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イマドキの優等生とはひと味違う! ガンガンに「攻めてる」旧車SUV6選

多種多様なSUVが生まれていた

 ポルシェ、ランボルギーニ、アストンマーティン、マセラティ、アルファロメオというと、昔の人なら、名だたるスポーツカーのブランドだと認識しているはず。けれど現代っ子(?)だったら、きっと「イカしたSUVを作っているブランド」と答えるに違いない。

 または初代のレンジローバー・イヴォークや、日産の初代ジューク、トヨタC-HRなどを含めてもいいかもしれない。要するに、SUVの文脈のなかで絶妙なハズシ、個性、スタイリッシュさを打ち出しとして、ほかの王道的なSUVと一線を画す存在感を発揮しているモデルということ。

 ハズシということでは、そもそも初代BMW X5やメルセデス・ベンツML、初代トヨタ・ハリアーなど、今の世界中のSUVのムーブメントを作った乗用車ベースに仕立てられたSUVは「そうなんだ、こんな快適で馴染みやすいSUVもあるんだ」と多くの人に着目され、定着したもの。

 こうしてザッと考えただけでも、自動車の長い歴史のなかのほんの短い間に、じつに多種多様なSUVが生まれたことがわかる。

 たとえば国産SUVを少し前まで遡って振り返ってみたときに、皆さんなら、どんなSUVが「ちょっとトガってたよね、イカしてたよね」と思い出すだろうか?

日産テラノ(初代)

 筆者だったら、まず思い浮かぶのが1986年に登場した初代の日産テラノだ。車名は地球(TERRA)から来た造語で、当時のカタログには“地球のすべての道を自由に駆けるクルマ”の意味が込められたとのこと。ベースは当時のダットサントラックで、順当であればクロカン的なクルマになったはずだが、NDI(日産デザインインターナショナル、現・日産デザインアメリカ)がモノにしたスタイリングは、都会の風景にも馴染む洗練されたカッコよさが魅力だった。

 とくに2ドアのリヤサイドの三角窓や前後のブリスターフェンダーが、それまでのオフローダーにはない雰囲気を醸し出していた。それでいてしっかりとしたフレーム構造を基礎にし、当時はまだ手動切り替え式だったがトランスファーレバーを切り替えれば、しっかりとオフロード性能も発揮する。今風(もう今風じゃない?)に言えば、じつにイケてるヤツだった。

日産ミストラトル

 日産ではもう1台、ミストラル(1994年)も忘れられない。このクルマはスペインの日産モトールイベリカ会社製という帰国子女的モデルだったが、4ドアとのちに追加された2ドア、ともにスマートなスタイリングが魅力だった。

 全幅1755mmと比較的コンパクトなサイズだったのもよく、何といってもオフロードのみならずオンロードを走らせたときのヨーロッパ車風味のダンパーをしっかり効かせた乗り味には光るものがあった。

スズキ・エスクード(初代)

 コンパクトで洗練されたSUVには、ほかにも初代のスズキ・エスクードがある。じつは個人的には2代目以降のモデルの印象がほとんどないのだが、この初代は、言葉で表現すると“軽く爽やかなのにしっかり走る”クルマだったと思う。

 その点では、実用的な4ドアのノマドも用意されたが、ショートボディのハードトップ、コンバーチブルはオフロードはもちろん、街なかもストレスなく走らせることができ、クルマを運転する楽しみの幅が広いことを教えてくれた。

 ……とこの原稿を書きながら、迂闊にもコンバーチブルの実車に試乗したことがなかったことを思い出し、返す返すもそれは残念なことだと思っているところだ。

すゞ・ミュー(初代)

 反対にしっかりと試乗をしたクルマの中で面白かったのが初代のいすゞ・ミュー。1989年登場のこのクルマは“スポーツRV”として訴求していたが、見るからに自由奔放なスタイリングに対し、率直に言って走りはトラック然としていたものの、とにかく理屈抜きで気軽に気分よく乗りこなせるクルマだった。

 ボディ後半をオープンにし、そこにハードカバー、もしくはソフトトップを組み合わせたバリエーションも用意されていた。このミューは2代目も登場したが、いろいろな面で洗練されてはいたが、素朴な初代のほうが走らせている実感があったように思う。

いすゞ・ビークロス

 そして今回の文脈上、あろうことか最後の扱いとなってしまったが、前出のミューをベースに誕生したのが、1997年に登場したいすゞ・ビークロスだった。聞けば半ばハンドメイドのような手間のかかった工程で生産されていたというこのクルマ。ピアッツァがそうだったようにショーモデルのイメージを崩さずに量産化され、まるで月面探査にでも行くかのようなスタイルは、のちに登場したどの個性派SUVにもヒケをとらない存在感だった。

 そのこと(=どう見ても肉眼では後方視界が十分ではないこと)が分かっていて始めからバックアイカメラが組み込まれていたり、標準の5色にオプションで特注色を20色用意し個性を大事にしていたりと、今では考えられないような贅沢なクルマでもあった。

トヨタ・FJクルーザー

 ビークロスを最後としながら、もう1台だけ、2010年に登場したトヨタ・FJクルーザーも挙げておきたい。ハイラックスをベースに、このクルマも、いかにもオーナーの自由な生き様を代弁しているかのようなスタイルが魅力だ。

 天地に低いフロントスクリーン越しの視界は安心感があり、グローブを付けていても操作しやすい空調ダイヤルなど、スタイル重視かと思われるが実は基本的な操作性、実用性もしっかりとおさえてあるところがこのクルマの魅力だった。

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