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高性能ターボ車でも「低粘度」が当たり前! これまでの常識が通用しないイマドキのエンジンオイル事情

エンジンオイル交換

不安になるほどの低粘度エンジンオイルで本当に大丈夫なのか?

 クルマにとって『血液』のような存在であるエンジンオイル。スポーツ走行を嗜む人にとっては定期的に交換するだけじゃなく、エンジンの仕様や季節によって粘度を変更するのも常識だ。近年は省燃費や低温始動性を目的に低粘度化が進んでおり、0W-20どころか0W-8なんてエンジンオイルも存在する。

高性能ターボ車用でも低粘度化が顕著に進んでいる

 以前は10W-40や5W-30でも低粘度に分類されており、とくにターボ車では夏は硬めのオイルを使うのが定番だった。ターボを搭載したエンジンはNAに比べて発熱量が多く、柔らかいオイルは高温に弱く油膜切れを起こしやすい、つまりエンジンに重大なダメージを与える可能性があり、油膜が厚い高粘度のオイルが推奨されていたのだ。

 ところが最近は高性能のターボ車でも低粘度オイルが当たり前になり、例を挙げればGRヤリスは0W-20と昔なら考えられないレベルの粘度。メーカーの指定だから問題ないとわかってはいても、数字を聞くと不安になってしまう人もいるだろう。そこで低粘度でも大丈夫になった理由を考えてみたい。

環境問題やエンジン精度の向上によってエンジンオイル事情が激変

 最終的な目標は「燃費を良くすること」であり、そのために抵抗が小さい低粘度のオイルを使いたい。しかし組み立てのクリアランスが広いエンジンでは、オイル消費が大きくトラブルに繋がる危険性が高く、抵抗が大きいのを承知で高粘度オイルを使っていた。ところが加工の技術が進化したことでクリアランスが小さくなったことや、エンジンオイルの質が向上し高温でも強い油膜を保持できるようになったことで、発熱量の大きいターボ付きエンジンに、低粘度オイルを入れても大丈夫になったのだ。

 だからといって環境や使い方に関係なく低粘度オイルだとか、省燃費のNAエンジンに高粘度オイルでも平気というワケではない。チューニングしたエンジンや真夏のサーキットでは粘度を上げたほうがいい場合もあるし、メーカー指定より著しく粘度の高いオイルはフリクションの増加で燃費の悪化などを招く。

程度問題もあるがチューニング派は粘度を上げも良い場合も!

 最後に選び方を手短ではあるが説明したい。どんなクルマでも基準は新車のときに使われているメーカー純正オイルの粘度になるが、エンジン内のパーツが金属摩耗し消費が大きいときは、粘度を少し上げてもいいだろう(純正が0W-20なら0W-30)。ブーストアップやタービン交換で大幅にパワーアップしたターボ車、サーキットやワインディングを走る機会が多いクルマも同様だが、極端に粘度を上げるとがレスポンスが悪くなることがあるので注意。

 ちなみに『5W-30』などと表記する粘度指数はアメリカの『SAE(Society of Automotive Engineers)インターナショナル』が定めた規格で、左側の数字が低温冷間時における粘度指数(WはWinter Grade)で、右は高温時の粘度を示している。

 つまり左が小さいほど寒さに強く、右が大きいほど熱に強いということ。ほかにもSMグレードやSLグレードに代表されるAPI規格、またベースオイルや製法による性能の差はあるものの、数字の意味を知るだけでもオイル選びの失敗は減るはずだ。

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