サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

「旧車はこんなもんです」って言葉にダマされ2年は恐怖の連続! 旧車ビギナーがS30型フェアレディZで味わった地獄と天国

S30型Zを所有して14年、かかったお金は700万円

 とある出版社に勤務しているFさん(53歳)は、根っからのスポーツカー好きだ。21歳のときにZ31型「日産フェアレディZ」を買い、その後、FC3S型「マツダ・サバンナRX-7」、「ポルシェ911SC」、「スバル・レガシィ」、R33型「日産スカイラインGT-R」に乗りかえ、2008年5月に、現在も愛用している1972年式のS30型「日産フェアレディZ」を手に入れた。

愛車はビルトインガレージで大切に保管

 現在、S30型Zをビルトインガレージ内にて保管しているが、自邸を建てたのは2004年11月のことだ。このときの愛機はR33型GT-Rだった。以前、F邸にお邪魔した際に「S30型Zを収納するためのガレージとしては大きいな」と思ったが、その第一印象は間違っていなかった。愛機が小さくなったので、空いたスペースに、タイヤラック、収納棚、排気ガス排出装置などを置いている。

「S30型Zは、とにかく乗っていて楽しいです。キャブ車ならではの特性だといえますが、その日の天候によってクルマのコンディションが異なることもあり、毎回、愛車と対話している感じです。一体感とも呼べそうな、その感覚がたまりませんね。そして、周囲の人々からとにかく見られる点も楽しいです。アニメやテレビゲームにも登場しているクルマなので、大人はもちろん、子どもたちまで憧れ(?)のまなざしでコチラを見てきます」

自分好みにカスタマイズとチューニングを楽しむ

 そう話してくれたFさんによると、S30型Zは所有14年で、かかった費用は700万円ぐらいとのこと。その内訳は、車両本体価格が200万円で、修理、メンテナンス、チューニング代が合計で約500万円なのだという。

 モディファイ箇所を列記すると、下記のようなことになる。まずはエンジンから。L20→L28(公認)、ソレックス44φキャブ、ラジエター3層仕様、L28用マロリーデスビ、砲弾タイプのスターロード製オリジナルマフラーという内容だ。

 続いて、足まわり。こちらは、ホイール/タイヤがスターロードオリジナルのグロースター+横浜ゴムADVAN HF TYPE-D、スターロードオリジナル前後車高調整キット、R32型スカイラインタイプM用フロントブレーキキャリパーという概要となる。

 外装は、オーバーフェンダー(フロント/リヤ)、スターロードオリジナルカーボンドアミラー、フロントスポイラー、リヤスポイラー、S130Z用ダクト加工ボンネット。内装は、レカロシートSPG&SR、4点式ロールケージ、リヤに亀有ストラットタワーバー、ダットサンコンペハンドル(レプリカ)というあらましだ。

最初の店でハズレを引いて茨の道まっしぐら

 細部に至るまでモディファイしており、文字にすると楽しそうにみえるが、苦労してきたことがたくさんあるという。Fさんの場合、なんと初めの第一歩であるショップ選びがダメだったらしい。この場合のショップは、しっかりメンテナンスできるお店ということになるが、S30型Zを買ったショップがいわゆる「売りっぱなし系」で、当時、旧車ビギナーだったFさんには茨の道まっしぐらのパターンだったそうだ。

「S30型Zを購入してからの約2年間のドライブは、楽しさではなく、まさに不安と恐怖でした。エンジンが吹き上がらないし、つねにストール気味……。電装系がすぐ壊れて、ウインカーやヘッドライトが点灯しないし、ドアロックも作動しませんでした。そんな状態だったので、なんとか走れていても、いつ止まるか分からないといった不安で、長距離も走れず、エンジンの調子によっては信号待ちで立往生するのではないかと、毎回、冷や汗をかきながらの運転でした」

思い切ってプロショップに相談したら一気に悩みが解消

「当初、購入したショップに何度か相談しましたが、“旧車はこんなもんです”のひと言で、どうにもなりませんでした。ほかの専門店に相談しようと考えましたが、他店で購入したクルマを見てくれるのだろうか? もし見てくれたとしても、相当な工賃をとられるのではないか? などと思っていました。旧車プロショップ独特の一見さんお断り的な雰囲気は強敵で、旧車ビギナーだった私は気軽に声をかけることができませんでした」

 しかし、そのままでは負担以外の何物でもないので、Fさんは意を決して、日産旧車のスペシャルショップ「スターロード」に相談。はじめの心配とは裏腹に、とても親身になって相談に乗ってもらえて、その後の旧車ライフは快適に送ることができているそうだ。

 ちなみに、スターロードで本格的にメンテナンスしてもらう前、どこが悪いのかをチェックしてもらった際に「よくこんな状態で乗っていたねぇ~」と言われたらしい。そう、「旧車はこんなものです」は大間違いだったのだ。

信頼できるショップ選びこそ旧車ライフのカギ

「私のS30型Zを見事に生き返らせてくれたプロショップで最初から購入していれば、このような苦労はなかったはず。やはり旧車ライフは、自らメンテナンスができる方以外は、ショップ選びが重要だと痛感しました。純正パーツが無くなりつつありますが、代用品が数多くあるので、純正にこだわらなければまったく問題なし。いま苦労していることは夏場の運転ぐらいですかね」

 たくさん苦労し、出費も多かったが、ちゃんと走る愛機を得ることができたFさんのZライフは、新しい日産フェアレディZの登場も追い風となり、これからますます充実したものになるはずだ。

モバイルバージョンを終了