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大枚叩いて「ムキ出し型」を入れたのにパワーダウン! ウソのようだがホントに起こる「エアクリーナーチューン」の落とし穴

愛車のチューニング、はじめの一歩は「吸気系」

 チューニングの入口にオススメなのが「エアクリーナー」の交換。いくつかのタイプがあるが、いずれにしても保安基準に抵触することもなく、コストも抑えながらチューニングの愉しみを満喫できる、良いことずくめのチューンなのだ。ただし吸気抵抗が劇的に変化するため、注意点もある。

フィルターを少し変えるだけでも効果を実感できる

 チューニングと言えば「マフラー交換」だったのは、平成中期に製造されたクルマまで。その後は、事前認証制度に適合したマフラーが必須になり、「とりあえず拾ってきたマフラーが付いた!」とか、「近所の町工場でマフラーをぶった切って、違うサイレンサーを付けた!」といったチューンは違法になってしまった。また、純正の排気系が進化したことにより、昔ほどパワーアップしなくなったのもある。

 そこで現代のチューニングで最初にオススメなのは、「エアクリーナーフィルター」の交換。純正エアクリーナーボックス内の紙製フィルターなどを、より抵抗の少ないものやスポンジ製などのフィルターに交換するチューンだ。

 これだけでも数馬力の向上と、アクセルに対するエンジンの反応が良くなることがある。現代ではマフラー交換でも数馬力程度のアップが普通なので、同等の効果が数千円で得られるとすればかなりお買い得である。もちろん、マフラー交換にはほかにも、劇的なレスポンス向上というメリットもあるわけだが。

効果大の「ムキ出し型」エアクリはツボを押さえて使いたい

 次のステップはエアクリーナーボックスごと交換するタイプ。いわゆる「ムキ出し型」フィルターの装着である。これは円形のムキ出しのフィルターにすることで大きな透過面積を持たせ、より吸気抵抗を下げることができる。また、レイアウト的にも直線的なカタチにすることで、ここでも吸気抵抗を下げることができるメリットがある。

 しかし、デメリットも存在する。車種によっては劇的な吸気抵抗の変化でエンジンチェックランプが点灯してしまうことがある。また、ただ取り付けるだけでは必ずしも性能がアップするとは限らないこと。

 それにも対策がある。熱気対策とECU書き換えチューンだ。

エンジンの熱を吸わないようにエアー導線を確保

 さらに気をつけたいのがエンジン内の熱気問題。現代の純正クリーナーボックスは冷たい外気を吸い込むようになっている。昔は、これってエキゾーストの熱を吸い込むためのエアクリですか? と思ってしまう設計もあったが……。

 ムキ出し型クリーナーをエンジンルームにそのまま置くだけだと、エンジンの熱気を吸い込んでしまい、吸気温度が大幅アップ→ECUが熱膨張した空気に合わせてガソリン噴射量を絞る→パワーダウン……となってしまうこともある。

 正しく使うには、外気を取り込むダクトを付けたり、隔壁を設けるなどして、冷たい空気をたっぷり吸い込めるようにしたい。そうなればもともと吸気抵抗は少ないムキ出し型クリーナーだけに、劇的なパワーアップが期待できる。

ECUチューンも行えば、さらなる出力が手に入る

「ECU(エンジン・コントロール・ユニット)」内のデータを、ムキ出し型クリーナーに適したものへ書き換えることで、パワーやトルクを最適化。エンジンチェックランプ点灯を防ぐことができる。

 現代では吸入空気量などがシビアにクルマが管理されているので、車種やチューニングの度合いによってはECUチューンが必要になることもあるのは知っておきたい。たとえば「HKS」では、手軽にECU書き換えができる「フラッシュエディター」があり、自社製エアクリーナーに合わせたデータがすでに入っている車種もある。

 注意点としてはECUチューンを施したあとにムキ出し型クリーナーを装着したら、再度調整が必要になってしまう。純正交換フィルターなら問題ないが、エアクリーナーボックスごと交換するなら、ECUチューンと同時に、計画的に行うようにしたい。

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