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パワーが2倍なら負担は4倍! マメなメンテができないなら「チューニング」は避けるべき

メンテナンスのイメージ

チューニングすれば少なからず負担は増える

エンジンパワーを引き出すほどに、あちこちに負荷は掛かる。速くなった~!! と喜んでいるのもつかの間、壊れてしまっては悲しい限り。では、パワーアップしたらどんなメンテをすれば耐久性を保てるのだろうか。

パワーが倍になれば負担は4倍になることも……

「パワーは魔力」とはよく言ったもので、まさにその通り。チューニングによって引き出されたパワーはなんとも言えない快感をもたらし、そして、その快感は慣れてしまう。

 この慣れが怖いもので、250psのクルマを350psにすると「おお~速い! こんなの扱いきれるかなぁ~」と思うのだが、数カ月もすると慣れてしまうのである。そうすると、もっともっととチューニングは過激化していく。そうしてパワーを出していくと、不安になるのは耐久性だ。

 馬力による負荷は二次関数的に高まる。100psを200psにしたときは4倍くらいの負荷になっているイメージ。それくらい壊れる部分が増えたり、寿命が短くなったりする。

トランスミッションやデフのオイル交換はこまめに

 まず、気をつけたいのがトランスミッション。許容パワーはエンジンの限界よりもミッションの方が低い場合が多い。抜本的には強化したミッションに載せ替えるしかないのだが、まずはミッションオイル交換から。グレードの高いものを入れておきたい。

 また、パワーが増えるとミッション内の掛かる負荷が増えて、一気にミッションオイルの温度が上がり劣化することもある。交換時に焦げたような匂いがするなら、もっと早めの交換が必要だ。

 同様にFR車や4WDのリヤデフがあるクルマならLSDオイルにも注意。こちらもこれまで何でもなかったのに、オイルを抜いたら真っ黒なんてことが、パワーアップすると起きる。粘度を高める、交換時期を早める、導風してデフケースが冷えるようにする、などの対策を施しておきたい。

ゴム類にも負担がかかってしまう

 リヤ駆動車では、トルクが強大になるとサブフレームを固定しているブッシュに負担が掛かりやすい。これまでではありえないトルクでサブフレームがひねられるので、ゴムブッシュが傷み、ときにはちぎれてしまう。サブフレームのブッシュは強化するか、金属カラーを入れてリジット化するのもあり。同時にエンジンやミッションマウントも力が掛かるようになるので、こちらも純正新品か強化品に交換したい。

ドライブシャフトが破損してしまうことも

 駆動系の締めはドライブシャフト。よくパワーアップでドライブシャフトが折れたというが、いわゆる金属シャフトの部分が折れることはまずない。ジョイントと呼ばれるベアリングが入っている部分が粉砕したり、焼き付いたりしてしまう。これも負荷が増えることで、内部に入れられているグリスが熱によってドロドロどころかサラサラになってしまい、潤滑切れから焼き付くことが多い。パワーアップした際には、ドライブシャフトグリスの入れ替えやオーバーホールも先手を打ってしておきたい。

速くなり負担が増えるブレーキは一番に対策を

 そして、ビックリするほど負荷が増えるのはブレーキ。とくにサーキット走行するなら、パワーが20%上がったとしたら、パッドの減りは40%早くなる!? と思うくらい負荷が増える。これこそ二次曲線的にパッドが減ったり、フェードやベーパーロックもしやすくなる。連続での全開走行を止めたり、ブレーキを冷却するダクトやガイドを付ける、そもそもローターを大径化する、キャリパー交換するなどの対策が必要になるのだ。

基本となるエンジンオイルの管理はより厳密に

 パワーアップに際しては、もちろんエンジンオイルもシビアに管理したい。出力が上がった分だけエンジンの負荷は増えているので、オイル交換を早める、粘度を上げる、グレードの高いオイルにするなど、よりシビアに管理するべき。まずは、どれくらい負荷が増えたのか油温計で温度推移を見て、油圧計で新油から使っていくごとにどれくらい油圧が落ちていくかなど、現状を把握することから始めるのがオススメだ。

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