は2006年モデルで幕を閉じる

 レガシィシリーズが4代目(BP/BL型)に生まれ変わると、C型が登場した2005年に「ブリッツェン2005モデル」が満を持して登場した。2005年12月から2006年3月までの期間限定で、B4をベースにしたセダンのみを販売。先代と同じくこれまでのブリッツェン同様、専用デザインの前後バンパー、フロントグリル、17インチアルミホイールなどを装備し、ブリッツェンのイメージカラーである「プレミアムレッド」も設定した。インテリアも専用ロゴ入りの本革シートやサイドシルプレートを装備するほか、ブリックレッド仕様とブラック仕様のインテリアから選ぶことができた。

 そして、最後のブリッツェンとなる「ブリッツェン2006モデル」が登場し、4代目ベースのブリッツェンとして唯一のツーリングワゴンを設定。ブリッツェン2005モデルとバンパーなどのデザインは共通ながら、ベースモデルを2.0GTから2.0GTスペックBとすることで、ホイールが18インチの専用デザインのものへと一新した。インテリアカラーこそブラックのみとなるが、遮音材の追加や車検証ケースなどの専用アクセサリーの充実化も図られた。

2015年にはコンセプトカーが登場するも復活の可能性は低い……

 結果的にはブリッツェン2006モデルが最後のモデルとなるが、じつは東京オートサロン2015に参考出品車として6代目(BN型)レガシィB4リミテッドをベースとした「ブリッツェン・コンセプト」を出展していた。エクステリアは初代ブリッツェンを想起させる特徴的なリヤスポイラーや真紅のボディなど、ひと目でブリッツェンだとわかるデザインにファンは歓喜。インテリアにはのちのWRX S4スポルヴィータで採用された「マリオレヴィ社製レザーシート」を採用するなど、内外装ともに凝った仕立てであった。

 残念ながら市販化には至らなかったものの、ショーモデルとは思えないほどの完成度の高さに来場者からは発売を熱望する声も多かった。現行型の7代目レガシィは、国内仕様がSUVモデルのアウトバックのみの設定となるため、今後のブリッツェンの登場は難しい状況。中古市場でも流通量が少なく専用バンパーなどは廃盤になっていることもあり、現オーナーは標準モデルよりも維持が大変だという。それでも人とは違うプレミアムスポーツモデルとして、まだまだ根強い人気を誇っている。

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